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【新製品レビュー】
ユニークなUIが魅力のメディアプレーヤー。iriver「X20」
-WMV/WM DRM10対応。スピーカーも内蔵


3月上旬発売

標準価格:オープンプライス

実売価格:18,800円(2GB)
       22,800円(4GB)
       29,800円(8GB)


 MDやCDからHDD/フラッシュメモリへと、近年のポータブルオーディオ製品は急速にメディアシフトが達成された。急速な移行ゆえか普及も一段落し、市場的には踊り場を迎えている。

 Appleなどがシェアを伸ばす中、「MP3プレーヤー」市場を切り開いた韓国メーカーは苦戦を強いられている。韓国勢の代表と言えるiriverも、しばらくヒット製品に恵まれず、2006年10月にMCJ傘下に入り、新たなスタートを迎えている。

 しかし、11月に発売した小型プレーヤー「S10」や、WMV/MPEG-4対応のメディアプレーヤー「X20」など、ここへきてユニークな製品発表が続いている。さらに、新モデル「Clix2」も発表されるなど、積極的な製品展開を見せている。

 X20は、スピーカーを内蔵したポータブルメディアプレーヤーで、2.2型/320×240ドット、26万色表示のカラー液晶を搭載。WMV/MPEG-4ビデオ再生に対応するなど、機能的にはかなり充実した製品だ。

 直販価格は2GBが18,800円、4GBが22,800円、8GBが29,800円と、iPod nanoよりは若干高いが、新ウォークマンA「NW-A800」よりは若干安い。新生iriverの意欲作、X20を早速検証してみた。


■ 2.2型カラー液晶搭載のビデオ/オーディオプレーヤー

同梱品

 同梱品はUSBケーブルのほか、イヤフォン、CD-ROMなど非常にシンプル。

 本体前面に2.2型/320×240ドット、26万色表示のカラー液晶を搭載。液晶の右脇に操作ボタンを備えており、中央に4方向カーソルと回転機能を備えたナビゲーションボタン、上部にメインメニューボタン、下部に電源ボタンを備えている。ナビゲーションボタンの中央は再生/停止ボタンになっている。

 本体下面にはmicroSDカードスロットを備え、メモリ拡張も可能。右側面にはUSB端子のほか、ヘッドフォン出力とライン入力を装備、背面には着脱式のリチウムイオンバッテリを装備する。さらに、背面にはスピーカーも内蔵。ヘッドフォンを接続していない場合は、自動的にスピーカーから音が出力される仕組みだ。

 外形寸法は98.5×49.0×14.8mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約71g。iPod nanoや21日に発売予定のウォークマンA「NW-A800(88×43.8×9.6mm/約53g)」と比較するとひとまわり回り大きいが、手に持ってみると思いのほか軽く、シャツの胸ポケットなどに入れてもかさばらない。

 ビデオ/オーディオ再生という機能面ではNW-A800に近いが、X20ではさらにライン録音や、FM受信/録音に対応しており、このあたりが差別化ポイントといえる。

本体前面。2.2型/320×240ドットのカラー液晶を装備。液晶右脇にナビゲーションボタンなどの操作ボタンを備える 上部にメニューボタン、中央にナビゲーションボタン、下部に電源ボタンを配している 右側面にはUSB端子のほか、ライン入力、ヘッドフォン出力を装備
本体底面。microSDカードスロットを装備し、メモリ拡張が可能 背面に着脱可能なバッテリやスピーカーを内蔵する

iPod、NW-A800と比較 iPod、NW-A800、PSPとの比較


■ USBストレージ/MTP切換可能。転送ソフトはiriver plus 3

iriver plus 3

 転送ソフトとしては、iriver plus 3が付属。ビデオ/音楽/写真/電子ブックデータなどの転送機能を備えたシンプルなソフトで、対応OSはWindows 98 SE/Me/2000/XP/Vista。

 なお、X20では、PCから扱う際のプレーヤー動作モードとして、USBストレージクラスの「MSC」と、Windows Media Playerなどとの連携を想定した「MTP」の2つが用意されている。MSCの場合は、任意のフォルダにデータをコピーするだけで音楽やビデオファイルが転送できる。

 ただし、NapsterなどWindows DRM 10のサービスでダウンロードした著作権保護楽曲については、MTPモードでの利用が必要。転送時も、Windows Media Player 11などの対応ソフトが必要となる。利用スタイルにあわせてMSC/MTPの選択が必要となるが、MSC/MTPの切換は本体の設定メニューから簡単に行なえる。そのため、MTP/MSCの概念さえ頭に置いておけばさほど戸惑うことはないだろう。

 X20用のビデオファイルは付属ソフトirver plus3で作成できる。機能的にはシンプルで、ビデオ転送時には、ビデオ品質やオーディオ品質、フレームなどを高/中/低から選択でき、WMV形式に変換する。

 音楽についてはWMA形式のほか、Ogg Voribs形式でのリッピングが可能。また、ファームウェアのアップデートなどにもiriver Plus3が必要となる。


MSC/MTPモードを設定メニューから切換 ビデオの設定 iriver plus 3の楽曲音楽転送画面


■ ユニークなUI。WM DRM10対応のオーディオ機能

メインメニュー

 X20の大きな特徴のひとつと言えるのが、ユーザーインターフェイス。基本操作はメニューボタンとナビゲーションボタンで行なうが、このナビゲーションボタンの周囲が回転する仕組みで、初期iPodのように物理的にホイールを回して操作する。

 電源を入れるとメインメニューが表示される。メインメニューには、ミュージック/FMチューナ/録音/写真/ビデオ/ブラウザ/設定/再生画面へ戻る、という項目が用意されている。メニューはメニューボタン一発で呼び出せるが、その後の選択にはナビゲーションボタンのホイールを利用する。ホイールを左右に回転させると液晶上のアイコンもあわせて回転し、任意の項目を選択できる。

 音楽の楽曲選曲時には、ミュージックの選択後にプレイリスト/アーティスト/タイトル/アルバム/ジャンル/録音ファイルを表示の各検索メニューが現れる。ここで、ナビゲーションボタンを回転させると上下項目移動、ホイールの左右を押すと階層移動となる。例えばアーティスト検索を選択して、右を押し込むと各アーティストごとの検索メニューに移行、さらに右を押すと、アーティストごとのアルバム選択に移行し、ここでアルバム部で右を押すと再生動作が始まるという仕組みだ。

 上下移動時に、ホイールの回転でなく上下を押してしまうなど、最初は戸惑うが、慣れてくるとこの操作感が気持ちいい。アーティスト検索など大量の情報を扱う際にも、ホイールで一気にスクロールできる。一見iPodに似ているようにも思えるが、実はかなり異なっているので、iPodの操作感に慣れた人は戸惑うかもしれない。しかし、現行のiPodのようなタッチパッド式でなく、ホイールが実際に動くという仕組みと、ホイール操作に連動して動くメインメニューなどにより、ユニークな使用感が得られている。


楽曲検索画面 アーティスト検索画面。9行表示が可能で、視認性は高い メニューの検索方法
動画】(2.34MB)

 再生画面では、ジャケット写真表示にも対応。ナビゲーションボタン中央で一時停止/再生操作が行なえるほか、左/右で早送り/戻しとなっている。また、再生中にボタンを回転させるとボリュームの増減となる。

 操作のレスポンスは非常に良く、操作に慣れてしまえばストレスを感じることはない。ディスプレイ上のボリューム表示にあわせてホイールを回転するとボリュームが増減するなど、使っていて楽しい操作感になっている。

再生画面。ジャケット表示にも対応する 再生中にナビゲーションボタンを押すと、ボリューム増減が可能

 音楽プレーヤとしては、MP3とWMA、OGGに対応。ビットレートは8~320kbps(MP3/WMA)、Q1~Q10(OGG)をサポートする。WM DRM10もサポートするが、利用時には注意が必要だ。

MTPモードではNapsterからの楽曲転送も可能

 前述の通り、WM DRMファイルを扱う際には「MTP」モードでの利用が必要で、MTPモード時でないとDRM付きのWMAファイルの転送が行なえないのだ。NapsterなどのDRM 10サービスの利用を前提としている人は、MTPモードでの利用が必須だ。

 なお、DRMファイルは一度転送してしまえば、MSCに戻しても楽曲の再生自体は行なえる。MSCモードでは単にファイルをコピーするだけで楽曲転送が可能で、非常に気軽。本体側で自動的にライブラリ化してくれるので、フォルダ構成などを気にせず、どんどんファイルを転送しても、きちんと検索可能となる。


 音質については目立った特徴は無いが、しっかりした中域が印象的。情報量は標準的だが、大きな不満もなく、ソースを選ばず利用できそうだ。付属のイヤフォンは質感がイマイチながら、音質はしっかりしている。低域の力強さには欠けるが、開放感ある音場が印象に残る。ただ、遮音性能は今ひとつなので、地下鉄利用者などはカナル型への変更なども検討したほうがいいかもしれない。

 ライブ盤などで完全に曲間で音が繋がっている場合、かなり短いながら曲間ギャップは知覚でき、ギャップレスとは言い難い。イコライザはNormal/Classic/Pops/Rock/Jazzの5モードとカスタムEQを備えている。

 スピーカーも内蔵している。ただし、音質的にはあまり良くなく、音楽用というよりは多人数でビデオを見るためという位置づけだろう。

 また、イヤホンを抜くと、すぐにスピーカーから音が出力される。ここまではいいのだが、スピーカーを完全にOFFにしておく設定項目が無い。そのため、電車の中などでイヤフォンが抜けると、そのまま外に聞こえてしまう。スピーカーのON/OFFを任意に切り替えられる仕組みは是非搭載して欲しいと思う。

付属のイヤフォン イコライザも装備 MSCモードではフォルダのブラウズも可能



■ シンプルなビデオプレーヤー。機能も充実

ビデオの検索画面

  ビデオプレーヤーとしては、MPEG-4 SPとWMVに対応。解像度は320×240ドット、ビットレートは32~512kbps、フレームレートは15~30fpsをサポートする。

 WMVファイルはWindows Media Playerやiriver plus3のX20用プロファイルで作成したWMVファイルを転送し、再生できる。ただ、AVIファイルなどでは問題なく変換/転送できたが、MPEG-2ファイルをWMV/iriver plus3に登録して、変換を試みたところ、ノイズ混じりのファイルになってしまった。環境に依存したトラブルかもしれないが、MPEG-2をソースにする場合は注意が必要だ。

 また、DivXファイルを直接転送したところ再生できず、PSPやiPod用のMPEG-4ファイル(MP4)は認識できなかった。MPEG-4ファイルについては、何が再生できるのかイマイチよくわからない。

 なお、MTPモード時はWMPから、MSCモード時にはWindowsのエクスプローラ、もしくはiriver plusから転送を行なう。

 ビデオの検索も音楽と同様でナビゲーションボタンを利用。左右で階層移動、ホイール回転で表示画面の上下移動となっている。

 ビデオプレーヤーとしての機能はシンプルで、再生操作はナビゲーションボタン中央で再生/停止、左右で早送り/戻しが行なえる。ホイールを回転させるとボリューム変更となる。なお、ビデオの表示画面は左利き/右利きの選択が可能となっているなど、細かい配慮も行き届いている。

 レスポンスも良く、バッファ時間は皆無。表示品質画質も良好だ。320×240ドットのファイルであれば不満を感じることはほとんどない。輝度はさほど高くないが、屋外でなければ問題はない。視野角はNW-A800よりは広い。

ビデオの再生画面 画面の向きを左利き/右利き用に設定できる

フォトビューワも装備

 フォトビューワの機能はシンプルで、スライドショーなどは備えていない。MSCモードでは、任意のフォルダにコピーした画像の再生が可能だが、600万画素のJPEG画像を転送すると、各画像の表示に4秒ほど時間がかってしまう。iriver plus 3を利用すれば、転送時にQVGAサイズに変換するなどX20に最適化を行なうため、スムーズに写真を見たい場合は、転送時にiriver plus 3を利用したい。

 また、FMチューナも内蔵し、FM録音も可能。さらに内蔵マイクやライン入力からのMP3録音も可能となっている。iPodや国産プレーヤーでは録音機能を備えた製品は少ないので、このあたりもX20の特徴といえるだろう。録音フォーマットはボイスレコーディングがWAV。ライン録音はMP3形式で、音質は高(128kbps)/中(96kbps)/低(64kbps)の3段階が選択できる。

  電源は着脱式のリチウムイオンバッテリ。バッテリ駆動時間は音楽再生時が約22時間(MP3 128kbps)、動画再生時が約6時間(MPEG-4 SP/320×240ドット/512kbps/30fps)。充電はUSBから行なうため、パソコンを持った出張時などでバッテリ駆動時間に困ることはないだろう。


FMチューナを内蔵 ライン、ボイス録音に対応する


■ UIと豊富な機能が魅力

 高機能かつ、作り込みもしっかりしており、使い勝手も良好。ユニークなインターフェイスは「操作する楽しさ」を感じさせてくれる。実売価格は2GBが18,800円、4GBが22,800円。8GBは直販限定モデルで価格は29,800円。ウォークマン「NW-A800」の21,000円(2GB)、27,000円(4GB)、33,000円(8GB)と比較すると、2~3,000円程度割安だ。

 動画プレーヤーとして考えれば、WMVをサポートしていることは重要なポイント。WMVでライブラリ作成をしている人にはかなり魅力的な選択肢といえる。音楽プレーヤーとしても、NapsterなどWindows DRM 10採用サービスに対応できる点はiPod nanoやNW-A800と比較した際のアドバンテージといえそうだ。

 各社のプレーヤーの完成度が向上してきた昨今、機能だけでなく、対応サービスやデザインなどが重要な差別化要因となる。一風変わったインターフェイスながら、しっかりした操作性を実現したX20は、iPodやウォークマンとは違ったちょっと変わったプレーヤーが欲しい、といった声に確実に応えられる製品となっている。

□iriver japanのホームページ
http://www.iriver.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.iriver.co.jp/company/news.php?article=292&cUrrent_pAge=
□製品情報
http://www.iriver.co.jp/product/?X20
□関連記事
【2月16日】iriver、WMV/MPEG-4再生対応の薄型メディアプレーヤー
-新ホイールインターフェイスやmicroSDスロット装備
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070216/iriver.htm
【新製品レビュー バックナンバー】
http://av.watch.impress.co.jp/docs/backno/npback.htm

( 2007年3月16日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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