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DVD+RWアライアンスは22日、都内で「第7回アジアパシフィックセミナー」を開催。DVD+R/RWフォーマットのロードマップが示されたほか、21日にリコーより発表された著作権保護規格「VCPS(Video Content Protection System)」対応メディアについて、規格の特徴と合わせて紹介された。 ■ DVDメディア市場に「規格化作業はまだ残っている」
記録型DVDの市場動向について、三菱化学メディアの石原旬氏が説明。DVDメディア全体の販売量では2007年ごろにCD-Rを超えると予測しているほか、単層DVDの規格化は既に完了し、今後はDVD+RWの2層化や、2層メディアの高速化が課題であると述べた。 また、GFKやEMAの調査結果を例に、欧米で販売されるメディアの90%以上がDVD+Rであるとしたほか、日本でも、GFK調査を挙げてDVD+R DLとDVD-R DLの出荷がほぼ2:1の割合で推移しているとの優位性を説明。
片面2層メディア全体でも、世界での出荷予測が2006年の9,600万枚から2007年には1億9,000万枚へ大幅に伸びるというUnderstanding Solutionの予測を元に、今後も伸び続けるだろうと述べた。さらに、HDD搭載レコーダが主流となっている日本に比べ、米国やアジアでは低価格なDVD単体レコーダにもまだニーズが高く、リライタブルの+RWの2層化により、単体レコーダにもタイムシフト視聴機としての将来性がある旨を指摘した。 そのほか、8cmDVDメディアについても、対応ビデオカメラの普及により市場の拡大が期待されるという例を挙げ、新たな用途の開拓にむけて新規格の推進が今後も必要であると述べた。 ■ VCPSとCPRMの違い
6月21日にリコーより対応DVD+Rメディアが発表された、コピーワンス録画対応の著作権保護規格「Video Content Protection System(VCPS)」について、Philips Japanの藤本健文氏が招待講演で説明。DVD-R/RWやDVD-RAMで用いられるCPRMとの比較で規格の内容を紹介した。 VCPSは、DVD+R/RW、DVD+R DL用の著作権保護規格。CPRMと同様にMPEG-2をサポートするほか、MPEG-4や、MPEG-4 AVC(H.264)にも対応。DVDビデオや、DVD+VRにも対応する。対するCPRMはVR形式をサポートするが、DVDビデオ形式についてはDVDフォーラムで審議中だという。
また、米国で審議されているBroadcast FlagについてもVCPSはサポートし、インターネット上での配信を規制し、録画は自由に行なえるBroadcast Flagコンテンツが将来的に採用された場合にも、VCPS対応レコーダでの録画は行なえるという。 さらに、コピーフリーとコピーワンスのコンテンツを混在させた場合、CPRM非対応のプレーヤーではメディア自体が認識されないことがあるのに対し、VCPSでは2種類のナビゲーションを用意するため、従来のプレーヤーでもコピーフリーのコンテンツは再生可能であるという。
DVDプレーヤーのメニュー画面では、コピーワンス番組に特定の表示が加えられ、非対応プレーヤーでコピーワンス番組を再生しようとするとエラーが表示されるが、コピーフリーの番組は通常通り再生が行なえるというデモを行なった。 藤本氏はDRM技術に関して共通した4つの要件があると解説。対象コンテンツの暗号化、暗号化を解くのキーとそれを複数まとめたキーブロック、ディスクの固体番号であるUnique ID、ユーザーを認証するシステムを挙げた。藤本氏はVCPSもCPRMもこれらの要件を満たすのは同じだが、アプローチの違いにより製造コストなどに違いが出ると述べた。 CPRMでは、再生に必要なキーブロック記録に追加工程を要するほか、Unique IDはレプリケータで1枚ずつBCA(Burst Cutting Area/最内周領域)に記録することが必要。一方、VCPSでは、キーブロックの格納場所について、通常のアドレスデータやストラテジーを記録する「ウォブルグルーブ」内に収めるため、追加での製造工程を必要としないという。 また、Uniquie IDについてもレコーダなどの記録機器での1回目の記録時に乱数発生器により一定のIDを生成するため、メディア側での仕掛けが不要。対応レコーダなどに乱数発生器を追加する必要はあるが、メディアが数百億枚規模で生産されない限り、ID生成に関しての問題はないという。 そのほか、藤本氏は、メーカー向けにVCPSのライセンス料についても案内。レコーダやドライブ、PCソフトなどは一時費用として5,000ユーロで、「CPRMと比較しても安いことがわかってもらえるだろう」と述べた。
■ +RW DLメディアを参考展示
4月14日にバージョン1.0規格が策定されたDVD+RW DLについては、リコー製サンプルメディアを用いて、同社の伊藤和則氏が記録特性や記録メディアの反射率、再生光安定性などを説明。会場では+RW DLメディアの参考展示も行なわれた。 同社のDVD+RW DLメディアでは、1層目のL0層に高透過率の新開発記録層を採用し、中間のスペーサー層にはDVD+R DLと同じ方式を適用、2層目のL1層にはDVD+RW記録材料をベースに高い反射率と感度の記録層を用いたことで、L1層でも6%前後の反射率を獲得。再生光安定性においても、100万回のリードを十分なマージンでクリアした。さらに、30年以上の保存性も実現しているという。
■ 市場には他社メディアIDを盗用した粗悪品も DVD+R/RWメディアの認証を行なうDVLG(DVD+R/+RW Verification Laboratories Group)の活動報告では、Philipsがオランダで行なった、市販メディアの品質調査を紹介。実際に購入したメディアの記録品質などを確認し、品質の低いメディアのメーカーに対して改善を要請した。 報告によると、調査した372枚のメディアのうち、277枚は良好なパフォーマンスで記録できたが、2枚では記録できず、9枚が再生できないなど、十分な品質に達していないメディアがあった。そのほか、使用した市販メディアの中には他社のメディアIDを盗用した製品も見受けられ、盗用品は記録品質も著しく低かったという。調査で見つかったのは太陽誘電やMCC、CMCのメディアIDを盗用したもので、アライアンスでは、各社に対し法的なアクションを起こすよう提案したとしている。 □DVD+R RW Allianceのホームページ ( 2006年6月22日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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