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Blu-rayの起爆剤「PLAYSTATION 3」のAV機能を試す。
-シンプルで高画質なBD再生、際立つレスポンス。消費電力170~190W


11月11日発売

標準価格:49,980円(20GB)
      オープンプライス(60GB)


 11月11日、いよいよ「PLAYSTATION 3(PS3)」が発売された。次世代“ゲーム機”としてゲーム用ROMメディアにBlu-ray Discを採用するが、AV機器として最大のポイントはBDビデオの再生機能を搭載することと、HDMIの新バージョンHDMI Ver.1.3を装備することだろう。

 そのため、家電業界や映画業界からは、「Blu-rayフォーマットの牽引役」としての期待を一身に担っている。しかも、DVDの市場立ち上げに貢献した「プレイステーション 2」が、DVDフォーマットの立ち上げから2年ほど後の発売だったのに対し、PS3の発売は、Blu-rayのパッケージソフト立ち上げとほぼ同時となった。Blu-ray Discの正否を担う重要な製品といえるだろう。

 20GB HDDモデルで49,800円、60GBモデルでも6万円程度と「BDプレーヤー初物」としては異例の低価格。プレーヤーとしての性能、AV機器としての能力にも注目が集まる。さらに、Blu-ray対応やCellの処理能力を生かしたメディアプレーヤー機能や、PSPとの連係機能も備えており、その使い勝手にも期待がかかる。

 今回は、60GBモデルの製品出荷バージョンのVer.1.00を利用して、AV機能を中心に検証した。なお、ネットワーク対応などの強化が図られた最新ファームウェア Ver.1.10も発売にあわせて公開されている。


■ BDドライブと初のHDMI 1.3搭載

 本体の外形寸法は20/60GBモデルともに共通で、約325×274×98mm(幅×奥行き×高さ/横置き時)。重量は約5kg。ゲーム機としてはかなり大きめではあるが、DVDレコーダなどのAV機器との比較ではさほど大きくは感じない。HD DVDプレーヤー「HD-XA1」との比較ではむしろ小さく感じる。AVラックなどに収めて使用する分には苦労はしないだろう。縦置きと横置きに両対応し、プレイステーションロゴバッジも置き方に応じて回転できるようになっている。

PS3 60GBモデル

 光学ドライブはスロットローディング型で、BD-ROMのほか、DVD/CD/SACDの再生にも対応。DVDビデオや音楽CD、SACDプレーヤーとしても利用できる。60GBモデルでは、このドライブ回りにシルバーのアクセントを施し、デザイン上の高級感を演出している。

 そのほか60GBモデルのみメモリーカードスロットと無線LANを内蔵。60GBモデルでは光学ドライブの左部分が開閉式となり、開けるとメモリースティック/CF/SDメモリーカードスロットがあらわれる。

 背面にはHDMI出力端子と、AVマルチ出力、光デジタル音声出力端子を装備。また、Gigabit Ethernetも備えている。HDMIは伝送帯域を拡張した最新のバージョン1.3(Deep Color対応)で、HDMI Ver.1.3搭載製品はPS3が世界初となる。対応出力対応解像度は480i/480p/720p/1080i/1080p

 なお、PS3本体にはHDMIケーブルは付属せず、コンポジット出力のAVマルチのみが同梱される。HDMIでテレビやモニターと接続する場合は、あわせてケーブルを用意する必要がある。


本体前面 60GBモデルはCF/MS/SDメモリーカードスロットを装備。ボディはクリア素材のブラック
本体背面。HDMI出力とAVマルチ端子、光デジタル出力、Gigabit Ethernetなどを装備する。右端は主電源 縦置き時の上面にBlu-rayなどのロゴをプリント
縦置き時の下面。HDD換装用と思われるスリットも Bluetooth接続のPLAYSTATION 3コントローラ Xbox 360コントローラと比較

 コントローラはBluetoothで本体と接続するワイヤレスタイプのもので、リチウムイオンバッテリを内蔵する。初期接続時にはUSBケーブルを介してPS3と接続し、認証作業を行なう必要がある。そのため、USBケーブルも付属する。また、本体にはUSBを4ポート備えており、キーボードやUSB HDDなども接続できる。

HD DVDプレーヤー「HD-XA1」との比較
Xbox 360(本体)との比較


■ シンプルな初期設定。UIはXMB

UIはXMBを採用する

 基本インターフェイスにはPSXやPSP、先代のBRAVIAなどで採用されていた「XMB(クロスメディアバー)」を採用。ユーザー/設定/フォト/ミュージック/ビデオ/ゲーム/ネットワーク/フレンドの各項目が用意され、それぞれのアイコンから選択できる。

 今回は東芝の37型フルHD液晶テレビ「REGZA 37Z2000」と、主にHDMI接続でテストした。出力端子などの設定は、[ディスプレイ設定]から可能で、HDMI、コンポーネント/端子、コンポジット/S映像、AVマルチ/SCARTの各出力を選択できる。

 なお、PS3に同梱されるのはAVマルチのコンポジット/アナログ音声ケーブルのみなので、480p以上の解像度で出力する場合は、テレビが対応していればHDMI、アナログ入力のみテレビの場合は、AVマルチのD端子ケーブル「SCPH-10330」(2,625円)やコンポーネントケーブル「SCPH-10100」(2,625円)などを別途用意する必要がある。

 HDMIケーブルを接続すると、自動的に出力信号をディスプレイに合わて設定する機能も備えている。HDMIの出力信号は480p/720p/1080i/1080pから選択できる。なお、HDMIとAVマルチ端子(コンポーネント/コンポジットなど)の2系統同時出力はできない。

 映像出力設定がテレビと合っていない場合は、映像が表示されなくなってしまうが、その場合には一度電源を切り、その後PS3本体の電源ボタンを5秒以上押して起動すると、SD解像度で出力される。

出力端子の選択画面。HDMIやコンポーネント、S映像、AVマルチ出力が用意される HDMIの出力解像度は1080pまで選択できる


■ BDプレーヤーとしての機能は?

スロットローディングドライブを採用。8cmメディアも利用可能

 ドライブはスロットローディング式。BD-ROMのほか、DVD/CD/SACDの再生にも対応し、DVDビデオや音楽CD、SACDプレーヤーとしても利用できる。

 Blu-ray関連の設定は基本的には初期状態でも問題はない。[設定]から[BD/DVD設定]を選ぶと、DVDと同様にBDメニュー言語やBD音声言語、BD字幕言語などの項目が現れる。これらはディスクから最初に読み出す言語を設定するものだ。

 また、BD音声出力フォーマットの項目もHDMIと光デジタルの各出力用に用意。HDMI/光デジタルともに音声をそのまま出力する「ビットストリーム」と、「リニアPCM」が選択できる。テレビがドルビーデジタルなどのデコードに対応していない場合は、リニアPCMを選択することになる。対応AVアンプなどを接続する場合は「ビットストリーム」に設定する。


BD/DVD設定 BD音声の出力設定。HDMIはビットストリームとリニアPCMが選択できる 音声出力設定で光デジタルのビットストリーム出力形式を選択

HDMIのリニアPCM出力設定

 なお、HDMIの音声出力については、DTSやドルビーデジタル、AACのビットストリーム出力に対応。Dolby TrueHDのロゴも取得しているが、ビットストリーム出力はできず、リニアPCM変換して出力される。なお、リニアPCMの設定は最高192kHz、7.1chまで選択可能となっているため、AVアンプなどのマルチチャンネルのリニアPCMに対応した機器があれば、TrueHDの音声をマルチチャンネルのリニアPCMに変換してHDMIで伝送できる。

 テレビなどとの接続時には、基本的には44.1/48kHzのリニアPCMを選択する。今回、REGZA 37Z2000と接続して自動選択を行なうと、1080pディスプレイとして認識し、音声はリニアPCM 44.1/48kHzに設定された。


BD-ROMとして認識される

 BDビデオディスクを挿入すると、PS3の[ビデオ]から[BDビデオ]としてアクセス可能となる。PS3のゲームタイトルを入れると、自動的に操作をしなくてもゲームが立ち上がるが、BDビデオの場合は、ビデオのメニューから選択する必要がある。

 今回、日本版のBDビデオディスク「アンダーワールド 2 エボリューション」、「プロジェクトパポ」、「フルメタル・ジャケット」を入れてみたが、ローディング時間は7~9秒程度。ディスクの再生も決定後、約2~5秒でスタートする。再生までにかかる時間はHD DVDプレーヤー「HD-XA1」と比較すると、比較にならないくらい高速だ。


【動画/WMV】Blu-ray(12cm)のローディング/イジェクト 【動画/WMV】AVCHDディスク(8cm)のローディング/イジェクト


 再生操作は付属のBluetoothワイヤレスコントローラを利用する。再生/一時停止はSTARTボタン、R1/L1ボタンがチャプタのスキップ/バック、R2/L2ボタンが早送り/戻しに割り当てられている。AV機器のリモコン操作とはかなり操作感が異なるが、レスポンスは非常によく、瞬時にスキップ/バック、早送り/戻しが始まる。早送り/戻しの速度は音声付きの1.5倍早見と、10/30/120倍が選択できる。

 また、□ボタンで、Blu-rayの特徴ともいえるBD-JAVAを用いたポップアップメニューをワンボタンで起動可能。ビデオ再生中にもチャプターメニューや音声選択などが行なえるが、この起動や応答が非常に高速で、ボタンを押したら瞬時にメニューが出てくるという印象。実際にチャプタ選択などを行なう時のレスポンスも非常によい。

 これらの操作のレスポンスは、HD-XA1や、ほかのBDプレーヤー/レコーダ、パソコンでのHD DVD/BD再生で、各社が非常に苦労している部分だが、現時点では間違いなく最速。次世代の操作性をしっかり実現/体験できる。

 コントローラの操作はAV機器とは若干異なるものの、基本的には再生を開始すれば普通のプレーヤー。ただ、△ボタンを押すと、専用の操作メニューが現れ、高度な操作が行なえる。ここでは15秒のスキップ/バックや、アングルや字幕切り替えなどが可能。PS2でも搭載していたが、詳細な操作を行なう場合はこの画面を呼び出して再生したい。トップメニューの呼び出しなどもここから行なう。

 なお、テレビのデジタルデータ放送用リモコンのように、青/赤/緑/黄の専用ボタンも用意されている。これは再生するコンテンツによって割り当て機能が異なるようで、今回試したディスクでは特に動作しなかった。

ワンボタンでポップアップメニューを立ち上げ BDビデオ再生時の専用操作パネル

 再生画質も非常にクオリティが高い。他のBDプレーヤーでも視聴している「FIFTH Elements(北米版)」、「アンダーワールド 2 エボリューション」も、ノイズの少ない見通しのよい映像で、画質設定などをまったく行なわなくても、安心して楽しめる。パソコンでの再生時のように黒レベルが気になることもなく、テレビの画質モードを選択するくらいで、細かい設定を行なわずに気軽に楽しめる。

 そもそも画質設定は、フレーム/ブロックノイズ低減の強弱(各4段階)と、プログレッシブ化のロジックを設定する[シネマ変換](自動とビデオが選択可能)程度で、詳細な画質調整項目は用意されていない。

IP変換ロジックを設定する[シネマ変換]

 HD DVDとBlu-ray Discで発売されている「フルメタル・ジャケット」を用いて、HD-XA1との比較視聴したが、いずれも、ソースの品質が今ひとつ。特にHD DVDのクオリティが低く、あまり参考にならなかった。ただ、マッハバンド状の階調の乱れと、色ノイズが散見されたHD DVDに比べ、PLAYSTATION 3はだいぶノイズが抑えられた印象。もっとも、PS3とHD-XA1との違いというよりは、HD DVDとBDの違いが影響しているのかもしれない。

 現在発売されているBD関連製品の中でも、間違いなく画質はかなりの高水準といえる。少なくとも単にBDビデオが再生できるだけの「プアマンズBDプレーヤー」という表現は当てはまらない。

 音声については、今回テレビ以外への出力テストが行なえなかったが、BDビデオでは、ドルビーデジタル・プラス(DD+)のほか、ロスレスコーデックの「ドルビーTrueHD」や「DTS HD」がオプション規格として規定されている。Blu-rayでは7.1ch以上のディスクにしか現在DD+が利用されないため、現時点ではDD+のテストはできないが、TrueHDについてはPS3側でリニアPCM変換して出力される。DTS HDやDTS HD Master Audioについてはコア部分、つまり通常のDTS音声のみを出力するようで、7.1ch以上のデータについてはリニアPCM出力される。

 操作性、画質ともに、BDの立ち上げ時期のプレーヤーとしては非常に高水準。詳細な画質設定機能などを求めなければ、すでに十分満足できるレベルで、専用プレーヤーの市場を奪ってしまうような完成度の高さだ。

 また、VAIO Type Rで作成した2層BD-REディスクや「BDZ-V9」で作成したBD-REディスクも再生できた。

BDリモートコントローラ

 付属のワイヤレスコントローラは、USBケーブルで接続しても利用できるが、起動時に中央の[PLAYSTATION]ボタンを押すと、PS3とのペアリングを開始し、ワイヤレス利用が可能となる。

 操作は付属のワイヤレスコントローラが基本だが、「BDリモートコントローラ(CECHZR1J)」も12月7日に発売される。価格は3,600円。今回は間に合わず試用できなかったが、AV機器的としての活用を考えている場合には、こちらを検討してもよいだろう。

 なお、リモコンも通信方式としてBluetoothを利用している。付属のコントローラでも、遮蔽物をさほど気にせず、広い領域で操作可能となっており、Bluetoothの採用は大きなメリットがある。しかし、赤外線方式の学習リモコンでのPS3利用することは基本的には不可能となるので、学習リモコンのユーザーには残念なところだ。



■ AVCHDにも対応。DVDのアップスケーリングは不可。HDD/CFからのメディア再生も

 AVCHDディスクの再生も正式にサポート。「HDR-UX1」で記録したDVD-RとDVD-RWディスクをトレーに入れたところ、特に問題なく再生が行なえた。AVCHD用のディスクは8cmのDVDディスクだが、スロットの中央に押し込むと、内部のガイドに添って、そのまま吸い込まれていく。

 なお、AVCHDディスク内の映像データをHDDに取り込むことはできない。あくまでディスクを再生するのみとなっている。

AVCHDディスクも認識 AVCHDディスクのタイトルを選んで再生

 また、DVDプレーヤーとしても利用可能で、VRモード記録のDVD-R/RWにも対応し、CPRMで著作権保護を施したディスクも再生可能となっている。ただし、日立製作所のDVDレコーダ「DV-DH500W」で作成したVRディスクは認識はされるものの、再生ができなかった。

 なお、DVDビデオ再生時には、720pや1080pでのアップスケーリング出力は行なえない。特に設定項目はないが、本体側の設定では1080p HDMI出力に設定していても、DVD出力時には480pになっている。ただ、スケーリングはできないが、コンポーネント出力時などでも480iから480pへのプログレッシブ化は可能だ。

 また、リージョン1のDVDビデオや、PAL収録のDVDビデオ(リージョン2)を再生することはできなかった。

USB HDDを接続すると、ビデオ/ミュージックなどの各メニューから認識される

 CFスロットやUSBストレージからのデータ取り込みにも対応。動画ファイルや音楽ファイルの再生も可能となっている。対応するのはH.264やMPEG-2(PS、TS)、MP3など。

 残念ながら、i.LINKが無いのでHDVのMPEG-2 TS映像を直接読み込むことはできない。しかし実際に、HDVカメラ「HDR-HC1」で撮影した1,440×1,080ドットのMPEG-2 TSファイルを、パソコンでDVD-RやCFなどにそのまま書き込んで、PS3にセットしたところ問題なく再生できた。またファイルを、PS3のHDDに取り込むこともできた。


【PS3の対応ファイル形式】
動画音楽静止画
MPEG-2(PS、TS)
MPEG-1
H.264/MPEG-4 AVC
MPEG-4 SP
ATRAC
(.oma .mas .aa3)
AAC
(.3gp .mp4)
MP3(.mp3)
WAV(.wav)
JPEG
GIF
PNG
TIFF
BMP

 また、PCで録画した640×480ドットのMPEG-2ファイル(2~6Mbps)や、MPEG-1、PSPやiPod用のMPEG-4やH.264ファイルも問題なく認識/再生できた。BDやDVDと同様にスキップや早送りなども利用できた。ただし、WMVファイルは不明なファイルと表示され、再生できなかった。

 HDDやメモリーカードからの再生時の画面モードは、画面サイズに合わせて表示する「ノーマル」、アスペクト比を維持しながら、上下もしくは左右をカットして画面いっぱいに表示する「ズーム」、ソースの解像度のまま表示する「オリジナル」の3モードが用意される。

任意のフォルダを選択してコピー MPEG-2やAVCなど各形式のファイルが取り込み可能となっている

 現在のところ、取り込んだ動画ファイルの編集機能は用意されていないのは残念だが、今後AVCHDの直接取り込みなどに対応して、編集機能なども備えるとかなり面白くなってくるだろう。


■ 音楽ジュークボックス機能も搭載。PSPなどに書き出し可能

SACDも認識。SACD層、CD層の再生が可能で、CD層はリッピングも可能

 CDプレーヤー、SACDプレーヤーとしても利用可能で、ディスクを入れると[ミュージック]以下に認識される。CDを挿入すると、AMGの音楽データベースにアクセスして、ディスク情報が表示される。

 音楽再生時には、BD/DVD再生時と同様にコントローラで操作が可能で、専用のグラフィック画面も用意されている。

 音声出力は光デジタル出力(S/PDIF)で、テレビや対応AVアンプへの出力はHDMI経由でも行なえる。ただし、SACDの出力時にはDSDのパススルー出力はできず、PCMへの変換出力となる。HDMI Ver.1.2以降ではDSDの出力にも対応しているが、実質的に受けられるアンプ製品はほとんど無いということもあり、現実的な落としどころだろう。


取り込んだ楽曲をビジュアライザーを使いながら再生

 テレビのスピーカーで聞いただけだが、音質も良好。また、再生時に□ボタンを押して、ビジュアライザーを立ち上げて、テレビでサイケデリックな映像を見ながら音楽を楽しめる。

 また、HDDへの音楽CDのリッピングにも対応。SACDのハイブリッドディスクの場合、CD領域のリッピングが行なえる。CCCDについても問題なくリッピングできた。「ミュージック」の項目から「取り込み」を選択すると、HDDへの取り込みが可能で、録音形式はMP3/AAC/ATRAC3の3種類が用意される。

 ビットレートは、MP3が64~192kbps、AACは80~320kbps、ATRAC3は64~352kbps。リッピングを行なうと、AMGの音楽データベースにアクセスし、楽曲情報を取得。各ファイルに楽曲情報を付与できる。なお、ジャケット写真は取得できないが、PCでリッピングした際に付与したジャケットデータなどは認識できるため、USB HDDなどでコピーした楽曲ではジャケット表示も可能だ。


音楽CDを入れて、ネットから楽曲情報の取得やPS3のHDDへのリッピングが可能 [CD情報を取得]を選択すると、アルバム情報をネットから取得して付与できる HDDへリッピングを開始
コーデックはAAC/MP3/ATRAC3の3種類。初期状態はAAC AACのビットレート設定画面
PCで設定したジャケット情報などはPS3のHDDに取り込んでも引き継がれる ソート方法の切り替えも可能。切り替えのレスポンスも高速だ

[フォト]モードで、フォトアルバムを作成

 また、フォトビューワ機能も備えており、スライドショー作成なども可能。このビューワの動作が非常に高速で、R1/L1ボタンで順送りしたり、90度回転などの操作がものすごい勢いで行なえる。実際に使うのかはさておき、非常にユニークな操作感で、気持ちがいい。

 USBストレージ機器へのデータコピー機能も備えている。そのため、PSPなどのストレージ対応機器に著作権保護を施していない楽曲データや写真データを転送できる。

 実際にPSPを接続して見たところ、PLAYSTATION 3側ですぐにそのまま認識された。コピーしたいデータを選択して、通常のUSBストレージ同様に転送可能となっており、転送したMP3楽曲はPSP側でも再生できた。


PSPとUSB接続して転送 任意のフォルダ/ファイルを選択して、コピー場所にPSPを指定 コピーを開始

 なお、ウォークマン「NW-S703F」をUSB接続したところ「ATRAC AUDIO DEVICE」と認識。ウォークマン上のATRAC3やMP3、WAVファイルをPS3から再生することも可能だ。ただし、ウォークマンからPS3のHDDへの楽曲転送はできない。

 また、PS3のHDDからウォークマンにMP3楽曲を転送したところ、ウォークマン側で[DATA ACCESS]と表示され、データファイルとして転送されるものの、ウォークマンでの再生はできなかった。

ウォークマン「NW-S703F」をATRAC AUDIO DEVICE(WALKMAN)として認識 ウォークマン内の楽曲を再生可能 PS3のHDDから楽曲転送すると、データは転送されるもののウォークマンから認識できない


■ 消費電力は150W後半~180W程度。PSPでPS3操作も可能に

ワットチェッカーで消費電力を計測。平均で170W程度のようだ

 10月30日にPLAYSTATION 3の詳細情報がSCEのサイトで公開された際に話題を呼んだのが最大380Wという消費電力。今回、ワットチェッカーを使って簡易的に計測したところ、起動時には約150~170W近辺を推移しており、XMBでのメニュー操作時も160~170W程度となっている。

 BDビデオを再生してみても、思いのほかワットチェッカーの数値は上がらず、170~180W程度に収まっている。ポップアップメニューなどのインタラクティブ機能を利用しても変化はほとんど無かった。今回用意したディスクが主にMPEG-2だったため、VC1収録の「フルメタルジャケット」を再生してみたが、こちらもあまり変化がなかった。

 H.264/MPEG-4 AVC収録のBDビデオディスクを用意できなかったため、H.264記録のAVCHDディスクを入れたところ、180W台後半まで上がったが、目立って大きな差というわけではない。SCE川西本部長のインタビューでは「一番負荷が高いのはゲーム」とのことだったので、「レジスタンス」、「GENJI」の各ゲームを簡単にプレイすると、180W後半から190Wを超えることもあったが、200Wに届くことは無かった。ワットチェッカーを使った簡単な計測ではあるものの、通常利用時は160W後半~180W後半程度と考えていればよさそうだ。

 また、60GBモデルでは、無線LANを内蔵し、「リモートプレイ」機能が利用可能となる。現時点では提供開始されておらず、後日公開されるPSPのファームウェアVer.3.0以降が必要となる。

 詳細についてはインタビュー記事で紹介しているが、リモートプレイではPS3の画面映像を約1MbpsのMPEG-4 SP変換して、PSPに無線で伝送する。

 そのため、リモートプレイを選択すると、PS3のディスプレイ解像度を480pに切り替えて、PS3側からは操作を受け付けなくなる。そして、全ての画面表示をPSPに伝送して、PSP側で操作可能となる。352×240ドットのPSP画面でPLAYSTATION 3の各機能を利用できるというわけだ。

 BDビデオやDVDビデオの再生はできないが、そのほかのビデオや写真、著作権保護を施していない音楽ファイルをPSPでリモート再生できるユニークなソリューション。ホームサーバー的な活用として、今後の展開が期待される機能といえるだろう。

PLAYSTATION 3のリモートプレイを選択すると、PS3のディスプレイ表示が480pに切り替わる PS3のフォト機能をストリーミングで再生

 また、Webブラウザも搭載するほか、専用の「PLAYSTATION Store」におけるネットワーク・サービスも提供。So-netによるPS3用HD映像配信サービス「P-TV HD」もスタートした。

Webブラウザも備えている P-TV HDのイメージ


■ 「次世代」エンターテインメントの牽引役に

 Blu-rayの牽引車として、業界の期待を一身に背負った「PLAYSTATION 3」。確かにBDプレーヤーとしては破格の価格設定で、コストパフォーマンスは申し分ないが、それだけではなく、画質や操作性の面でも、DVDとはまったく異なる「次世代」の体験を提供してくれる。

 HDコンテンツの再生機としては、出色の完成度の高さ。HD DVDとのフォーマット競争においても大きなインパクトになることは間違いない。Blu-ray陣営の中でも、フォーマットの立ち上げ時期にこれだけの製品が投入されると、競合他社にとっては大きなプレッシャーになるだろう。既存のDVDプレーヤーなどと比べると、画質の詳細設定項目がほとんど無いなど、まだまだやるべきこともあるかもしれないが、まずはBDの能力を多くの人に伝えるという役割は十分に果たしそうだ。

 SCEが「エンターテインメント・コンピュータ」と位置づけるPS3。PSPの例を見るまでもなく、今後も様々な拡張が期待できる。PSP連携を含め、さらなる進化を期待するとともに、他メーカーがどう評価し、PS3に対抗してくるのかも見所だろう。SCEには、まずは年内の国内出荷100万台という目標をぜひとも達成し、欲しい人に行き渡る体制をなるべく早く整えることを願う。

□SCEのホームページ
http://www.scei.co.jp/
□プレイステーションのホームページ
http://www.jp.playstation.com/
□PLAYSTATION 3ホームページ
http://www.jp.playstation.com/ps3/
□関連記事
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( 2006年11月11日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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