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社団法人地上デジタル放送推進協会(D-pa)は9日、第7回の総会を開催。2006年度の事業計画の発表や予算案決議に加え、4月1日より本放送がスタートするワンセグのデモを実施。会場には最新のワンセグ対応端末も展示された。
■ 今年は2011年に向けた折り返し地点
総会に先立ち登壇した中村啓治理事長は、「2001年の電波法改正から、2011年のデジタル放送移行に向けて、2006年は折り返しの時期」との認識を述べた。 一方、「今までの作業は順調に進んでいるものの、全てのテレビをデジタルにシフトするには、まだ周知徹底が足りない」と指摘。福島テレビ社長でもある中村氏は「テレビ放送を中心とした更なる広報活動が重要」とまとめた。 D-paでは2011年のデジタル完全移行に対する呼称を「アナログ放送終了」に統一し、「アナログ停波」などほかの名称を使わないことも決定したという。そのほか、年号表記も「2011年」を浸透させるため西暦に統一された。さらに、課題のひとつとして、2006年度末までに地上デジタル対応機器の普及を2,000万台とする目標も掲げた。
2006年の具体的な事業計画としては、放送、メーカー、流通などで統一的に使用できるロゴやキャッチコピーを新たに開発し、NHK/民放共通のスポット素材を制作してキャンペーンを展開。これに伴い、2006年度の予算においては会費収入3億1,240万円に加え、新たに1億8,160万円の臨時会費を会員各社から徴収。臨時会費は普及促進費に割り当てられる。普及促進費は合計で3億395万6,000円で、2005年度に比べ2億円増となる。
■ ボーダフォン新端末も展示
総会の会場では、近づくワンセグの本放送開始に向けたデモも実施。各局の試験放送を受信する端末の紹介や、2月28日に公開されたボーダフォンの最新端末の展示が行なわれた。 ワンセグのデモでは地上デジタル推進大使を務めるTBSの竹内香苗アナウンサーが司会となり、改めてワンセグの高画質やデータ放送などの魅力を伝えた。 さらに、D-paでは2006年の事業として「ワンセグ連絡会」を設置。放送/通信時業者、メーカーが技術や受信エリア情報告知などの課題を話し合う場にするとしている。
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■ アナログ終了には問題も山積
そのほか、会場では総務省の政策統括官 情報通信担当の清水英雄氏による「放送を取り巻く最近の情勢について」と題した講演も行なわれた。 '94年に放送のデジタル化が報道された際に、NHKや各放送局、メーカーが激しい拒否反応を起こしたというエピソードを取り上げ、「そのころ放送局で賛成していたのはフジテレビの日枝氏や日本テレビの氏家氏くらい。その頃に比べると、現在は理解が示されてきている」と語った。 現状の活動としては、1月より開催されている「通信・放送の在り方に関する懇親会」で議論されている内容について紹介。懇談会は、竹中平蔵総務相を中心に、元マイクロソフト会長の古川亨氏や、慶應義塾大学の村井純教授などが参加し、国民の視点から見た問題点やその原因、望ましい行政の対応などを検討するもの。これまで、NHKの事業や、IPマルチキャストなどに関する問題提起などが行なわれており、6月に結論が出される。 そのほか、課題としてアナログ放送終了の告知についても触れ、「終了作業は全エリアでまとめて実施されると思われているかもしれないが、段階的に行なわれる可能性もあり、まだ決まっていないのが現状。アナログ終了後、たった5%でもデジタル放送が見られない人がいたら大変な問題。これからの取り組みは、地道な作業の積み重ねになるだろう」とした。
□D-paのホームページ (2006年3月9日) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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