|
Microsoft会長兼Chief Software Architectのビル・ゲイツ氏の基調講演で発表された、新バージョンの「Portable Media Center」(PMC)搭載のポータブルビデオ/オーディオプレーヤー。講演では東芝のgigabeat Sシリーズが公開されたが、CESの会場では、LG電子とTatungも対応端末を展示している。 PMC端末は、Windows Media Player 10以降と連携して動画や音楽、静止画が転送できるのが特徴で、今回のCESで発表された3社のモデルは、「Windows Mobile Software for Portable Media Centers Version 2」を搭載。縦方向の液晶用のメニュー表示や、再生可能フォーマットの拡充、Xbox 360との連携機能などの機能が加えられている。しかし、GUIデザインはこれまでのPMCと同様に、Windows MCE風となっている。
■ 東芝
東芝のgigabeat S30/60の仕様は既報の通りで、1.8インチHDDを内蔵。S30は30GB、S60は60GBモデル。実売価格は「S30」が299ドル、「S60」が399ドルで3月発売予定。日本での発売は未定。2.4型の240×320ドット液晶を備え、26万色表示が可能となっている。
詳細な仕様は未定だが、映像はMPEG-2、WMV、DivXの再生に対応。音声はWMA、WMA Lossless、MP3に対応。WM DRM 10をサポートし、有料配信されたWMA、WMVファイルなども再生可能。静止画はJPEG表示に対応する。縦/横位置表示の切り替えも可能。Xbox 360からgigabeat S上の楽曲などを検索できるほか、Xbox Liveで購入したWMVファイルを転送し、再生することも可能。米国で展開されている映像配信サービス「Vongo」のコンテンツも閲覧できる。また、FMチューナも内蔵する。
■ LG電子 LG電子の「PM70」は、4.3インチで16:9のワイドTFT液晶を搭載するのが特徴。30GBのHDDを内蔵しており、音楽はMP3、WMA、OGG、WAV、ASFの再生に対応。映像はMPEG-2/4、WMV、Divx、XviDをサポート。対応ビットレートなどは決定していない。gigabeat Sシリーズと同様に、動画配信サービスで配信された動画/音楽ファイルも再生できる。
JPEG/BMPの静止画に加え、テキストファイルの表示も可能。PIM(Personal Information Management)機能に対応するのが特徴で、パソコンとUSB接続し、Outlookのデータと同期が行なえる。さらに、デジタルカメラとUSB接続し、ホストとして静止画を取り込むフォトレージ機能もサポートする予定。
外形寸法は154×25.3×77mm(幅×奥行き×高さ)。AV入力端子も備えており、本体でエンコードが可能(フォーマットは未定)。イヤフォン出力に加え、17mm径のステレオスピーカーも内蔵している。電源は交換可能なリチウムポリマー充電池で、最大16時間の連続再生が行なえる。 なお、発売日に関しては「北米で、2006年上期のできるだけ早い時期にリリースしたい」という。日本での販売については未定。価格は500~600ドル程度になるという。 また、LG電子のブースにはPMCではないが、同じく2006年前半の発売を予定している小型のポータブルビデオ/オーディオプレーヤーを参考展示している。 「JM53」は8GBのHDDと、1.77型の有機ELディスプレイを備え、MPEG-4動画とMP3/WMA/OGG/JPEG/BMPの再生とテキスト表示が行なえる。外形寸法は100.7×48×14mm(縦×横×厚さ)。4月頃の発売を予定しており、価格は300ドル程度の見込み。
さらに小型の「FM30」はフラッシュメモリ内蔵タイプで、同じく1.77型の有機ELディスプレイを搭載。再生可能なフォーマットはJM53と同じで、外形寸法は66×41.6×14.9mm(縦×横×厚さ)。1GB、2GB、4GBをラインナップする予定で、1GBモデルは200ドル程度の見込み。
■ TATUNG 台湾TATUNG(大同)は、新バージョンのPMC端末を展示している。モデル名は「V620」。東芝製の20GB、1.8インチHDDを内蔵。液晶ディスプレイは3.5インチで、解像度は320×240ドット。フルカラー表示が行なえるという。 再生可能な映像、音声フォーマットは上記のLG電子製端末「PM70」と同じ。有料配信動画も再生できる。USB 2.0でPCと連携できるほか、ホスト機能も搭載。ただし、デジタルカメラなどから画像を取り込む速度はUSB 1.1相当。 電源は内蔵のリチウムイオン充電池で、充電所要時間は4時間。映像では5時間、音楽では12時間の連続再生が行なえる。2006年前半の発売を予定しており、価格は未定。日本での販売も未定だ。
■ マイクロソフト
マイクロソフトのブースでは、上記の新バージョンのPMC端末3機種を展示。来場者にコンセプトなどを解説している。また、同社のブースには次期WindowsであるWindows Vistaを搭載したPCを大量に用意。実際に利用し、感触を確かめることができる。
これらのVistaマシンには、PMCとの連携も可能なWindows Media Playerの次期バージョンであるWMP 11がインストールされている。半透明のウインドウ表示に対応しているため、外観はこれまでのWMPプレーヤーのイメージとは若干異なっている。
ライブラリ機能が強化されており、万単位の楽曲がライブラリに存在しても、再生や検索、一覧表示などがスムーズに行なえるという。また、音楽専門チャンネル「MTVネットワーク」と連携して、音楽配信やネットラジオなどを提供する「URGE」なども利用できるようになる。詳しい内容は既報の通り。 アイコンを使ったグラフィカルな表示が特徴で、ポータブルプレーヤーへの楽曲転送の際には、ポータブルプレーヤーのイラストも表示される。また、一覧性に優れ、アルバムジャケットをサムネイル表示したり、楽曲に対する評価の☆マークを一覧で確認することなどもできる。
なお、CES会場にはPMC端末以外にも、多くの企業がポータブルビデオプレーヤーを展示している。その中でも、日本で販売される可能性のある製品をレポートする。
■ Samsung 一際大きなブースを構えているSamsungでは、16:9の4インチフルカラーTFT液晶ディスプレイを備えた横長のポータブルメディアプレーヤー「YM-P1」が注目を集めている。1.8インチの20GB HDDを内蔵しており、動画はMPEG-4、DivX、Xvid、AVI、WMVの再生に対応。音楽はMP3、WMA、OGG、AC3をサポート。JPG/BMP静止画やテキストファイルも表示できる。
ホスト機能に対応したUSB端子を備えるほか、SDカードスロットも装備する。またテレビなどに出力するためのAV出力端子も用意する。 GUIは、ダイヤルのようなデザインのメニューが左端に表示されるもので、動画や音楽、静止画など、目的の機能まで回転させ、選択ボタンを押すという操作方法。ゲームもプリインストールしており、落ちものパズルゲームなどをプレイすることができた。2月の発売を予定しており、価格は399ドル。30GBモデルもラインナップする予定。
さらにブースには、「DMB」と呼ばれる韓国の移動体向け衛星デジタル放送に対応する端末も各種展示している。DMBは放送衛星(MBSAT)を、日本の「モバHO!」と共用して放送しているもので、韓国でのみ受信できるデジタル映像/音声放送。
■ COWON COWONのブースでも、小型のポータブルメディアプレーヤー「iAUDIO 6」を新製品として展示している。0.85インチのHDDを内蔵するのが特徴で、容量は4GB。1.3インチの有機ELディスプレイ(26万色表示)を備え、外形寸法は76.1×35.6×19mm(縦×横×厚さ)。重量はバッテリ込みで60g。 再生可能な動画フォーマットはXviDで、256kbps(CBR)までサポート。解像度160×128ドット、15fpsの動画が再生できる。音声ファイルはMP3/WMA/OGG/FLAC/WAVに対応。JPEG静止画も表示できる。PCとの接続はUSB 2.0.電源は内蔵のリチウムポリマー充電池を使用し、最長20時間の再生が可能。インターフェイスはタッチパッド式を採用している。
2月に米国で発売を予定しており、価格は200~270ドル程度になる見込み。日本での発売については「時期は決まっていないが、もちろん予定している」とコメントしていた。
■ THOMSON THOMSONのブースでは、RCAブランドで新ポータブルマルチメディアプレーヤー「LYRA X3000」を展示している。20GBのHDDを搭載しており、3.6型のTFT液晶(320×240ドット)を搭載。動画フォーマットはMPEG-4、DivX、WMVに対応。MP3/WMAの再生も可能で、DRM10もサポートする。 最大の特徴は、DIRECTVが年内に提供するという、携帯端末向けの衛星放送「DIRECTV2GO」に対応すること。アンテナ付きの専用クレードルに接続しているだけで、衛星放送を受信し、リアルタイムでMPEG-4にエンコードしてHDDに保存。屋外で鑑賞できるという。さらに、通常のプレーヤーのようにPCからUSB経由でファイル転送/再生も可能。 6月発売予定となっており、価格は399ドルを予定する。ただし、アピールポイントである「DIRECTV2GO」が日本で行なわれないこともあり「現在のところ、このままの仕様で日本で発売する予定はない」という。
□2006 International CESのホームページ(英文)
(2006年1月8日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
Copyright (c)2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|