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A&Vフェスタ2004【会場レポート4】
竹中直人、井筒監督、ささきいさおらがトークショー
-三菱のDLP、富士通ゼネラルのフルHDプロジェクタも登場


会期:9月22日~25日

会場:パシフィコ横浜展示ホール
    アネックスホール

入場料:無料


 A&Vフェスタ2004の目玉はメインホールの各メーカーブースだが、併設されたアネックスホールではAV評論家や著名人を招いてのトークショーや、新製品デモなどが行なわれている。また、メーカーブースでも独自に著名人を招いたステージを展開している。

 23日には、アネックスホールに俳優で監督の竹中直人氏と、AVファンとして知られる歌手のささきいさお氏が登場。デノンのブースには、辛口コメントでお馴染みの井筒和幸監督が訪れ、会場に訪れた観客を盛り上げた。


■ 新作映画ではモノラル音声を採用

竹中直人氏

 竹中氏はAV評論家の堀切日出晴氏とのトークイベントに登場。序盤はLDやDVDなどの映像ソフトの話題として、竹中氏がメガホンを取った「東京日和」を例にパッケージや封入特典が持つ魅力について意見を交わした。

 「ジャケットの大きさも含めて、中に大きな写真が入っていたり、フィギュアがついていたり、LD時代はソフトが豪勢だった。ただ、最近はDVDのオマケも増えてきたし、VHSテープそっくりのケースにDVDが入っているタイトルなど、面白い作品が増えてうれしい」と語る竹中氏。東京日和をはじめ、自身の作品はDVDのメニュー画面に至るまで、こだわり抜いているという。

東京日和のLDについて語る竹中氏と堀切氏

 堀切氏は過去のパッケージソフトが持つ魅力として、「ブレードランナー」や「大脱走」を例に挙げ「現在出ているDVDとLDを比較すると、内容や画角などが違う作品が結構ある。また、ディレクターズカット版や特別版など、権利関係でDVD化ができないバージョンが存在する作品も多い」と語る。

 また、リンのスピーカーなどをメインにしたハイエンドシステムで、古くからホームシアターを実践している竹中氏は、ホームシアターの魅力について「非常に高いクオリティの絵と音が楽しめること。自分の作品でも、撮影時や劇場で気づかなかったことに、ホームシアターで観て初めて気がつくことがある」という。

 竹中氏は、来年公開予定の新作「サヨナラCOLOR」についても言及。竹中氏扮する医者が勤める総合病院に、彼が高校時代から想いを寄せていた女性がガンで入院してくるという物語だという。今回は特に音声にこだわったとのことで「あえてモノラルを選びました。台詞の中から音楽が流れてくるようなシーンを作りたかった。モノラルの映画を作ってみて、あらためてモノラルの良さに気が付きました」という。

 このチャレンジについて堀切氏は「キューブリックやウディ・アレンのような面白い試み」と絶賛。「最近はソフト化のサイクルが短いので、来年末くらいにはDVDになっているかもしれない。センタースピーカーだけで鳴らすのか、LRだけで鳴らすのか、AVアンプのDSPを駆使するか、今からどんな風に再生するか楽しみ」と語った。

トークショー終了後には、DVDなどが抽選でプレゼントされた。中には竹中氏と抱擁するファンの姿も


■ 三菱と富士通ゼネラルが未発表のプロジェクタを出展

ささきいさお氏

 ささきいさお氏は、AV評論家の山之内正氏と最新のフロントプロジェクタを体験。ささき氏はスピーカーのエンクロージャを自作し、共振を防ぐために内部に自らコンクリートを流し込むというほどのマニア。予想通り、非常に内容の濃いイベントとなった。

 イベントは「各社の最新プロジェクタの画質を見比べる」という趣旨で、松下電器の「TH-AE700」と、三洋電機の「LP-Z3」を用意。さらに、未発表の三菱電機のデータ用DLPプロジェクタ「LVP-HC900J」と、富士通ゼネラルのフルHDパネルを採用した液晶プロジェクタも用意された。

三菱のDLPプロジェクタ「LVP-HC900J」

 2機種の詳しい仕様や発売時期は明らかにされなかったが、LVP-HC900Jは1,024×576ドットのワイドパネルを採用し、輝度は1,400ルーメン。コントラスト比は4,000:1というスペック。価格は「TH-AE700やLP-Z3のライバルになる」(山之内氏)ということから、20万円台後半から30万円台前半の価格帯と見られる。

 富士通ゼネラルのプロジェクタは、フルHD(1,920×1,080ドット)の液晶パネルを採用。入力端子などを備えたプロセッサ部と、レンズなどを備えたプロジェクタ部で構成されており、両ユニット間をDVIケーブルで接続している。価格は200万円台前半になる見込み。

富士通ゼネラルのフルHDプロジェクタ プロセッサ部とプロジェクタ部をDVIケーブルで接続している

同社のPDPに搭載しているビデオプロセッサ「AVM-II(Advanced Video Movement II)」を備えているようだ 入力端子などを備えたプロセッサ部

 これらのプロジェクタを使用し、「マスター・アンド・コマンダー」や「ロード・オブ・ザ・リング」などのDVDソフトを比較視聴。現在ソニーの三管式プロジェクタ「VPH-G700J」と、松下電器の「TH-AE500」を使用しているというささき氏は「松下は白がとても綺麗。三洋は以前の機種から黒が良く出ていたが、黒を出そうとするばかりに全体的な画質のバランスが悪かった。けれど、Z3ではそのあたりが改善されている」と鋭いコメント。

 さらにDLPと液晶の違いについては「DLPの方が確かに細部まで良く見える。けれど、画面の明るさが平坦になって、映像のパワーが弱くなったような印象も受ける。よく見えれば良いというものじゃなくて、見えないところも必要。液晶はその点、味があるし、見ていて疲れにくいと感じる」と、山之内氏も唸る持論を展開した。

 イベントの最後には、ブルーレイディスクに記録したBSデジタルハイビジョンの映像を、富士通ゼネラルのプロジェクタで再生するというデモを実施。ささき氏は「これは凄い」と絶賛。「こういう絵は三管でも出せない。ハイビジョンは本当に可能性のあるフォーマットだと思うし、これからどんどん面白くなるはず。皆さんもぜひホームシアターを始めてみてほしい」と語った。

□関連記事
【6月2日】富士通ゼネラル、PDP用ビデオプロセッサ「AVM-II」を新製品に搭載
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040602/fujitsu.htm


■ 最近の映画はドキドキしない

井筒監督

 デノンブースでは、井筒監督のお気に入りの作品として、「イージーライダー」と「ゴッドファーザー」の一部を上映。照明が戻った会場に現れた監督は、開口一番「この頃の映画はワクワクドキドキする問題作が多かった。今の映画はみんなジェットコースターみたいになってしまった。いや、ジェットコースターにすらなっていない」と辛口コメント。会場から歓声があがった。

 「イージーライダーは、映画監督を目指していた高校生の自分にとって物凄くショッキングな映画だった」と語る監督。「主役はどんなにピンチでも必ず生き残るということに気づいて、映画にドキドキしなくなった時期があった。しかし、3人の登場人物が全員死ぬこの作品で、観た後3日間学校を休むほどの衝撃を受け、自分もこのくらい人の心を動かす映画を撮りたいと思った」という。

会場の様子

 ゴッドファーザーについては「内容はもちろんだが、構図なども映画としてとても正しい。今でも辞書のようにあの映画を観直すことがある」という。

 なお、ホームシアターについては、「作り手としては良いシステムで観て欲しいと思うが、このくらい本格的なシアターシステムを持っている人はまだ少ないと思う。もっと沢山の人が、手軽に映画を楽しむようになって欲しい」と語った。




■ そのほか

 ほかにも、メインホールでは、家族でスピーカーや、蓄音機作りが体験できる「クラフトスタジオ」を展開。AV専門誌の紹介や販売、希少なDVDビデオやCDなどの販売コーナー、新作映画の予告編や子供向けアニメを最新のホームシアターシステムで視聴できる「A&Vファミリーシアター」なども設置されており、家族連れを中心に賑わっていた。

クラフトスタジオではスピーカーや、エジソン式コップ蓄音機、ベルリナー式円盤蓄音機作りなどが体験できる


□日本オーディオ協会のホームページ
http://www.jas-audio.or.jp/
□A&Vフェスタ2004のホームページ
http://www.jas-audio.or.jp/festa2004/
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(2004年9月24日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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