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PC用のワンセグユニットが9月以降、各社から続々と登場している。ロジテックが初のPC用製品「LDT-1S100U」を発表したのを皮切りに、バッファローが追随する形で「ちょいテレ」を発表。 市場に登場したロジテックとバッファロー製ワンセグユニットは発売直後から在庫切れの店舗が続出。キャプチャ製品としては久々のヒット商品となった。
先行製品の評判を受けてか、これまであまりテレビチューナ製品を発売していなかったメーカーからも続々製品発表が行なわれた。 今回紹介する「W-one」は、これまでテレビチューナ関連製品をほとんど出したことのないグリーンハウスから登場したUSB接続のワンセグチューナユニット。手元にあるバッファローの「ちょいテレ」などと比較して、使い勝手などを試した。 なお、今回お借りしたのは試作機で、ソフトについてはベータ版のため、一部製品版と異なる場合がある。
■ 「無骨な」本体デザイン。付属品も豊富 ユニット本体は、USBメモリやちょいテレなどと比べると一回り大きい。外装は穴の開いたシリコン製ラバーで覆われており、本体を衝撃などから守る。カバーとしての効果はともかくとして、このシリコン製ラバーのデザインがいい。ちょいテレは、万人受けしそうなホワイトカラーのコンパクトボディだが、W-oneのデザインは、ちょっとした無骨なアウトドアグッズのようで、「男の子」受けしそうなワイルドな印象だ。3段ロットの付属アンテナも本体デザインにマッチした太くて長いもので、受信感度もよさそうに見える。
延長ケーブルや「USB方向転換くるくるアダプタ」が付属し、延長ケーブルは、ロジテックなどと同じく、コネクタ部がスタンドとしても利用可能。底面にはマグネットを内蔵し、スチール机などにしっかり固定できる。ケーブル長は約1.8m(実測)。 USB方向転換くるくるアダプタは、USBコネクタの向きを換えられるアダプタで、単体購入(525円)も可能。稼動箇所が3点で自由度も高いため、自在に向きを換えられる。また、外箱もコンパクトで、マット仕上げが施されており、高級感がある。
■ タイムシフトなど、機能豊富な視聴ソフト
付属する視聴/録画ソフトは同社独自の「w-one player」でバージョンは1.0。本体のインストールを行なう場合には、事前に本体を接続してからソフトウェアのインストールを開始する。本体を接続せずにソフトのインストールを行なうと、途中でメッセージが出てインストールが一時停止してしまう。停止した段階で本体を接続してから、続行すればソフトは正常にインストールできる。 インストール後にw-one playerを起動したら、はじめにチャンネル設定を行なう。全ての局を自動スキャンするか、手動で地域を選んで設定する。全局スキャンを行なった場合の時間は、実測で3分前後。 ソフトの作りはシンプルだが、オプションでの設定項目は豊富。映像の輝度/彩度/コントラストなどの調節も可能で、液晶パネルの仕様に合わせて調節できるのは便利。また、「サウンド増幅機能」を搭載し、デフォルトでは2倍、最大3倍まで音声を増幅して出力する機能も搭載する。ノートPC用スピーカーには低出力のものも多いので、これはうれしい配慮だ。
局一覧や番組表(EPG)、録画番組一覧などは、ソフト右部のチャンネルリストにタブ形式で表示され、切り替えて利用する。チャンネルリストは表示/非表示の切替が可能だが、画面下部に備える各操作ボタン類は非表示にできないため、全画面表示以外では、常に表示されたままとなる。 操作ボタンは「オプション」「チャンネルリスト表示/非表示」「タイムシフト(後述)」「静止画キャプチャ」「録画」「チャンネル変更」「停止」を備える。いずれも小さめなデザインのため、移動しながらなどの状況では少々使いにくい。また、別枠には少し大きめのアイコンで「字幕表示/非表示」「最近TVチャンネル再生」ボタンを備える。
他の製品にないユニークな機能としては、タイムシフト機能を搭載し、来客や電話などのほか、移動中などに見ているテレビを一時停止しておきたい場合などに重宝する。タイムシフト機能は、アナログチューナ製品やレコーダ製品などではよく見かける機能だが、これをワンセグユニットに搭載したというのはかなり面白い。 画質については、ノイズなどが少なく、クリアで解像感は高いため、実用にも問題ないレベル。ただ、輪郭線が少し強調されているようで、暗めの映像ではきつく感じることもあった。 これと比べると、ちょいテレの映像はクリアながらも、全体的にソフトな印象の映像に見える。どちらも画面内の字幕を読む場合などには問題ないレベルの画質なので、後はよく見るテレビ番組の種類や好みの問題になるだろう。
録画ファイルはH.264のストリームをローカルフォルダに独自形式で保存。著作権保護のための暗号化が施されており、視聴には録画に使用したPCとW-one本体が必要な点は他の録画対応ワンセグ機器と同様。ニュースなどの、見たらすぐ消すようなタイプの番組や、料理番組などのメモ用途などに役に立つだろう。 予約録画はEPGに対応するほか、iEPGにも対応する辺りはちょいテレと同じだ。だが、予約画面には番組名の表示はなく、局名と時間が書かれているのみ。 実際に録画した番組のファイル名も「チャンネル名 + 日時」で構成されるが、このファイル名がそのまま視聴ソフトの「録画番組一覧」にも表示されてしまう。番組名が表示されないため、後で見たときに何の番組か分かりにくい。番組名表示に対応してほしいところだ。
また、ベータ版のためか、日本語表記のおかしな箇所を見かけることがあった。この辺りは製品版では改善されていることを期待したい。 ■ 受信感度も良好、山手線では移動中も良好に視聴可能 受信感度はかなり良好で、コマ落ちなども少なく快適に視聴できた。編集部のある東京都千代田区のビル内では、多くのワンセグ機器を試してきたが、それらと同様に良好な受信が行なえた。また、この場所は位置によっては東京MXチャンネルが入りにくく、ビルの中央寄りの位置に移動すると、多くの機器で視聴が困難になっていたが、W-oneでは、コマ落ちなどの割合は多くなるものの、それなりに視聴や録画が行なえた。 W-oneでは、他のワンセグユニットなどでは入りにくかった位置/局でも、問題なく視聴できる場合が多く、他社製品と比べても受信感度はかなり高いように感じた。 そこで、ちょいテレ試用時同様、板橋区高島平付近にある自宅での受信感度も調査した。調査に使用したのは、Intel CoreDuo 1.83GHzを搭載し、メモリ容量1GBを備えるノートPC。編集部のある市ヶ谷駅近辺では、受信感度の高さを実感できたW-oneだが、残念ながら元々感度の悪いエリアでは、受信状況を大きく改善するには至っていない。NHK/NHK教育/日本テレビの3局がかろうじて視聴できるレベルで、常用には厳しい状態。 続いて、都営三田線の西台/蓮根駅近辺まで車で出張し、停車して簡単に調査。この場所も以前「gigabeat V30T」やちょいテレでは、まともに視聴できなかったエリアだが、W-oneではこれらエリアのいずれでも正常に視聴ができた。もう1歩まで電波が届いているエリアについてはかなりの改善が見込めるようだ。ただし、いずれもちょいテレなどで視聴できなかった電波状態の悪いエリアであることに変わりはなく、西台駅近所ではTBS/東京MXが視聴不可、蓮根駅近辺では、日本テレビ/東京MXが視聴不可であった。 これら調査の帰り道に、近所の牛丼チェーン店で買い物をするため、店前で停車したところ、NHK教育以外のチャンネルは一切視聴が行なえくなっていた。こういった電波の「隙間」が板橋区には多いため、移動時に快適に視聴ができないのだと痛感する。前述の2箇所についても、少し場所を変えてみたり、建物に上ることで、受信状況は変わる可能性は十分にある。
電車での移動も簡単に調査してみた。埼玉県から板橋区を通り池袋まで向かう東武東上線の下赤塚駅から乗車し、池袋までの間の受信状況をチェックしたが、移動中は終始まともに見られなかった。停車時であっても受信状態は悪く、半々くらいの割合でかろうじて視聴が可能という状態。なお、この区間内で、ちょいテレはほとんど視聴ができなかった。 こうした板橋区内での悲惨な状態とは対照的に、JR山手線の池袋駅から新宿駅までの乗車中は非常に快適で、走行中であっても、ちょいテレ/W-oneともにほとんど途切れることなく受信ができた。また、その後JR中央線各駅停車に乗り換えて、引き続き新宿駅から市ヶ谷駅までの区間を調べた。周囲が覆われているような信濃町駅などでは、受信が困難な場合もあったが、ほとんどの駅及び駅間については、移動中であってもそれなりに視聴が可能で、なかなか快適にテレビ視聴が楽しめた。 ただし、w-one playerでは、受信感度が弱まってくるとOSDで表示して知らせるが、本当に受信できない状態になった場合には、携帯を模した受信状況表示のアンテナ本数が0になった後、画面はそのまま固まるだけで、使っている側では、何が起こったのか判断がしにくい。 このような状態では、ちょいテレは、受信不可の際には画面上に大きく電波が受信できない旨のメッセージを表示する。これはこれで、受信状態の悪い場所では、切替頻度が多くなってしまい返って分かりにくくなるため、どちらがいいかは好みの分かれるところだ。先日紹介したW-ZERO 3[es]用ユニットでは、受信できない場合は、テレビ画面外に「圏外」と表示されていた。これくらいのささやかな情報表示が理想なのかもしれない。 ■ ちょいテレでは満足できなかった人にオススメ 一通りW-oneを使ってみたが、受信感度の強さにはかなり感動した。特に以前ダメだった場所などで正常に受信しているのを見ると、それだけでワンセグに対する印象がさらによくなる。こうしてみると、使い勝手などについては、かなり成熟してきたワンセグ製品群だが、受信感度の増強などまだまだ強化すべき点はあると再認識させられる。 以前ちょいテレなどを購入したものの、受信感度の悪さが原因でワンセグ導入を断念した人が試してみる価値は十分あるだろう。もちろんW-oneであっても、無理な場所は無理だが、再度トライしてみる価値はあると思う。 デザイン的には、少し大柄で無骨なデザインなので好みの分かれるところだが、コンパクトでかわいいちょいテレと並べた時に、大きさは別にすれば、こちらの方が好きという人も多いはず。 発売中のエスケイネット製PCカード型/フル機能搭載の「MonsterTV 1D」や、直近に登場予定のサンワサプライ製ユニット「VGA-TV1S」など、PC用ワンセグユニットもバリエーションに富んできた。来年はさらに成熟した製品の登場が予想される。ぜひとも板橋区の我が家でも快適にワンセグが楽しめる製品の登場に期待したい。 □グリーンハウスのホームページ ( 2006年12月11日 ) [AV Watch編集部/ike@impress.co.jp]
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