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【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
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ソニーは、1080i記録が可能な初の民生用HDVカメラ「HDR-FX1」を10月15日に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は40万円前後と見られる。
同時に、インフォリチウムバッテリー「NP-F970」、バッテリーアダプター/チャージャー「AC-VQ850」などを含むアクセサリーキット「ACCKIT-D10」も32,550円で発売する。 既存のミニDVテープにHD映像を記録する「HDV」規格の製品。キヤノン、シャープ、ソニー、ビクターの4社が中心になり2003年9月に策定した規格で、1080iと720pでのMPEG-2記録が可能。これまで民生用としてはビクターの「GR-HD1」しか市場になかった。ただしGR-HD1は720pのみのサポートで、1080iは今回のHDR-FX1が初の製品化となる(720pには非対応)。
■ 1080i対応のCCDとエンコーダを自社開発 新開発の1/3型(対角6mm)1,012×1,111ドット、約112万画素(有効972×1,100ドット、約107万画素)のCCDを3個搭載。1080i用CCDは民生用初としている。記録モードはHDVモード(1080i)とDV(480i)モード。720p記録には対応していない。 HDVモードの信号処理用に「HDコーデックエンジン」を新たに開発。「ベースバンドシグナルプロセッサ」、「HD-MPEGビデオエンコーダ」、「HD-MPEGビデオデコーダ」、「HDVストリームプロセッサ」からなる信号処理エンジンで、HD映像をDVと同等の速度で記録・再生するという。セミコンダクタソリューションズカンパニーとデジタルイメージングカンパニーが共同で開発したもので、CCD、エンジン共に「外販の予定はない」(IT&モバイルソリューションズネットワークカンパニー根本章二氏プレジデント)としている。
本体での再生時に1080iを480iにダウンコンバートする機能も搭載。1080iで記録した映像は、本体のi.LINKや特殊形状のD3端子から出力できる。 レンズは光学12倍ズームのカールツアイス「バリオ・ゾナーT*」。「ハイビジョン撮影にふさわしい光学性能」とし、色収差の低減、高い周辺解像度、T*コーティングによるフレアとゴーストの低減をアピールしている。 焦点距離は35mm判換算で32.5~390mm。明るさはF1.6~2.8。アクティブレンズ方式の手ぶれ補正機構も備えている。0.8倍のワイドコンバージョンレンズ「VCL-HG0872」(57,750円、専用フード付き)も別売で用意する。
ハイビジョンのアスペクト比(16:9)にあわせ、3.5型のワイドハイブリッド液晶モニターを採用。ハンドルレバー先端に設置している。ビューファインダーと同じ目線でモニタリングでき、「イメージどおりのカメラワークが可能」としている。なお、ビューファインダーもワイドタイプを採用している。 ズームはマニュアルリングとシーソーレバーの2種類を装備。アイリスも手動で制御できる。また、フォーカス精度が求められるハイビジョン撮影にあわせ、フォーカスを確認する際、画面中央で2倍に拡大する「拡大フォーカス」を搭載。被写体の輪郭を強調して表示する「ピーキング」機能も利用できる。
新機能としては、撮影時にトランジションを付加できる「ショットトランジション機能」がユニーク。フォーカス、ズーム、アイリス、ゲイン、シャッタースピード、ホワイトバランスの変化を登録し、2つのシーンの間に適用できる。 そのほか、色の濃さ、シャープネス、スキントーンディテールなどをまとめてプリセットできる「ピクチャープロファイル」、フィルム特有のトーンを再現するという「シネトーンガンマ」、24コマや30コマ撮影の雰囲気を表現するという「シネフレーム」などを装備する。 バッテリーはインフォリチウムLシリーズに対応。バッテリは標準では付属せず、別途アクセサリキットの購入が必要。アクセサリーキット同梱のバッテリー「NP-F970」を使用した場合、連続撮影時間はHDVモードが6時間25分、DVモードが6時間50分。 i.LINK、D3出力に加え、S映像入出力、コンポジット入出力、アナログ音声入出力、LANC端子などを備えている。外形寸法および重量は、151×365×181mm(幅×奥行き×高さ)、約2kg(本体のみ)。 なお、PCでの編集については、同日にアドビシステムズ、アップル、カノープス、ピナクルシステムズ、ユーリードシステムズの5社が、それぞれが発売中の編集ソフトや編集システムにHDV用のプラグインを供給することを発表している。 アドビ「Premiere Pro」用プラグインは年内にリリース予定。アップルは「将来的にFinal Cutでネイティブサポートする」と発表している。カノープスは「HDWS-1000」搭載の「EDIUS Pro」において、次期リリース版よりHDV1080iをサポートする。ピナクルは「Liquidシステム」での対応を表明、ユーリードは「MediaStudio Pro 7」のHDVプラグインを10月末にリリースするという。 また、VAIOでは、「DVgate Plus」で簡易編集を行なうアップデータを後日に提供予定。プリインストールのPremiereや「VAIO Edit Components」に対しても、後日アップデートで対応する。編集機能として、スマートレンダリングやプロキシ編集に対応する。プロキシ編集とは、取り込んだファイルとは別に編集用のファイルを生成する編集方式。
なおHDR-FX1と同時に、「HD録画に適している」というミニDVカセット「DVM63HD」も発表になった。価格はオープンプライス。店頭予想価格は1,550円前後と見られる。 新開発の「ハイパーエバーティクルIV磁性体」を採用し、ソニーのDVカセットとしては最高水準の高出力・低ノイズを実現。潤滑剤も新しくし、耐久性と安定性が向上したという。
■ DV、DVD、HDVの3分野でシェアを維持
ソニー業務執行役員の根本章二氏(IT&モバイルソリューションズネットワークカンパニー、デジタルイメージングカンパニープレジデント)は、「年末には地上デジタルの放送エリアも増え、フラットパネルテレビやブルーレイレコーダなど、HD対応機器はますます増える。そうなると、個人の映像をHDで残したいというニーズが必ず起こる」と、1080i記録に対する自信を示した。 また、パーソナルビデオ事業部長の今井昌志氏は、HDR-FX1に搭載したレンズ、HDコーデックエンジン、1080i対応CCD、14bit HD DXP、3.5型液晶、バッテリーといった主要デバイスはすべてソニーグループで開発・生産することを強調。「垂直統合モデルがハイビジョンカメラを実現した」と説明した。 根本氏は世界の市場規模について、2004年に1,750万台と予測。2004年度におけるソニーの世界シェアは約40%とした。一方、国内市場はソニーマーケティング株式会社執行役員の鹿野清氏が「170万~180万台の出荷、頭打ちと見られた2001年以降、順調に成長している」と報告した。「団塊ジュニアが結婚・出産期にさしかかり、団塊以上世代が旅行や孫の撮影という需要を拓いている」(同)が要因という。 なお、DVDカムは米国を中心に立ち上がりつつあり、市場では「DVDの手軽さがカムコーダにインパクトを与えている状況。14~15%のシェアになるのでは」(鹿野氏)と説明があった。 鹿野氏はプレゼンテーションで「ビデオ8、Hi8、DV、MICROMVと、ソニーは5年周期で新フォーマットを繰り出し、市場をリードしてきた。2004年末には地上デジタル放送のエリアが広がるなど、HDへの関心も高まるはず。2004年からはHDVをDVカムとDVDカムの上位フォーマットに位置付け、ハイエンドコンシューマーをターゲットとする」とまとめた。 □ソニーのホームページhttp://www.sony.co.jp/ □ニュースリリース(HDR-FX1) http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200409/09-0907/ □ニュースリリース(1080i対応CCDやHDコーデックエンジンなど開発) http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200409/04-0907a/ □ニュースリリース(VAIOでの対応について) http://www.vaio.sony.co.jp/Info/2004/info_0907.html □アドビシステムズのホームページ http://www.adobe.co.jp/ □ニュースリリース http://www.adobe.co.jp/aboutadobe/pressroom/pressreleases/200409/20040907pre_plugin.html □カノープスのホームページ http://www.canopus.co.jp/ □ニュースリリース http://www.canopus.co.jp/press/2004/sony_hdv.htm □ピナクルのホームページ http://www.pinnaclesys.co.jp/ □ニュースリリース http://www.pinnaclesys.co.jp/news/topics/20040907.shtml □ユーリードのホームページ http://www.ulead.co.jp/ □ニュースリリース http://www.ulead.co.jp/aboutulead/pressReleases/0409/s_hdv.htm □関連記事 【3月23日】CeBIT 2004会場レポート【ビデオカメラ編】 ソニーが1080i対応HDVカメラを参考出品 http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040323/cebit06.htm 【2003年9月30日】DVテープを用いたHD記録フォーマット「HDV規格」が確定 -アドビやカノープス、KDDI、ユーリードなどが賛同 http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030930/hdv.htm 【2003年1月22日】ビクター、世界初の民生用ハイビジョンカメラ -ミニDVテープを使用し、720pをMPEG-2で記録 http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030122/victor.htm
(2004年9月7日) [AV Watch編集部/orimoto@impress.co.jp]
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