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ソニーは14日、新薄型テレビブランド「ブラビア(BRAVIA)」を発表。3LCDリアプロ2モデル、液晶テレビ3シリーズ6モデルの合計8モデルを10月より順次発売する。価格は全てオープンプライス。 発表会では、「ソニーテレビ復活」に向け、同社のテレビ事業戦略、デバイス戦略などが明らかにされた。
液晶テレビの最上位モデル「Xシリーズ」はフルHD対応の液晶テレビで、視野角178度、コントラスト1,300:1、応答速度8msのS-LCD製「ソニーパネル」を採用する。新開発バックライトを搭載し、広色域の再現に対応。高画質化エンジンとして「DRC-MFv2」を内蔵し、立体感や精細感、質感を的確に再現可能とした。 また、リアプロジェクションテレビ「Eシリーズ」は、表示デバイスにSXRDでなく3LCDを採用した低価格大型テレビ。自社製の0.73型3LCDパネルや、DRC-MFエンジンを搭載。HDMI端子も備えている。
■ BRAVIAはソニーテレビ復活の第一歩
新ブランドの発表にあたり、テレビ事業を担当するホームエレクトロニクスネットワークカンパニーのNCプレジデントでもある井原勝美代表執行役副社長がテレビ戦略を解説した。 井原副社長は、ソニーのテレビ事業を振り返り、「テレビはいつもソニーのエレクトロニクス事業の中心にあった。'68年の初代トリニトロンに始まり、'97年のFDトリニトロンなど圧倒的な強みを持ち、2000年前半には世界ナンバーワンテレビメーカーとして不動の地位を築き上げた。しかし、液晶やプラズマなどのフラットテレビの世代に入り、市場におけるソニーの存在感がやや薄くなっていたことは否めない」と、近年のテレビ事業を振り返った。 「しかし、薄型の世代でも着々と準備を進めてきた。新しい液晶/リアプロジェクションテレビからは“ベガ”からは決別し、新たなブランドで、新しいソニーテレビ完全復活の第一歩を踏み出す」と述べ、新ブランド「BRAVIA」を披露した。 今秋の新ブランド立ち上げについては、「ソニーのデバイス、テクノロジ、デザインの全てに準備が整った」とし、3つの新テレビのセールスポイントをアピール。DRCなどの映像技術、ソニーのデザインパワーを強調したほか、デバイスについてはサムスンとソニーによる液晶製造合弁会社S-LCDの稼働を挙げ、同社製のパネルを「ソニー自身の技術を投入し、ソニーの品質基準を満たす“ソニーパネル”」と表現。「ソニーのテレビに最適化し、ハイパフォーマンスかつコスト競争力あるパネルで、これからLCDのビジネスを展開する。また、高温ポリシリコンやSXRDも社内で持ち、映像技術の中心となるデバイスの準備が整った」と説明する。 「新しいテレビの時代に、新しいブランド、新しい商品を投入する。BRAVIAで“ソニー、ここにあり”という存在感を打ち出していきたい」と意気込みを語った。
■ 年末商戦の目標シェアは30%
ソニー シニアバイスプレジデントで、ホームエレクトロニクスネットワークカンパニー テレビ事業本部長の木暮誠氏は、BRAVIAのテクノロジについて解説。日本市場では液晶テレビが中心になると予想しており、テレビにつながる機器のHD/高品位化のために、色再現、解像度、動画性能、音質などの各方面からの性能向上を目指すという。 デバイス戦略については50型未満の中小型については液晶を、40型以上の大型サイズにはリアプロジェクションを推進する。また、リアプロテレビについては、今までは「暗い、重い、ぼけている、厚いなどの批判も受けてきたが、Eシリーズは非常に小型/コンパクトで、フィルムライクな画質を再現できた。リアプロが北米市場で受け入れられている理由を分析してみると、映画文化との親和性、フィルム的な画質が重要」と説明した。 また、ソニーマーケティング株式会社 コンスーマAVプロダクツマーケティング担当執行役員 鹿野清氏はマーケティング戦略を解説。 2005年9月に薄型テレビの普及率が15.7%で、今後は「マス層が動きだし、爆発的普及期となる。多様化する要求に対して、新しいラインナップが必要となる。潜在的なユーザーの開拓に注力する」と、今回のBRAVIAシリーズ展開のターゲットを解説。例えば、液晶テレビのBRAVIA V/Sシリーズについては、機能差がほとんど無いが、「マス層、エントリーマーケットの拡大時にはデザインを選択できること、気に入ったデザインを選べることが非常に重要」という。 さらに、エントリー層で“ちょっと大きめ”を希望する人のためにリアプロジェクションのEシリーズを用意。特に同社によるアンケート結果では希望サイズは36V型がトップに来るが、ユーザーの潜在ニーズは40V型以上で、手頃な価格の大画面テレビが必要とされるという。BRAVIAシリーズによる目標シェアは「年末商戦に向け台数ベースで30%」。
なお、今回SXRDを利用したフルHDリアプロジェクションテレビを発売しなかったことについては、「北米市場では既に発表しているが、日本はこれから花の咲く市場。まずはお手頃な製品から始める。ただし、北米モデルは開発済みということもあり、需要を見て製品化を検討する(木暮事業部長)」という。 なお、S/VシリーズではHDMI端子を装備していないが、「まだ、(次世代光ディスクにおけるアナログ出力の可否など)国内での仕様/運用が決まっていないと聞いている。コストや製品のポジショニングを考え、HDMIの搭載を見送った」と説明した。 ■ ディーラー向け内覧会で新製品や参考展示も
発表会場では、特約店向けの内覧会「ソニーディーラーコンベンション」も実施。今秋発売の新製品が一同に並べられたほか、未発表製品や参考出展製品も多数展示された。 未発表製品としてはHDDを内蔵したオーディオコンポ「Net Juke」の新モデルを出展。ネットワークウォークマンとの連携デモを行なっていた。 新Net Juke(NAS-NEW)はCDやMDを内蔵し、CDからMDやHDDへのダビングに対応したCD/MDコンポ。4.3型の液晶ディスプレイを搭載し、エニーミュージックに対応。ネットワーク経由の楽曲購入に対応するほか、PC無しで対応オーディオプレーヤーへの音楽転送が可能となる。 また、サラウンドヘッドフォン「MDR-DS1000」も出展。7日発売のデジタル伝送対応のコードレスヘッドフォン「MDR-DS6000」と同等のバーチャルサラウンド機能を搭載したレシーバーユニットとワイヤードヘッドフォンから構成されるシステムで、10月10日発売予定。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は1万円前後の見込み。 光デジタル入力端子を装備し、パソコンやDVDプレーヤーなどと接続して。ヘッドフォンでサラウンド再生を楽しめる。ドルビーデジタル/DTS/ドルビープロロジックIIデコーダを内蔵し、内蔵のプロセッサでバーチャルサラウンド化する。前面にヘッドフォン出力(ミニジャック)を2系統備えており、2つのヘッドフォンでサラウンド再生を楽しめる。付属ヘッドフォン以外の汎用ヘッドフォンも接続可能。
8日に発表された「ウォークマンAシリーズ」に加え、MPEG-4ビデオ記録に対応したデジタルカメラ「DSC-M2」などの新製品も展示。 また、SXRDを搭載したフルHDフロントプロジェクタの新モデル「VPL-VW100」も出展。未発表のAVアンプや同社製のスピーカーシステムで構築されたシアターシステムで投写デモも行なわれた。 さらに、メモリースティックPROに記録した1,440×1,080ドット/10MbpsのMPEG-4 AVC映像をPC上で再生するデモも実施。PCの負荷が高いため、1,920×1,080ドットのMPEG-4 AVCの再生は現段階では難しいが、メモリースティックPROの転送速度は15Mbps以上のため、より高ビットレートなHD映像にも対応できるという。
□ソニーのホームページ (2005年9月14日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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