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コンテンツ海外流通促進機構(CODA)は10日、2005年1月から4月までに香港税関や中国・台湾の取締執行機関が著作権法違反などに基づいて、計107件の取締りを実施。日本の映画やアニメ、テレビドラマ、ゲームソフト、音楽CDなど、計70万7,709枚を押収し、59名を逮捕したと発表した。 CODAでは、2005年1月から香港、台湾、中国などで現地の取締執行機関やコンテンツ関連団体などと、海賊版摘発に関してのミーティングを実施。さらに、実際に取締りを行なう担当者に海賊版の真贋判定のポイントなどをレクチャーするトレーニングセミナーを開催するなど、権利保護基盤の構築に向けた活動を本格的に開始していた。 今回の摘発結果は、その成果として発表された。押収品と逮捕者の内訳は、中国(北京、上海、広州、深センなど)で15万9,848枚/7人、香港で49万9,847枚/51人、台湾(台北、台中、桃園)で4万8,014枚/1人となっている。なお、1枚あたりの市場価格を1,500円と見積もると、押収物の総額は10億6,000万円以上になるという。調査の対象となったのはSNKプレイモア、角川映画、国際メディア・コーポレーション、サンライズ、スタジオジブリ、バンダイビジュアルの計6社の商品。
CODAの角川歴彦代表は今回の成果について「‘88年から2004年までの17年間で、日本国内で権利者団体が任意で回収した海賊版の数量は43万1,231本である。それと比べると、1月から4月までで70万枚以上という数字がいかに大きいものかがわかる」とし、摘発の成果を強調。 さらに「調査店舗数は計994件だったが、中でも香港で日本の海賊版専門店が密集したビル“信和中心”を一斉摘発できたのが大きかった。この一帯だけで、20万枚の海賊版を押収した」という。
また、現地の海賊版の状況について「権利者として今まで、定期的な取締りを行なっていたのは米国映画協会(MPA)だけで、彼らが把握している海賊版の2割程度は日本のコンテンツだった。しかし、MPAは米国のコンテンツの担当であり、日本コンテンツの海賊版はそのまま放置される状況が続いていた。こうした状況打開した新たな1歩」と説明した。
なお、CODAは、海外で流通する日本のコンテンツに統一のマークを付ける「コンテンツ海外流通マーク」を2004年9月に発表。海賊盤に対し、マークの商標権に基づいて権利行使を行なうというもので、著作権に基づく権利行使と比較し、関係当局への証明が簡単に行なえるのが特徴。よりスピーディーな対策方法として期待されている。 CJマークの進捗状況については、香港で既に商標登録済みで、中国、韓国、台湾、米国、EU諸国、日本では出願中。出願分類としてはCD/DVD/ゲームソフト/出版物/玩具/オンラインでの電子出版物・映像・画像など多岐に渡っている。現在の参加企業は正会員が17社で賛助会員が11社・団体。今後も増加していくという。
ただし、CJマークを付けた製品はまだ販売されていないため、今回の摘発は著作権の侵害に基づいて行なわれた。この点について角川代表は「CJマーク委員会は現地での情報収集や担当者へのトレーニングセミナーを実施するなど、既に活動を開始している。マークの付いた製品はまだ無いが、認知拡大を進めており、そうした活動が今回の摘発に繋がったとも言える」と、活動成果を称えた。
なお、今後の計画についてCJマークの後藤健郎委員長は「今回の結果も氷山の一角に過ぎないと考えている。取締りの基本方針としては、製造業者や流通業者、そして繁華街で店舗を構えて堂々と販売するような悪質な業者を第一のターゲットとしていきたい」という。
また、「今年度に、中国と香港、台湾で計9回のトレーニングセミナーの開催を予定している。また、CJマークが普及すれば、著作権と商標権の両方から対策をとれることになる。本年度に最低でも300~400件の取締りと、50件以上の刑事立件を目指して活動を強化していきたい」と、抱負を語った。
■ 「中国がマーケットになれば、日本のコンテンツ業界は一変する」 角川代表はアジアで海賊版が氾濫するようになった原因について、「コンテンツの輸出を行なうと、自分達が販売したものが、逆輸入版として日本に戻ってきてしまうというリスクがあり、我々自身が臆病になっていたことが一因でもある」と言う。
しかし、「今後はリスクを認識した上で、国をあげてコンテンツを安全に、正常なルートでアジアの人々に見てもらえるよう努力していきたい。例えば中国が日本のコンテンツの市場として正常なマーケットになってくれれば、それだけで日本のコンテンツ業界が一変するような魅力を持っているはず。取り組みはまだ始まったばかりなので、今後3年間くらいの活動を見守ってもらいたい」と語った。
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(2005年6月10日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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