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「BDは戦艦大和。年内には決着」。東芝DM社藤井社長
-HD DVDレコーダはW杯を目標。年度内に70万台出荷


3月31日開催


 株式会社東芝は31日、世界初のHD DVDプレーヤー「HD-XA1」の発表会を開催。東芝上席常務 デジタルメディアネットワーク社 藤井美英社長は、「本当にお待たせ致しました」と切り出し、事業戦略や、HD DVDへかける思いを語った。

東芝上席常務 デジタルメディアネットワーク社 藤井美英社長

 藤井氏は、ハイビジョン対応テレビの普及やコンテンツのハイビジョン化などに言及。次世代に求められる要件として、ハイビジョンクオリティの追求や、DVDを上回る機能拡張、録画のハイビジョン化などの観点から、HD DVDの必要性を説明。HD品質の映像/音楽、互換性、メディアの普及製(コスト)など、現行DVDの良さを継承し、DVDフォーラムで認められた唯一の次世代規格としてHD DVDをアピールした。

 さらに、HD DVDの普及戦略も大幅に前倒しすることを明らかにした。同社では当初、次世代光ディスクへの移行は緩やかに進むと考えていたが、「国内では32型以上の大型液晶テレビが非常な速さで伸びている。テレビのハイビジョン化が先行している状況では、テレビと連動した形で次世代への移行が進む。42型や50型などの大画面のプラズマや液晶、SEDを購入した人が、従来のDVDを買うのか? というと常識的には無いだろう。次世代に移行する」と普及予測を前倒ししたことを説明。

 同社の予測ではDVD関連製品市場において、2006年度はHD DVDが約2%(プレーヤー1%/レコーダ1%)ながら、2007年には12%(プレーヤー6%/レコーダ6%)、2008年に45%(プレーヤー16%/レコーダ29%)となり、金額ベースで現行DVDを逆転。2009年には60%(プレーヤー20%/レコーダ40%)となり、台数ベースでもDVDを上回るとする。

 特に日本国内ではDVD市場の60%がレコーダのため、HD DVDレコーダにも注力していく。「テレビ番組の録画についてはHDDが中心となる。50GBとか30GBのレベルを越えており、1TBという時代。HDDが家庭内の主力ストレージになる。HDD搭載のHD DVDレコーダが主流になる」と説明。

 また、2011年にはHDD/HD DVDレコーダに加え、コンテンツダウンロード型のDVD製品が15%程度を占めると予測し、「HDDとHD DVDがDVDの市場を大きく変えていく」とアピールした。

東芝の国内HD DVD市場予測。2008年には金額ベースでDVDを逆転 HD DVD登場で国内市場が多様化 2011年の国内市場予測


■ 容量でもBDには負けない

 続けて藤井氏は、「大容量のBD、安さのHD DVDという構図の報道には不満がある」と述べ、HD DVDのコンセプトを説明。

 2層HD DVD-ROMの30GBは適切な容量で、「コンテンツホルダからも充分という意見を頂いている」としたほか、「ゲームなど将来の要求に対して、45GBや60GBまで対応できる」と拡張性について強調。低コストなメディアやツインフォーマットディスク(DVD 4.7GB/HD DVD 15GBの片面2層ディスク)やコンビネーションフォーマットディスク(2層DVD 8.5GB/2層HD DVD 30GBの両面2層ディスク)などのメリットをアピールした。

HD DVDのコンセプト

 さらに、市場の要求に応えた早期の市場投入や、ドライブなどの低価格化、DVDとの互換性、iHDを利用したアドバンスト機能などの特徴を説明。特に「ノートPC用のスリム/ウルトラスリムドライブについては、HD DVDへの関心は高い。BDでは間違いなくできない」としたほか、「車載用途では、ワーキングディスタンス(対物レンズとディスク表面の距離)が短いため、Blu-rayでは実現困難」と説明。「こうしたアプリケーションを考えた時にもHD DVDの優位性は揺るがない」という。

 また、「従来BDが50GB、HD DVDが30GBと(BD陣営に)宣伝されたんですが、最近の説明ではなぜかわからないが1層の25GB対15GBになっている」とし、BDの2層化の難しさを皮肉混じりに言及。「本当は25GB(1層BD)と30GB(2層HD DVD)で比較したほうがいいのでは」とコメントした。また、「(BDは)多層化が容易で200GBまで拡張できる、というが、マージンの小ささから多層化が難しいのは明らか」とBDの宣伝する拡張性に疑問を呈した。


■ BD陣営の宣伝に反論。BDは「戦艦大和」

 さらに、「BD陣営がDVDフォーラム内で作業してくれるのを期待して反論を控えていたが」としながら、BD陣営によるBDのアドバンテージの宣伝について、5点を例に挙げ反論した。

 藤井氏が例に挙げたのは以下の5点。

  • カバー層が0.1mm
  • ハードコーティング
  • 1080p
  • BD-JAVA
  • 著作権保護規格の「BD+」

 0.1mmについては、「間違いなく多層化は難しい。規格が分裂したというのは消費者にとって重いこと。そんな状況でも、50GBとか多層で高容量だとかいっているのはいかがなものか。50GBが100GBが、いつできるのか明確に説明する責任がある。HD DVDは、PRMLやプラスチックレンズなどを作りだし、既存の構造の中で30GBにするための努力をしてきた。BDは単に新しい分厚いレンズを使っていて、言ってみれば戦艦大和。我々こそ新しい技術を満載している」と批判する。

 ハードコーティングについては、「確かにいい技術。いつか応用はしたいとは思っている」としながら、「ただ、0.6mm構造ではいらない。指紋の付着を避けるのは0.1mmのBDだから必要なこと。これがあるからBDは新技術というのは笑止千万」とした。

 1080pは、「最後になにも無くて、出してきたけれど、こんなのはテレビセットの問題。デジタル放送も1080iで、テレビの中で1080pで出来るものはあるが、それだけのこと。放送ではそもそも1080pのカメラが無い。ただし、(カメラに依存しない)ゲームは別で1080pがキレイ、凄いというのであれば、将来HD DVDでも考えないこともない」という。

 BD-JAVAについても「特にPCとの親和性についてはiHDのほうが上。何が優れているというのか分からない」。BD+については「まるっきり理解不能。すごいコンテンツ保護でコンテンツホルダの要求があればやるが、そんなコンテンツ屋さんはいない。一社を除いて。どこのコンテンツ屋さんがBD+で出すのか、知っていたら教えて欲しい」と子細に反論、「HD DVDが技術的に劣るところ1つも無い!」と強くアピールした。


■ ポニーキャニオンは「フォーマットにはこだわらない」

ポニーキャニオン 大柳英樹 第一映像事業本部 本部長

 4月7日に初のHD DVD市販タイトル「夜桜 HD-DVDツインフォーマット版」、「virtual trip さくら nostalgia HD-DVDツインフォーマット版」を発売する株式会社ポニーキャニオンからは、第一映像事業本部 本部長の大柳英樹氏が登壇。

 今回発売のHD DVDは、コーデックにH.264を採用し、DVD層も含むツィンフォーマットディスクとしており、ポップアップメニューなどのHD DVDの新機能も搭載。それらの新機能を紹介し、高画質映像とともに、新作をアピールした。なお、大柳本部長は「ソフトメーカーとしては、HD DVD、BDのどちらに肩入れするというわけではない。将来性のあるハードに対応するソフトを出していきたい」とコメント。

 また、広告キャラクターのニューヨークヤンキース松井秀喜選手は、ビデオでコメントをよせた。「HD DVDはDVDよりさらに美しい映像で楽しめるとのことで、ニューヨークで思う存分楽しみたいと思います。HD DVD期待しています」と語った。

夜桜のデモ。再生中にチャプタメニューを表示して選択できるポップアップメニューに対応 松井選手もコメント


■ レコーダはW杯目標。フォーマット戦争は年内に決着

 なお、ぎりぎり2006年度内となったHD-XA1の発売については、「(2006年度と案内していたので)なるべく3月に出したかった。PS3は一回目だからまだいいが、われわれは(発売延期の)前科者なのでとにかく間に合わせたかった。何とか半分のコミットメントは実現できた」とする。「ただし、再延期のリリースも用意した」と述べ、ギリギリのスケジュールだったことを明らかにした。

 レコーダの発売は、「(ドイツ ワールドカップ前と予告していたが)万が一間に合わないこともあるので、“私の願望”ですが、なんとかW杯に間に合うよう開発陣にハッパをかけている」と説明した。

 北米での発売は、AACSライセンスの遅れのほか、「ハリウッドのみなさんが、アドバンス機能に凝ってしまって、バンバン入れたいということで、困ってしまった」としながらも、「ワーナーが4月18日にソフトを発売するので、それに間に合うよう全国発売する。出荷そのものは4月上旬より開始する」とした。

 また、BD/HD DVDの競合による買い控えの影響は、「42や50型のテレビをお持ちの人は、HD DVDを見れば“早く見たい”と思う筈。リリースタイトルが増え、自分が欲しいコンテンツがあれば買うだろう。今年度にもマーケティングの大攻勢をかけていく」という。

 BDとの競合については、「今年度もXbox 360とあわせて100万台を越える出荷を期待をしており、来年にも数百万台を予定している。今年の暮れか、2007年の6月には趨勢が決定する。HD DVDが年末に売れてしまえば、そこで決まる」と自信をみせた。

 「心配は、BDが凄くいいという可能性もゼロではないこと。その時には土下座をして謝りますが、まあ、あり得ない。コストと速さの勝負になる。今年の年末を期待して欲しい」と締めくくった。

□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/index_j3.htm
□ニュースリリース
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2006_03/pr_j3102.htm
□製品情報
http://www3.toshiba.co.jp/hdd-dvd/products/hddvd/hd-xa1/index.html
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http://av.watch.impress.co.jp/docs/20051213/toshiba1.htm

( 2006年3月31日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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