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ダイマジック、独自3Dサラウンド技術対応エンコーダ
-イヤフォンで5.1ch再生する民生用エンコーダも検討


EST-PRO
4月6日発表


 株式会社ダイマジックは6日、2chソースから5.1chのサラウンド音声を作り出すアルゴリズム「Adaptive Surround」を発表。同時に、Adaptive Surroundに加え、「DVX」(DiMAGIC Virtualizer X)や「DiMAGIC Headphone」など、同社の3Dサラウンド技術に対応した業務用エンコーダ「EST-PRO」とオーサリングツール「Virtualizer」も発表した。

 なお、同エンコーダとオーサリングツールはすでに出荷できる状態だが、単品での発売は想定していない。当分の間は同社が導入する企業と打ち合わせを行ない、機器のチューニングや使い方の指導、バージョンアップなどのトータルサポートを行なう。ライセンス販売という形になるため、価格は決まっていない。


■ EST-PRO

EST-PRO。下段はD/Aコンバータ

 EST-PROは、ダイマジックの各種3Dサラウンド技術をリアルタイムで処理できるハードウェアエンコーダ。5.1chのサラウンド音声ソースを、サラウンド感を保ったまま2chのスピーカーで再生するDVX技術や、ヘッドフォンで5.1chサラウンドを再生するDiMAGIC Headphoneなどに対応。

 映画などの5.1ch音声をEST-PROのDVX技術で処理することで、サラウンド情報を持った2ch音声に変換。同コンテンツは放送やブロードバンドなどで通常のコンテンツと同じように配信できるが、テレビやPCなどの2chスピーカーで再生すると、元の5.1chサラウンド音声がバーチャルサラウンドとして再生されるというもの。

 また、2chソースから5.1chのサラウンド音声を作り出す新技術「Adaptive Surround」に対応。これは、ドルビープロロジックなど、位相差からサラウンドを作り出す従来の技術とは異なり、左右のチャンネルの相関性に随時対応しながらサラウンドを構築するというもの。例えば、左右の信号の相関性が高い音はファントムセンターに割り当て、低い音は背後のチャンネルに割り振るなどの処理が行なわれる。

DVX技術の図解。音波が複雑に反射しないため、明確な音像が得られるという Adaptive Surroundは2chソースの相関関係からサラウンドデータを作り出す技術

 5.1ch化処理はリアルタイムで行なわれ、光デジタル出力も可能。AVアンプなどの開発時に、独自のサラウンドモードの開発・検証にも利用できる。なお、ダイマジックの名を公表していないが、こうして開発されたサラウンドモードを搭載したAVアンプは、海外で既に発売されているという。同社はこの開発ソリューションを今後、国内のメーカーや放送事業者などに積極的に売り込んで行くという。

 DSPはTIの32bitモデルを搭載。フラッシュメモリなども搭載しており、メモリの書き換えで機能の向上や、今後登場する新しいサラウンドアルゴリズムにも対応できるという。

AV機器の開発だけでなく、コンテンツ制作分野への展開も想定している TIの32bit DSPを搭載している

 端子部には、AES/EBUとADATの入出力端子をそれぞれ8ch用意するほか、光デジタルの入力を2系統、出力を4系統装備。各端子の入出力フォーマットは独立で指定することもできる。また、前面にUSB 1.1端子を装備しており、PCからの制御にも対応。使用する専用ソフトは、導入する現場に合わせたプログラムが個別に組まれるという。

 サンプリング周波数は44.1/48KHz。信号同期用にワードシンク入力や、INTシンク入力を備えている。外形寸法は482.6×320×44mm(幅×奥行き×高さ)。

EST-PROの背面 Adaptive Surroundのデモ。CDなどの2chソースをEST-PROのAdaptive Surroundで5.1ch化、光デジタル出力でDACに渡し、DACからのアナログ5.1chをマランツのAVアンプに入力していた 5.1chを2chにまとめて再生するDVX技術のデモ。なお、同技術は5.1chソースだけでなく、Adaptive Surroundで2chを5.1ch化し、再び2ch化するといった処理にも使用できる


■ Virtualizer

Virtualizer

 EST-PROと同じく、3種類のサラウンドアルゴリズムに対応し、リアルタイムエンコードも可能なソフトウェアエンコーダ/オーサリングツール。WAVファイルに加え、マルチチャンネルに対応した独自のProject Stem管理方式の入力に対応。サンプリング周波数は44.1/48KHzに対応するほか、オプションで8/16/32/96KHzもサポートする。

 サラウンド化した音声ファイルはWAV形式で書き出せるほか、将来的にはMP3やAACなどの圧縮フォーマットにも対応予定。DiMAGIC HeadphoneでエンコードしたMP3/AACファイルをポータブルプレーヤーなどに入れることで、イヤフォンでも5.1chのサラウンドが再生できるという。なお、同ソフトウェアの機能を簡略化するなどした、コンシューマ版の開発も検討している。


■ 放送やパッケージメディアなど、新分野を開拓

 会長兼社長の浜田晴夫氏は同社のサラウンド技術について、「2つのスピーカーを近接配置することで音を立体的に再生する“ステレオダイポール技術”を基にしている。そのため、携帯電話に内蔵したり、ゲーム機のコントローラーに取り付けるスピーカーなど、小型・モバイル分野で受け入れられてきた」と解説。

DVX技術は、4月現在、全世界11機種の携帯電話に採用されているという 会長兼社長の浜田氏

 そして、「今回のエンコーダは、我が社のサラウンド開発環境のクローンを、手軽にメーカー様に提供することができるソリューション。これにより、従来の小型・モバイル分野だけでなく、放送やゲームなどのパッケージメディア、コンテンツ配信などの新しい分野にも3Dサラウンド事業を本格的に展開していきたい」と抱負を述べた。

 なお、同エンコーダは、放送分野ではフジテレビ、有線ブロードネットワークス、カーオーディオではアルパインなどが開発に協力しており、これらの企業の中にはすでに導入を開始しているところもあるという。


□ダイマジックのホームページ
(4月6日現在、この製品に関する情報は掲載されていない)
http://www.dimagic.co.jp/
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(2004年4月6日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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