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新世紀の「ガンダム」として、男女を問わず高い人気を集めた「機動戦士ガンダムSEED」。その続編となる「SEED DESTINY」の最終回と、同時間帯枠(土曜日6時、通称“土6”)で放送される新番組「BLOOD+(ブラッド・プラス)」の第1話を鑑賞するリレーイベントが10月1日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催。会場には抽選で選ばれた5,000人のファンが集まった。
このイベントは、会場のスクリーンで同日放送された「ガンダムSEED DESTINY」の最終回を全員でリアルタイムで鑑賞。その後、10月8日から放送される新作「BLOOD+」の第1話を一足早く体験しようというもの。
当日はアニメの放送だけでなく、ゲストとしてBLOOD+のキャストが登場。生アフレコを披露したほか、両作品のオープニングを歌う高橋瞳のスペシャルライブも行なわれるなど、密度の濃いイベントとなった。
■ DESTINYからBLOOD+へ ザフト軍の軍服を纏った女性ファンなど、コスプレをした観客も多く、熱気に溢れる会場。アニメの最終回放送をリアルタイムで、5,000人が観賞するという前代未聞のイベントが幕を開けた。「ガンダムSEED DESTINY」の上映が開始されると会場は水を打ったように静まり返り、全員が映像に集中した。
最終回では大規模な戦闘の終結が描かれたが、SEED DESTINYらしく各キャラクターの立ち位置や意見をあえて1つにまとめず、善も悪もなく、それぞれの登場人物がそれぞれの“正しさ”を最後まで追い求める姿が印象的なラストとなった。上映が終了すると会場には大きな拍手が巻き起こった。 戦争というテーマの中で“非戦”を訴えた前作から一歩踏み込みながら、視聴者の数だけ答えのある最終回だったと言って良いだろう。ただ、1話の中に盛り込む内容があまりにも多いため、物語としては若干語り残した部分があるという印象も受けた。このあたりはDVDなどで補完されることを期待したい。 次いで「BLOOD+」第1話の上映。テレビ版のBLOOD+は、映画版の「小夜という少女が刀を持ち、翼種(異形の生物)と戦う」という大まかな設定を踏襲しながらも、物語の舞台を‘66年の横田基地から、現代の沖縄に移動。1年以上前の記憶を失っている女子高生・音無小夜が、謎の多いチェロ奏者の青年・ハジと出会い、日本刀を手渡されたことで、彼女に架せられた宿命の歯車が回りはじめる……という物語。なお、詳しくは製作発表会のレポートで紹介している。 魅力的な男性キャラが多数登場するSFのロボットアニメから、物語は一転して現代の沖縄へ。主人公が女子高生ということもあり、女性ファンの多い会場の反応が気になるところ。しかし、冒頭のショッキングな殺戮シーンから物語の緩急の付け方が絶妙で、一気に観客の心を掴んだようだ。 また、テレビアニメのレベルを遥かに超えた、足先から指先までの細やかな演技と動きが圧巻。単なる会話や食事のシーンでも実在感を強く感じる作品だ。本格的な戦闘シーンは2話以降になるようだが、アニメファンには要注目のシリーズが開始されたと言って間違い無いだろう。
■ 5,000人を前に緊張のアフレコ
続いて、会場にはBLOOD+から、音無小夜役の喜多村英梨さん、宮城カイ役の吉野裕行さん、デヴィッド役の小杉十郎太さん、ルイス役の長嶝高士さん、金城香里役の門脇舞さん、ヴァン・アルジャーノ役の諏訪部順一さんが登場。ミニイベントとしてダイジェスト映像を使った生アフレコを披露した。 通常、イベントで行なわれる生アフレコは長くても数分で、ギャグやアドリブを交えた“お遊び”的なものが多いが、今回は15分と長時間。5,000人の観客を前に大変なプレッシャーだと想像されるが、長台詞も含め、1つのミスもなく演技は終了。アメを舐めるのがトレードマークのヴァン・アルジャーノを演じる諏訪部さんは実際にアメを舐めながら演技をこなすなど、プロの仕事ぶりに会場から大きな拍手が起こった。 小夜役の喜多村さんは「こんな大きな規模のイベントが開催されるほどの作品に関わるのは初めて」と緊張ぎみ。しかし「小夜と一緒に成長できるよう頑張りたい」と抱負を語る。 カイ役の吉野裕行さんは自らが演じるキャラクターについて「喧嘩っ早くて無謀なところもある男ですが、それは家族を思っての行為であり、根は非常に良い男だと思う」と分析。 「SEED DESTINYの最終話を、ガンダムシリーズとして非常に懐かしく見た」というのは翼手を追い続ける組織、「赤い盾」のメンバー、デヴィッド役の小杉さん。「イベントの前に赤い羽根共同募金を見かけて、“赤い盾”を連想して募金してきました」と羽を見せて笑う。 同じく「赤い盾」のメンバー、ルイスを演じる長嶝さんは「ルイスは色んな舞台で色んなものを食べてるキャラなので、普段の自分と同じ。役作りはいりません」と笑顔。シリアスなシーンの多い作品だが、香里役の門脇さんによれば「アフレコ現場は自然体で楽しいです。でも戦闘シーンは緊張感あります」とのこと。
生アフレコでアメをほおばっていた諏訪部さんは「生アフレコはアメに気をとられてボロボロでした」と謙遜しつつ、「もっと良い演技を見ていただくためにも、ぜひ放送み見てください」と締めくくった。 続いて、SEEDからBLOODへバトンを手渡すべく、SEEDを代表してアスラン・ザラ役の石田彰さんがサプライズ・ゲストとして登場。女性ファンを中心に、この日最大の会場が割れんばかりの歓声がが巻き起こった。
石田さんは「SEEDをもう半年くらいやっても良いかなぁ」など、ジョークを交えたコメントで思い出を振り返った後、「5,000人を前にした生アフレコには同業者として感動しました。僕は絶対耐えられそうにない。BLOOD+にゲストキャラとして出たいなぁと思っていたけど、もしその話があってもイベントの生アフレコ無しという条件で」と笑いを誘った。
■ 高橋瞳スペシャル・ライブ
放送枠である土曜日6時、通称「土6」(ドロク)は、音楽的にも豪華なスタッフが固めているのが特徴。BLOOD+でも抜かりはなく、エンディングは元ちとせが担当。また、SEED DESTINYに引き続き、オープニングは高橋瞳が担当。新人ながらSEED DESTINYの主題歌を担当し、オリコン初登場1位を獲得した実績の持ち主で、イベントでは高校1年生とは思えない貫禄のライヴを披露した。 会場はアニメ鑑賞イベントから、スタンディングのライブ会場に変身。「僕たちの行方」や「メロディー」、「evergreen」など5曲を歌い上げ、イベントは幕を閉じた。
アニメ界でも実写テレビドラマのように、「放送枠」は存在するが、その枠が一種のステータスとして認知され、一般化するには至っていなかった。だが「土6」枠はSEED、鋼の錬金術師、SEED DESTINYとヒット作を重ねることで、“アニメのゴールデン枠”として浸透しつつある。毛色の違う2作品を同じイベントの中でリレーで繋ぐという今回のイベントにより、放送枠のブランドイメージはより強まったと言えるだろう。BLOOD+へと渡されたヒット作のバトンが、今後どのように羽ばたいていくかに注目したい。
□BLOOD+の公式ホームページ
(2005年10月11日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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