|
株式会社BCNは15日、同社が集計したPOSデータに基づき、ワールドカップ時期における薄型テレビやDVDレコーダなどの売上の推移について発表。「ワールドカップ商戦で市場はどう動いたか」をテーマにデジタル家電市場の変化に関しての分析や今後の予測を行なった。 「ワールドカップ商戦」の開始時期について同社取締役 編集統括部長の田中繁廣氏は、「販売データの前年比でプラス効果が表れた4月下旬からスタートした」と説明。集計データによると、液晶テレビは前年同月比で25ポイント以上の伸びを示した一方、プラズマテレビは伸び悩み、DVDレコーダは4月までの前年比2桁減という低迷からプラスに転じた。 集計されたデータは液晶テレビとDVDレコーダ、PCが18社で、プラズマテレビが13社。なお、リアプロは市場規模が小さいため、集計には含まれていない。 ■ 液晶はトリノ以上の効果。プラズマは駆け込み需要で伸び
液晶とプラズマを合わせた薄型テレビ全体では、6月12日に行なわれた日本対オーストラリア戦の直前に当たる6月の第1週(5月29日~6月4日)に売上台数の伸び率が前年比162%、金額の伸び率が同176.2%に増加。また、第2週(6月5日~11日)は台数で前年比158.4%、金額で同174.5%の増加を示した。5月における液晶とプラズマの販売台数構成比は92.2:7.8。
また、月別の伸び率では5月の台数が137.3%とトリノオリンピック時期の1月(138.2%)、2月(138.8%)と同等に達し、金額では147.7%と1月(140.6%)、2月(134.1%)を上回った。田中氏は「台数はトリノの需要と同様だが、金額の伸びが大きいのが特徴で、単価も商戦中に上昇している」と説明した。1月を100%とした月次販売台数の指数では、5月の金額が99.9%、台数が95%となっている。 液晶テレビは、6月第1週における売上台数が前年比158.6%、金額が同175.2%で、第2週は台数が同155%、金額が同171.3%。月別でも4月の台数が前年比128.8%、金額が同131.7%の伸びに対し、5月は台数136.6%、金額152.1%と大きく上昇した。1月を100とした販売台数の指数では、5月の台数は94.9%だが、金額は100.7%と増加している。
プラズマテレビは、週間で見ると6月第1週の台数が前年比203.9%、金額が同181.1%で、第2週が台数で205.6%、金額で192.5%と高い伸びを示しているが、月別では2月の台数237.9%、金額185.6%をピークに減少傾向にあり、5月は台数が前年比146.2%、金額が同128.3%となっている。これについて田中氏は「駆け込み需要はあったが、予想以上に売れたトリノの勢いに吸収された」とコメントした。
画面サイズ別では、液晶テレビの大画面化が顕著で、4月第1週(3月27日~4月2日)では32型以上が33.5%だったのに対し、5月第4週(22~28日)を境に32型以上の製品が32型未満を逆転、6月第2週では32型以上が53.4%となっている。プラズマは6月第1週に50型以上が20%を超え、6月第2週の構成比は40型未満が43.5%、40型~50型未満が36.7%、50型以上が19.8%。 メーカー別の台数シェアで見ると、液晶では1位のシャープが1月の41.3%から順調に伸び、6月2週時点で49.4%。2位のソニーも3、4月に増加したが、6月第2週では23.6%と1月の24.3%より減少している。3位以下は松下(10.3%)、東芝(8%)、ビクター(2.9%)の順。プラズマでは松下が5月時点で68.4%まで伸ばし、6月第2週では59.1%となった。2位以下は日立(27.9%)、パイオニア(12.8%)、ソニー(0.2%)と続いている。
そのほか、同社が購入者を対象に行なったアンケートによる結果では、液晶が30代、40代、50代がそれぞれ約2割を占めており、40代以上が6割弱で推移している一方、プラズマでは30代以下が5割以上となった。 この結果に関して田中氏は「プラズマ購入者は、高所得な中高年層に多いと見られていた予想に反した。ホームシアター製品との組み合わせなど、趣味性の高い製品として若年層に受け入れられたのでは」と推測している。 ■ レコーダはハイビジョン化が進行。地デジPCも急増
DVDレコーダでは、4月まで前年割れの傾向にあったが、5月第3週よりプラスに転じ、5月は台数が前年比103.5%、金額が同112.2%となった。6月第2週では台数が130.8%、金額が150%となっている。1月を100%とした月次の販売指数では、5月の台数が67%、金額が75.3%。 傾向としてはデジタル放送のハイビジョン録画対応モデルの伸びが高く、5月第2週に全体の5割を超え、以後も伸び続けている。6月第2週でのハイビジョン製品の割合は61.4%。 ハイビジョンレコーダのメーカー別売上台数シェアでは、東芝が28.7%で首位となり、シャープが25.6%で2位、3位が松下(20.6%)、4位がソニー(11.4%)、5位が日立(10.1%)。ハイビジョン非対応モデルでは、ソニーが26.2%で1位。2位以下は東芝(18.5%)、パイオニア(16.1%)、松下(11.5%)、シャープ(10.3%)となっている。 レコーダのHDD容量別では、300GB以上の割合が5月第3週に20%を超え、6月第2週では23.5%となっている。最も多いのは200~300GB未満で52.7%。
DVDレコーダの推移について田中氏は「ワールドカップの恩恵を最も受けた」とする一方、「次世代DVDの動向による買い控えもあり、前年と同レベルを維持するのは年末まで難しい」と厳しい状況であることを説明した。 PC市場については、デスクトップとノートを合わせた売上台数が1月第2週を境に減少し続けている一方で、地上デジタルチューナ内蔵パソコンの割合が、6月第1週にはテレビチューナ搭載モデル全体の25.1%となった。4月までは10%前後で推移しており、「地デジ対応パソコンの市場は短期間で立ち上がった」(田中氏)としている。
■ 商戦の行方は日本代表次第? 紹介された製品全体で見ると、ワールドカップ商戦による売上の伸びは同社の予想を超えたものであるとしたが、この傾向のピークは6月の第2週と予測。要因の1つとして、オーストラリア戦の敗戦を挙げた。しかし、「トリノでも日本の金メダルがあってから大きく伸びた。今後の日本戦によっては傾向が変わる可能性もある」(田中氏)とした。 田中氏は、今後の傾向としてフルHD対応テレビの動向についても予測。「17型以下ではフルHDの需要はないと見られるが、現在フルHDの主流とされる37型から、今後は32型にまでフルHD化は波及し、年内には32型の8割が対応となるのでは」と述べた。 また、液晶とプラズマの構成比については「60型以上が主流になるようなことがあれば話は別だが、32~37型で強い液晶が中心である流れは変わらないだろう」とコメントしている。レコーダに関しては、「ハイビジョン対応が主流になる傾向だが、1年前の製品でもHDD容量によっては売れる」としており、価格が大きなカギであるとした。 □BCNのホームページ ( 2006年6月15日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
Copyright (c)2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|