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【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
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株式会社東芝は28日、同社やNEC、メモリーテック、三洋電機などと協力して推進している次世代DVD「HD DVD」のパートナ企業として、ParamountやWarner Brosなどのハリウッド大手スタジオ4社から支持を得たと発表した。
HD DVDへのサポートを表明したのは以下の4社。なお、7月にポニーキャニオンも参入を表明している。
サポート内容については、「合意の内容の詳細は話せないが、基本的にはHD DVDのタイトルを発売するということ。(ブルーレイディスクなど他フォーマットへの採用はしないという)排他的な契約かは言及できないが、HD DVDというシングルフォーマットを支持/選択していただけたものと考えている(東芝執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社長 藤井美英氏)」という。なお、発売タイトルについては、「各スタジオが決めることだが、DVDの時と同じく初年度2,000タイトル、3年後に1万タイトルを目指したい」とした。
東芝 デジタルメディアネットワーク社の藤井美英社長は「4社のサポート表明により、HD DVDの事業化に大きく前進できると確信している」と切り出し、今回の4社のDVDタイトル市場でのシェアを紹介。市場シェアは「Warner Bros(HBO、New Lines Cinemaを含む)が22%、Universalが13.3%、Paramauntが8.2%で、3社合計で約45%となる」(2004年1~6月、DVD Exclusive research調べ)と、市場の半数近くのシェアを見込めることをアピールした。なお、ブルーレイディスク陣営にはSPEとFoxの参加が予定されている。 藤井社長は、高精彩/高画質やDVDとの互換性の高さによるコストメリットなどのHD DVDの特徴を紹介しながら、「新型の平面テレビの市場の拡大とともに、HD DVDにより新しい新しい映像文化の創出を目指している。なんとしても2005年中にハードを市場に投入したい」と意気込みを語った。また、「開発はほぼ予定通りで、2005年末にはHD DVDプレーヤーを投入。HDDを搭載したHD DVDレコーダも開発を進めておりプレーヤーに近い時期に投入する。2006年中にはレコーダも10万円以下を目指したい」とした。
市場規模の予測については、「2006年度が、プレーヤー/レコーダで200万~300万台、PCが100万、2010年にはレコーダ/プレーヤーで4,000万台、PCが4,000万台強で、8,000万以上の市場が創出されると考えている」という。また、同社のロードマップも紹介し、特にプレーヤーについては、第4四半期の早い時期、あるいは第3四半期に投入。また、HDD内蔵のHD DVDレコーダも第4四半期頃の市場投入を見込んでいる。さらに、PC部門でもAVパソコン「Qosmio」でHD DVD搭載機種を第4四半期に投入する。 2010年度のHD DVD関連売上目標は約3,000億円規模を予定。同社では“コンテンツホルダとの共生による新しい映像文化の創造”をテーマに掲げているが、「低コストやDVDからのスムーズな移行、強固な著作保護機能など、要求に応えたことでハリウッドにも受け入れられた。ハリウッドでもコンシューマが今何を求めているか伝わっているし、その結果が今回のサポートの表明と感じている」と“共生”の成果をアピールした。
また、HD DVD ROMのプレスを担当するメモリーテックの川崎代治代表取締役社長は、低コストや既存設備の応用などのHD DVDのメリットを紹介しながら、「DVDからのスムーズな移行」をアピール。また、既に米国の大手設備メーカーなどと協力を進めており、DVDとの共用ラインなどについては、「どの会社からも前向きな意見をいただいている」という。 NEC 執行役員常務 コンピュータプラットフォームBU担当の近藤忠雄氏は、「現状で、液晶の高解像度化に映像コンテンツが追いついていない。そのための映像コンテンツを早急にマーケットに投入することが必要」とHD DVDの早期の市場立ち上げをアピール。PC/AVの両プラットフォームで利用可能なHD DVDの魅力を紹介した。 また、同社のHD DVD製品計画も紹介し、「2005年9月にHD DVD ROMドライブ、12月にはHD DVD-RWの製品化を予定している。また、NECパーソナルプロダクツでも搭載パソコンの発売を予定、さらにNECエレクトロニクスでもLSIやブルーのダイオードなどに積極的に取り組んでいく」と語った。 三洋電機 執行役員 AVソリューションズカンパニー社長の岩佐芳郎氏も「DVDからのスムーズな移行」をキーにHD DVDへの取り組みを説明した。また、製品投入の予定は、「プレーヤーなどの製品は2005年の第4四半期を予定。コンポーネントはもう少し早くなる」と語った。 また、HD DVDとブルーレイの競合にについて、東芝DM社の藤井社長は「私自身は戦いという意識を持っていない。HD DVDはまずはきれいな映像ソフトがかかるということを第一にしている。消費者の観点に立ってみると、今のDVDの資産を使えるという点でメリットが大きい。1ドライブでCD/DVD/HD DVDがかかるということもあるし、ビジネススキームから考えて、HD DVDとDVDの並存というのは大きなポイント。また、ハリウッドが海賊版によって失っている利益を考えれば、いち早く強固な著作権保護機能を持ったディスクを投入できるのもメリット」と話す。 さらに、ROMの立ち上げの早さなどを例に引き、「つまならない争いはしたくない、ハリウッドがブルーレイで行く、というならブルーレイだっていい。しかし、コンシューマにとって何がベネフィットかを考えてみると、どちらが勝つかということではなく、コンテンツホルダの考えや、いかに安く提供できるかとかを考慮する必要がある。セミコン(東芝セミコンダクター社)にいたときはブルーレイでも別にいいと思っていたが、消費者の立場に立ってみるとHD DVDではないか」と語った。
HD DVDとブルーレイの統一については、「社内的には私も何度も“なんとかならないのか? ”と聞いてきたし、いろいろな可能性を考慮してきた。いろいろな観点で統一は考えてきたが、(保護層の厚みが)0.6mmと0.1mmとまったく異なっており、単純な統一は難しい」という。ただ、「消費者にとって何がベストかと考えると、録画はHDDという流れがある。皆が200GBのディスクを求めるのならばブルーレイでいいと思うが、放送局以外は誰も欲しいといわない。だから再生についてはDVDとの下位互換が最重要、次はコスト/信頼性になる。録画に関しては、HDDの登場によりストレージや光ディスクのコンセプトが変わっている。シングルフォーマットは理想的で、常に話し合いは続けいていくが、(コンセプトの違う両者の)変な形での統一というのはやめたい」と語った。
□東芝のホームページ (2004年11月29日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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