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【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
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株式会社デジオンは28日、ホームサーバー/クライアント向けのデジタル家電用ミドルウェア「DiXiM」の発表会を開催した。 DiXiMは、ミドルウェアやサーバー/クライアント・アプリケーションからなるマルチメディアホームネットワークソリューション。DLNAやUPnP、UPnP AVなどのホームネットワークの相互接続に関する各標準規格をサポートし、Ethernet上の各機器に対して保存先がどの機器かをユーザーに意識させることなく検索や配信が可能になる。 NECのAVホームサーバー「PK-AX300」やシャープのAVセンターパソコン「Mebius PC-TX26GS/TX26G」、富士通の新FMVシリーズなどで採用され、UPnP AVやDLNAに対応した各サーバー/クライアントであれば、メーカーなどの違いを問わず、ビデオ/オーディオ/フォトコンテンツなどを配信/視聴可能となる。
DiXiMは、PC向けの「DiXiM PC」、ネットワーク対応のメディアプレーヤー向けの「DiXiM DMA Solution」、HDD/DVDレコーダなど向けの「DiXiM DMR Solution」など用途ごとにソリューションを用意。各機器メーカーが製品にあわせて選択し、組み込むことができる。また、各ハードウェアメーカー向けの開発用SDK「DiXiM SDK」も用意される。 DiXiM on PCは、クライアント用の「DiXiM Media Client」とメディアサーバー用の「DiXiM Media Server」が用意される。クライアントを利用すればUPnPやDLNA対応のサーバーからのコンテンツ再生が可能、サーバーでは各DLNA/UPnP対応クライアントへのコンテンツ配信が可能となる。各OEM先のメーカーがインターフェイスや独自機能などを追加して実装して製品化可能で、NECのマルチメディアソフト「MediaGarage」などで採用されている。 また、Media Server/Clientのライセンスを各3個同梱したパッケージソフト「DiXiM マルチメディア・ホームネットワーク・スターター・パック」も11月中旬より発売される。価格は9,800円。
DiXiM DMA Solutionは、DiXiM Media Clientを組み込みシステム向けに提供。それらを利用することで各ハードメーカーは、容易にネットワークメディアプレーヤーを製品化できる。Sigma Designsの「EM8620L」チップセットを利用したリファレンスキットが用意されている。 DiXiM DMR Solutionは、DVD/HDDレコーダ向けの組み込み用ソリューション。リファレンスチップなどのハードウェアとの組み合わせによりOEMメーカーに提供する。12月にリファレンスデザインを策定し、2005年4月には各メーカーから対応製品が発売される見込み。 CPRMを実装し、地上デジタル放送に対応するほか、VR録画やマルチドライブや2層ディスク対応、DVD編集機能、EPGなどの基本機能を搭載する見込み。
DiXiMソリューションの市場は、現在PCが中心となっているが、同社では2005年にはHDD/DVDレコーダやネットワークプレーヤーがPCに並び、2006年にはレコーダなどのCE系デバイスが中心となると予測している。
また、DiXiMのロードマップも公開。現在は地上アナログ放送番組などのコピー対策の施されていないコンテンツを“いかに相互接続性を保ちながら家庭内で利用するか”ということに主眼を置いているが、2005年には地上デジタル放送のコピーワンス対応などを目指す。そのため、CPRM/CPPM対応や、DTCP over IPのサポートをサポートするほか、MPEG-2のHDコンテンツ対応や、MPEG-4、AC3への対応も予定している。 また、2006年にはブロードバンドを利用したコンテンツ配信の拡大を予想しており、セキュアなネット配信機能や、マイクロペイメントなどの機能が重要視されると予測。さらに、H.264コーデックへの対応やBlu-ray、HD DVDへの対応も検討しているという。
同社代表取締役社長の田浦寿敏氏は、「5年前にホームサーバーの開発を目的に起業したが、DiXiMは当時思い描いていたマーケットの製品。家庭内で家電がネット化されれば利便性は大きく向上するが、その際に“相互接続性”が重要視される。DiXiMではUPnPやDLNAなどの標準化規格をサポートするほか、それらの策定にも積極的に取り組んでいく」という。 今後のDiXiMの展開としては、「従来どおりにオープンスタンダードとして展開し、SDKやミドルウェア、アプリケーションなどさまざまな提供形態に対応する。また、PCから家電までの各種OS、プロセッサに対応する」とし、ロードマップを紹介。近日の取り組みとしては、CPRMやDTCP over IP対応などに加え、「現在、UPnP AV Ch.2.0の規格化が行なわれており、EPGやテレビ録画の仕様が策定される予定。これらの標準化が終われば、DiXiMでも標準機能として対応する」という。なお、UPnP AV Ch.2.0の策定は2005年第2四半期頃が見込まれている。 発表会では、Intel、松下電器、ソニー、NEC、富士通、シャープなどの代表者がデジオンへの期待や、DiXiM採用の理由などを語った。
パナソニックAVCネットワークス社 デジタルAVネットワーク推進室室長 西村明高氏は、CEATECのDLNAブースに出展した液晶テレビでDiXiMを採用したと紹介。その理由を解説した。 同社ではDLNA対応のDIGA「DMR-E500H」を発売しているが、E500HではDiXiMを採用していないという。しかし、「現在発売しているデジタルテレビは全てEthernetを搭載しており、テレビ用サービス“Tナビ”なども展開している。今後はホームネットワークでほかの機器に繋がるようにしたいと考えており、DiXiMがテレビのプラットフォームで利用可能か検討したかった。テレビのCPUは非力なので、ポーティングできるか不安だったが問題なく、CEATECの数十時間に及ぶデモでもトラブルは起きなかった」という。 同社では現在DiXiM対応製品は発売していないが、、「今後の製品化時に検討していく」としたほか、デジオンへの要望としては、「単なるミドルウェアの1メーカーでなくて、相互接続性確保において、大きな役割を果たしてくれると期待している」という。
ソニー IT/モバイルソリューションズ、ネットワークカンパニー ITカンパニー 4部統括部長の萩原崇氏は、「デジオンには創業時からVAIOのバンドルソフトで協力いただいている。VAIOの付加価値向上に非常に役立った」という。また、「2002年にホームサーバーソフト“VAIO Media”をVAIOにバンドルし、あわせてネットワークTV出力アダプタとして“RoomLink”を発売したが、これらは各所で相互接続テストのサンプルとして用いられた。今後はVAIO MediaやAV統合ソフトDoVAIOでも、DLNA対応を目指している」という。 また、「相互接続性の維持についてはソニー社内だけでも大変。各メーカーの相互接続を目指すデジオンには本当に頭が下がる。皆で協力して相互接続し、日本発の素晴しい相互接続のホームネットワークの世界を発信したい」と意気込みを語った。
富士通 パーソナルビジネス本部 パーソナルシステム事業部 第4技術部部長の山口剛氏は「MyMediaというホームネットワークソフトをパソコンにバンドルして2002年末より発売していたが、本年の冬モデルからDiXiMを採用した。以前のMyMediaはほかのソリューション(Mediabolic製)を使っていたが、社内でコンペティションした結果DiXiMが勝ち残った。DiXiMではDLNAに積極的に取り組んでいる点が非常に重要。富士通もDLNAのプロモータとして活動しているが、相互接続可能なホームネットワークを協力し推進していきたい」と語った。
□デジオンのホームページ (2004年10月28日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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