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ソニーは、デジタルシネマ向けの「CineAlta 4K デジタルシネマ上映用 トータルシステムパッケージ」を5月1日より受注開始する。プロジェクタやサーバーシステムを含めたシステム販売を実施し、システム価格は1,500万円以上。
DCI(Digital Cinema Initiative)が定める4Kデジタルシネマ仕様に準拠する上映システム。4Kデジタルシネマ用のSXRDプロジェクタを内蔵するほか、下部に10Uのラックを装備。デジタルシネマの上映フォーマットDCP(Digital Cinema Packege)の再生機能を備えたメディアブロック「LMT-100」や、管理システム「LSM-100」、RAIDストレージなどをラック内に収め、1台でデジタルシネマの受信から上映までに対応する。
プロジェクタ部は4.2KWのキセノンランプを内蔵する「SRX-R220」と、3.0KWもしくは2.0KWのキセノンランプを内蔵する「SRX-R210」の2つが選択可能。SRX-R220は最大20m幅のスクリーンで、DCIの定める輝度14ft-L(フットランバート。1ft-L=3.426cd/m2)を実現。SRX-R210は最大17m幅(3.0KWランプ)/最大14m幅(2KWランプ)のスクリーンに対応する。 デバイスはソニー独自の反射型液晶「4K SXRD」。パネルは新開発の1.55型で、解像度は4,096×2,160ドット。反射率を従来製品の72%から77%に向上し、映像表現力を高めたという。コントラストは2,000:1以上。 レンズは1.35~1.98倍ズームや、1.5~2.29倍ズームなどを用意し、劇場の規模や設置位置に応じて選択可能としている。ズーム/フォーカスメモリ対応のレンズも揃え、ビスタやシネマスコープなど、映写する映画のアスペクト比にあわせて簡単に切替可能としている。 入力端子は、DVIやAUX、BNC×4などを備え、SMPTE-372M デュアルリンクHD-SDI(4:4:4)、SMPTE-292M HD-SDI(4:2:2)、DC-SDI(R・G・B 4:4:4 / Y・Pb・Pr 4:2:2)、12bit/XYZなどの入力信号に対応する。外形寸法は740×1,395×1,535mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約300kg。 メディアブロック「LMT-100」は、DCPの再生が可能で、DCPのMXF(Material Excahnge Format)ファイルの展開や、AES暗号の解除、JPEG2000信号のデコードに対応。さらに、受信したXML/PNG形式の字幕データを映像にオーバーレイ表示する処理もメディアブロック内で行なう。LSM-100は基本作業や監視のための上映/管理システム。プレイリストの作成/管理/実行や、スケジュールの作成、KDM(電子鍵)の登録/管理システムのセットアップなどが行なえる。 同システムは、4月16日にTOHOシネマズ六本木ヒルズ・SCREEN 7で行なわれた「スパイダーマン 3・ワールドプレミア」で採用。20.2mスクリーン/644席を誇る同劇場で4K上映を行ない、来場者からの高い評価を得たという。 ■ 2010年に国内1,000スクリーンを4K化
ソニー コーポレート・エグゼクティブ EVP B2Bソリューション事業本部 B&P統括の大木充氏は、'84年のハイビジョンビデオシステム発表以来、ソニーの20年以上のHD開発ノウハウに言及。デジタルシネマに関しては、2002年の「スターウォーズ エピソード II」や2005年の「スターウォーズ エピソードIII」でのCinaAlta採用などの実績を説明した。 CineAltaの利点として、撮影結果をすぐに確認できる即時性や、現像代やフィルムコストの低減、長時間撮影などのメリットを訴求。さらに、画質の向上や編集作業の合理化、簡易化、コピー防止などのメリットを強調した。 また、制作者や視聴者だけでなく、配給会社にとってもフィルムの現像コストや輸送費、さらに盗難リスクの軽減などが見込まれるという。 同社の4Kプロジェクタは、既に約400台を出荷しているが、新たにアメリカのシアターチェーン「MOVICO」での採用も決定。MOVICOの228のスクリーンで、ソニーの4Kシアターシステムが導入されるという。また、劇場でのエンターテインメント分野や工業デザインや医療、バーチャルシミュレーションなどの分野での導入も目指すという。
ソニーマーケティング株式会社の林和義 執行役員は、国内におけるデジタルシネマへの取り組みを説明。現在、国内の約3,000スクリーンのうち、デジタルシネマが導入されているのは約2%の70カ所。ソニーが4Kシステムを導入している6館を除くと、そのほとんどが2Kのシステムとなっているという。 ソニーでは、フルHD(1,920×1,080ドット)のディスプレイがコンシューマ機器で普及していることから、「最高品質の4K」を訴求して、劇場での導入拡大を図る。劇場に対しては、4K品質を他劇場との差別ポイントとして訴えていくほか、運用技術者のトレーニングやアフターサービスなども実施し、システム提案を行なう。また、ソニーPCLによるDCPサービスの積極推進などで、映画配給会社や劇場と連携して、4Kデジタルシネマを推進する。 林執行役員は「目標は2010年にデジタルシネマ1,000スクリーン。既存の70の上映館以外の全てに4Kデジタルシネマを導入する勢いで取り組んでいく」と意気込みを語った。
□ソニーのホームページ ( 2007年4月25日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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