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2003年12月12日に鳴り物入りでレコーダ市場に参入したPSX。当初の話題性に比べ、実際のセールスの方は伸び悩んでいる。そのPSXも4月15日に発売される「DESR-7700/5700」で、第4世代まで世代を重ねた。 新PSXの最大の特徴は、ポータブルゲーム機/AVプレーヤー「PSP」へのMPEG-4変換機能を搭載したこと。従来PSP用の動画を作成する際には、パソコンを利用する必要があったが、新PSXではそれがDVDレコーダでも可能になるという。早速テストして使い勝手を検証してみた。 MPEG-4動画を作成できるDVDレコーダは、松下電器の「DIGA」シリーズの一部機種なども存在する。DIGAシリーズでは動画形式としてSD-Videoを採用しており、D-snapなどのポータブル機器との親和性の高さをアピールした。 一方のPSPの動画形式は同じMPEG-4ベースではあるものの、「メモリースティックビデオ」という独自の形式。メモリースティックビデオが作成できるレコーダは新PSXが初めてとなる。 ■ 番組の約4~5倍のダビング時間
新PSXでは、本体前面の右端にメモリースティックスロットを装備している。注意が必要なのはPSPで利用できるのはメモリースティックではなく、より小型の「メモリースティックDuo/メモリースティックPRO Duo」ということ。そのためDuo用のメモリースティックアダプタが必要となる。 メモリースティックへのダビングはシンプルで、PSXのメニュー画面の「ビデオ」から「HDD-M.S.ダビング」を選択し、ダビングしたいファイルを選択するだけだ。録画予約時にメモリースティックへの書き出しを選択することはできず、メモリースティックへのダビングはあくまで録画後にファイルを選択して行なう必要がある。 「HDD-M.S.ダビング」を選び、メモリースティックを認識すると、[追記]、[全動画削除]、[フォーマット]の各操作を選択できる。 単に追記だけでなく、動画削除やフォーマットを用意しているのは、一度見たファイルを削除する手間を省くことができて非常に便利。何度もダビングして使うための配慮がきちんとなされていると感じられる。ただ、フォーマットを実行した場合は、PSP用のゲームデータも消去されてしまうので注意が必要だ。 メモリースティックの認識が数秒で終わると、録画した番組がリスト表示される。ここで、ダビングしたいファイルを選択し、リモコンのスティックで右を押すと、ダビングの所要時間と画質モードが確認できる。ここで決定を押すとダビングが開始される。
ファイル選択画面でリモコンの△ボタンを押すと画質モードの選択も行なえる。画質モードは768kbpsと384kbpsが用意される。解像度はともに320×240ドット。PC用ソフトのImage Converter 2.1では、上記2モードに加え、320×240ドット/192kbpsと、160×120ドット/96kbpsの合計4モードが用意されていたが、「PSPの高い液晶品質を生かすため、あえて高レートの2モードのみとした(同社)」という。 気になるのは、変換時間だが、同社によれば768kbpsで実時間の約5倍、384kbpsで約4倍かかる。ソフトウェアエンコードとはいえさすがに遅すぎる。 実際に試したところ、HQモードで録画した25分番組をMPEG-4に変換した際のダビング時間は、768kbpsで1時間45分01秒、384kbpsで1時間08分40秒。384kbpsは少しだけ公称値より早いとはいえ、PCを利用したImage Converterがほぼ実時間程度で終わることを考えると、遅いとは間違いない。 しかも、ダビングが始まると他の操作は受け付けず、録画番組の視聴や番組表の出力、録画予約などは行なえない。ただし、事前に予約済みの録画は実行される。また、ダビングファイル選択画面で、複数の録画ファイルを選択することもできるので、バッチエンコードも行なえるが、一度にダビングできるのは15タイトルまで、総再生時間の合計が2時間までとなる。
■ 操作性/画質には満足だが…… ダビングしたファイルは、メモリースティックDuoのルートフォルダに、[MP_ROOT]-[101MNV01]というフォルダが生成され、その中に「M4V0****.MP4」(*は任意の数字1文字)というファイル名で保存される。メモリースティックDuoをPSPのスロットに挿入すると、PSPの[ビデオ]メニューでファイルが認識される。PSX上の録画タイトルも継承して表示される。 画質については、パソコンで見る分にはやや解像度の低さが目立ってしまうが、PSPでは十分納得できる画質。動きの大きな映像以外では384kbpsでも十分使えるという印象だ。
操作性はわかりやすく、画質にも満足。しかし、やはり気になるのはダビング時間の長さ。「ソフトウェア処理なので、どうしても時間がかかってしまう。従来機種(DESR-7500/5500)からのアップグレードも考え、ソフトウェアでの対応となった(同社)」とのことだが、やはり実時間の4~5倍というのは長すぎる。 そもそも2時間以上の番組はダビングできないという制限も痛いが、2時間番組だと変換に8~10時間かかるわけで、設定してから寝て、翌朝起きてもまだ変換しているということもあり得る。利用するのは現実的でないということなのだろう。 DIGAのSD-Video作成機能は、録画時に自動的にSD-Video動画を通常の録画番組と一緒に作成するため、一概に比較はできないが、それでも実時間で録画ができるという意味では既に2年近く前に実現していた。今回のPSXのアップデートは「とりあえずできることから対応した」というレベルのモノかもしれないが、やはり今後は対応ハードウェアエンコーダの採用などによる高速ダビングには期待したい。 □ソニーのホームページ (2005年4月7日) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp/usuda@impress.co.jp]
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