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J-COM、地上デジタル放送サービスについての説明会を開催
-VODやPPVなども来春導入予定


森泉知行 代表取締役社長兼CEO

11月27日開催


 株式会社ジュピターテレコム(J-COM Broadband)は27日、12月よりスタートする地上デジタル放送サービスについての説明会を開催した。

サービスの概要

 12月1日よりスタートする地上デジタル放送にあわせ、関東、関西の全J-COM Broadband局で、地上デジタルテレビジョン放送の再送信を行なう。地上デジタル放送、CS基本チャンネルデジタル配信(31~33ch)、CSオプションチャンネルデジタル配信(5~10ch)、BSデジタル放送、EPGサービスをセットにしたサービスとなっており、月額料金は5,480円(STBレンタル料金を含む)。

 12月1日より受付を開始し、加入者宅に順次導入する。12月におけるサービス可能世帯数は、関東エリア(11社)が3,155,800世帯、関西エリア(3社)が1,685,300世帯。送信方式は64QAMへ再変調後に送信するトランスモジュレーション方式を採用している。

 説明会では、同社の森泉知行 代表取締役社長兼CEOが地上デジタル放送の再送信サービスへの意気込みを語った。森泉CEOは、「地上デジタル放送開始にあたって、ケーブル局の果たす役割は非常に大きい」と切り出し、「12月の地上デジタルの放送開始時に、電波を受信できるのは、関東では東京タワー近辺の約12万世帯に限られる。しかし、J-COMの加入世帯では関東各県の多くの世帯で視聴可能になる」など、再送信による視聴地域/世帯の拡大に、ケーブル局が大きな役割を担うと説明した。

関東地域のサービス拡張計画 関西地域のサービス拡張計画

 また、通常の地上デジタル放送では、「チューナ内蔵テレビなどの価格が高価で、普及に時間がかかるとの観測もある。しかし、J-COMの場合は専用のSTBを利用するため、テレビ側にそうした機能は必要なく、比較的安価に地上デジタル放送を視聴できる」とし、「民放各社が優良コンテンツを用意して、視聴者に満足いただける番組を提供していただければ、健全に発展すると考えている。CS110度の失敗を繰り返してはいけない。地上デジタルの普及にしっかり貢献していきたい」とした。

 さらに、「再送信だけでは、ネットワークなどの巨額の投資の回収とは至らない。今後の課題として、光ネットワークを使った新たなサービスも検討していかなければならない」とし、多チャンネル化や、ネットワークサービスのほか、CATVの特徴である双方向性、地域密着型という点を生かしたローカルショッピングや、ホームセキュリティ、オンラインショッピングなどを例に挙げた。今後、「ケーブル局は多用なサービスを提供する企業体に大きく変化していく」と述べた。

 また、「今までのケーブル局は、地域独占状態を謳歌してきた。しかし、通信系の業者が映像配信への参入するなど、競争が激化している。地域の限られたネットワークだけでなく、大きなまとまりとなって、いろいろな合従連携などが必要となるだろう」と、業界の再編を予測した。

高橋邦昌 事業開発部マネージャー

 続いて、同社事業開発部マネージャーの高橋邦昌氏がサービスの概要について解説した。地上デジタル放送への同社の取り組みについては、「デジタルを生かした魅力的なサービスによる新規加入者の増加」、「顧客満足度向上による解約防止」、「VODなど新規のサービスによるARPU(1加入者あたりの月間平均収入)の向上」、「帯域確保のためのアナログサービスの早期停止」などを重要課題として説明した。

 専用のセットトップボックス(STB)として、サービス開始当初は松下電器製の「TZ-DCH250」を使用する。地上デジタル/CSデジタル放送用の端末だが、「BSデジタル用の端末を緊急避難的に使う」とのことで、2004年春に予定しているペイパービューやVODサービスなど、双方向機能を利用した端末も、サービスの開始にあわせて順次投入する予定という。なお、トランスモジュレーション方式採用による画質の劣化などは無いとしている。

 また、J-COMで地上デジタルを使用するメリットとして、「貸与されるSTBがあれば、専用のテレビ/チューナが必要ない」、「UHFアンテナの新規設置は不要」、「1台のSTBで、地上デジタル/BSデジタル/CSデジタルの視聴が可能」、「D3/D4対応のテレビであればハイビジョン放送の視聴が可能」、「放送の区域内であれば、直接電波が届いていない地域でも視聴可能」、「J-COMのインターネット/電話サービスとの連携」などを挙げて解説した。

地上デジタル放送に向けた商品戦略 J-COMで地上デジタル放送を視聴するメリット 提供予定のサービス

デジタルサービスの拡張計画

 なお、ユーザー調査によれば、加入者の地上デジタルに期待する点として、マルチチャンネルと、ハイビジョンを挙げているという。また、J-COM加入者は、非加入者と比べて地上デジタル放送への興味が高く、ワイドテレビの利用者も多いという。地上デジタルサービスの2004年末時点での普及目標は10万台(事業開発部 加藤氏)としている。

 説明会の後に行なわれた質疑応答では、現在J-COMが導入を決定しているトランスモジュレーション方式ではなく、ケーブル局で変調を行なわない「パススルー方式」への対応について、質問が集中した。

 「放送局は、パススルーでの放送を望んでおり、2年以内にパススルーに変更するよう勧告している事業者もあるが?」との質問に対しては、「放送局との交渉で将来的なパススルーの導入について議論している。当初は地上デジタル対応テレビを持っている人が多くないため、すぐに視聴できるようパススルーはやらないというのが基本方針。今は64QAMのトランスモジュレーションに対応したテレビの規格の標準化をケーブルテレビ連盟などとともに、メーカーなどにお願いしている。これが難しいければ、パススルーをやる。状況に応じて2年を待たずに導入することもありうる」と回答した。

□J-COMのホームページ
http://www.jcom.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.jcom.co.jp/tools/others/news_detail.php?code=64&la=ja
□関連記事
【11月17日】J-COMに加え、JCN/T-CAT/JDSも12月から地上デジタル再送信を開始
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20031117/catv.htm
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-CATVで地上デジタル放送を伝送、デジタルSTBも多数出展
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030723/catv.htm
【7月22日】J-COM、2004年前半に地上デジタル放送の再送信を開始
-関東/関西の14局でサービス提供
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030722/jcom.htm

(2003年11月27日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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