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株式会社日立製作所と松下電器産業株式会社は7日、都内で記者会見を開き、2社がプラズマディスプレイ事業の包括的協業を推進していくことで合意したと発表した。両社は今後、開発・生産・マーケティング・知的財産権などの分野で提携。グローバル市場における競争力の強化を図る。 具体的な協業内容は「今後議論、検討していく」としているが、現在想定されている内容は以下の通り。 まず、開発分野ではPDPモジュール部材にかけるコストを削減するため、部材の標準化などを含め、両社が協力して部材メーカーとの連携方法や可能性を探る。さらに、互いのグループ企業の保有する部品や部材の相互活用を行ない、製品性能の向上やコストの低減などを進めるという。 新技術の開発に関しても「できる限り協力していきたい」(日立 庄山社長)としているほか、国内外のPDPに関する最新情報の収集、交換なども行ない、両社の技術力向上にも努めるとしている。 また、生産分野では、次世代の生産設備の標準化や、生産プロセスの相互ベンチマーキングを検討。生産性向上を図っていく。
さらに、マーケティング分野でも協力。パナソニックAVCネットワークス社 社長の大坪文雄氏によれば「互いの製品は従来通りそれぞれが宣伝するが、広視野角や応答速度に優れた動画性能、色再現性など、プラズマテレビ全体の利点を共同で、ユーザーに訴求していきたい」という。 また、協力はPDPに関する知的財産権の分野にも及ぶ。2月2日の発表の通り、日立は富士通と折半出資しているプラズマディスプレイ事業会社、富士通日立プラズマディスプレイ株式会社(FHP)の株式約30.1%とPDP関連知的財産権を富士通から譲渡される。これに伴い、日立はFHPをグループ企業として迎え入れ、富士通が所有していたPDPに関する特許(日本で約700件、海外で約600件)も手にすることになる。
日立はこうした特許を管理するための会社の設立を検討しており、新会社には松下も出資を行なう予定。両社は「継続的、かつ安定的な相互ライセンス関係を構築する」としている。松下がどの程度の出資を行なうか、また、クロスライセンスとなるのか、など詳しい事項について日立の庄山悦彦社長は「お互いにとって有意義になるなるよう考えているが、まだクロスライセンスになるかどうかはわからない。富士通から買い取った特許だけでなく、新しく開発した技術をどうするか、などはこれからの議論していく。出資についても、いつごろ、いくら出資をお願いするかは今後の話し合いで決めたい」とした。
■ 協業の理由はコスト問題
日立の庄山社長は「今の薄型テレビに要求されているのは、美しいことと、大型であること。そして、低価格であること。協業の動機は“コストを下げること”というのが、両社の基本認識だ」と語る。さらに、激化する価格競争に打ち勝つためには「プラズマテレビのコストの大半を占めるPDPをどのように作れば合理的に作れるか、コストを削減できるかを考えるのが大切。両社がPDPの部材の調達を一緒に行なえば、部材メーカーからより安い仕入れが行なえる」と利点を訴えた。
また「協業の話を持ちかけたのは日立から。プラズマテレビのリーディングカンパニーである2社が、互いの良いところを持ち合って協力すれば、PDP全体の市場拡大にもつながると考えた。根幹にあるのは、プラズマが大画面に適した技術であり、自発光の美しさや、技術革新に伴う今後の将来性を確信し、PDPを広く普及させていきたいという思いだ」と語った。
中村社長は「これまでも家電や半導体などで日立と提携していたが、PDPでも包括的な協業が行なえて大変うれしく思う。プラズマテレビの市場は現在、日本で42万台、米国で94万台、全世界で270万台。2008年度には最低でも1,000万台の市場になると予測されている。こうした需要を見据えて、プラズマを戦略商品として、基幹部品をベースに完成品までの一貫生産を行うことで、最高レベルの品質、コスト力を保持したい。今回の協業は、互いの技術をさらに高度化し、プラズマを日本が誇るキーデバイスとしてグローバルに拡大発展させるためのもの。ものづくり日本の復活にも貢献していきたい」と展望を語った。 なお、今回の協業の分野が多岐に渡っていることから、製品としての両社の差別化をどのようにつけていくのかという質問について庄山社長は「実際にPDPを生産するための設備や、品質管理、どこの部門で稼ぐかなど、両社には考え方の異なる部分があり、競争原理は今後も働いていく。今回はあくまでPDPに関する協業で、テレビという製品になるまでには独自の技術や機能も盛り込まれる。日立だとALIS方式、松下だとSDカードを使った3Dバリューチェーンなど、色々なものがある。最終的な製品としてのプラズマテレビにおいて、両社が競争相手であることに変わりは無い」と語った。 液晶パネルについては両社長とも「30数インチ以上はプラズマ、それ以下は液晶」という基本的な考えで一致しているという。「それゆえ、大画面ではプラズマという共通の思いが、両社の協業につながったとも言える」(庄山社長)と語る。
また、パイオニアとの協業の可能性について質問されると、庄山社長は「パイオニアとは特に今までコンタクトしたことはない。もちろんそういうお話になっても拒む理由はないが、今のところは考えていない」と回答した。
□日立のホームページ
(2005年2月7日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp/usuda@impress.co.jp]
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