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株式会社ジャングルは、Blu-ray Disc(BD)のオーサリングやデータライティング、BD/HD DVDビデオ再生などに対応する、米ArcSoft開発の統合ライティングソフト「TotalMediaExtreme」を6月7日より発売する。価格は16,590円。対応OSはWindows XP/Vista。 BDビデオやHD DVDビデオ再生機能のみを抽出した「DigitalTheatre」(10,290円)や、DVD/BDオーサリング機能に絞った「TotalMediaAuthor」(10,290円)などの機能限定版も用意する。なお、機能限定版については、インストール後15日間はTotalMediaExtremeの全機能がフルに利用可能で、有償アップデートも行なえる。 Blu-ray Discのオーサリング機能は、追記可能なBDAV形式のほか、メニュー作成やチャプタ設定などが可能なBDMV形式に対応。BDMV形式では、VC-1コーデックでの出力にも対応する。 入力映像フォーマットは、H.264/MPEG-4/MPEG-1、2のほか、DVR-MS/WMV/MOVなどに対応し、音声フォーマットはMP3/WAV(PCM)/WMAに対応。また、HDV/DVカメラからのキャプチャにも対応する。なお、AVCHDカメラには、6月末公開の無償アップデートで対応予定。 編集点付近のみを再エンコードするスマートレンダリングや、規格外映像などを含む複数の映像ファイルを、統一したフォーマットに変換する「マルチトランスコーディング」機能などを備える。また、ディスク容量を超過したムービーを自動でディスク1枚分に圧縮して記録できる「自動圧縮機能」や、複数枚のディスクに自動で分割して記録も行なえる。
再生機能については、DVDビデオのほか、BDビデオやHD DVDビデオ再生に対応。BD/HD DVD/DVD再生が1つのソフト上で行なえる。BDMVは「BD-MVプロファイル1、2及びBD-Jプロファイル」などに対応。現在発売されているBDビデオ/HD DVDビデオに備えるインタラクティブ機能なども全て再生できるという。 NVIDIA製グラフィックカードに備えるHD映像再生支援機能「PureVideo」や、AMD製カードに備える「Avivo」、WindowsのDirectX Video Accelerationにも対応。 再生ソフトに搭載するコーデックは、同社開発の統合コーデックを採用。HD DVDやBDビデオで採用する複数のコーデックに全て対応。それらで共通して利用するコーデックの「コア」と、各コーデックごとに個別に対応するコンポーネントとを組み合わせて利用するため、PCの性能が低めの場合でも、コマ落ちなどが発生せずに再生が行なえるという。 また、PC環境をチェックし、次世代DVD再生が可能かを調べる環境診断ツールも備える。
データライティング機能はBD-R/REメディアへのデータ記録や、ボタンを押すだけで、静止画や音楽など、指定のカテゴリファイルのみを記録するバックアップ機能なども備える。 そのほか、一眼レフデジタルカメラなどで利用されているRAW画像の現像/補正ソフト「DigitalDarkroom」も6月7日に発売。価格は通常版が18,690円で、特別優待版が13,440円となる。詳細については、僚誌デジカメWatchで掲載している。
■ HD DVD-Rの無償対応を検討。再生検証は米国映画スタジオと共同で実施
発表会では、ジャングルの代表取締役高田晃子氏より、「Arcsoft製ソフトの第1弾として、BDライティングソフトのTotalMediaExtremeと、RAW現像ソフトのDigitalDarkroomを発表した。今後も第2、第3弾として、より詳細な部分を追求した製品を発売していく」と、今後のスケジュールについて説明した。 今回対応していない記録型のHD DVD-Rについても言及、「現在、市場ではHD DVD-Rドライブがほとんどないため、今回は機能の搭載を見送っている。ドライブが市場に増えてきた際には、無償アップデートの提供も検討している」とした。
開発を行なっているアークソフト株式会社の代表取締役本部長兼米国本社副社長の宮嶋稔氏は、「今回発売するTotalMediaExtremeは、海外に先駆けて日本で先行して発売する。日本のコンシューマに受け入れられない製品では、世界でも通用しないと考えている」と発売の背景を説明した。 また、開発については「HD DVD/BDビデオ再生機能については、米国の開発チームが、ディズニーやパラマウントなどの映画スタジオと連携して、再生ソフトの動作チェックを行なっているため、全てのインタラクティブ機能を完全に再現できている」と解説。 BD/HD DVD再生ソフト市場の現状については、「たとえドライブやノートPC製品にバンドルしている再生ソフトであっても、実際に使ってみると、再生中に強制終了してしまったりと、安定して使える軽量な再生ソフトはまず見かけない。今後はドライブメーカーなどにバンドルしてもらえるように精力的に動いていく」とした。
また、AV評論家の麻倉怜士氏も登壇。ハイビジョン映像について、「2011年には国民全体がハイビジョンになる。これは大革命で、アナログ時代からのハイビジョンラバーである私が待ち望んだ世界。ハイビジョンでは、SD解像度では絶対見られなかった映像の本質が見られるのが魅力。画質や臨場感、音などもすばらしいが、これら高画質を活かしたコンテンツが続々登場していることがすばらしい」と、語った。 コンテンツの魅力については、自身の実例を挙げ、「ライブラリとして数1,000巻のVHSビデオテープがあるが、これらは録画しても見直したことがほとんどなく、単なるアーカイブと化してしまっている。ところがBDに録画した映像は何度も見直してしまう。手元には50型のフルハイビジョンテレビを置いているが、常に何かを流しながら作業をしている」とした。
ハイビジョンの魅力としては、「フォーマットだけでなく、革命的な連鎖反応がすばらしい。メディア革命であり、感動革命であり、コンテンツ革命であるなど、すべてが革命的」と強調。 その革命の1つがテレビであるとし、「ブラウン管は、諧調やコントラスト感は優れているが、フォーカス感がよくないため、高精細な映像には向かない。高精細な映像に最適なテレビとは、実は液晶テレビやプラズマテレビだった。偶然の一致かもしれないが、もしこれらテレビが登場していなかったらハイビジョンは今ほど流行らなかったかもしれない」とした。 そのほかテレビについては、「実は、有機ELとFEDが本命と見ている。ソニーが発表した有機ELテレビなども見たが、画質については非常にすばらしく、液晶テレビとブラウン管を足して二乗したくらいだ」と、今後のテレビについて語った。 また、デジタルビデオカメラがHD化することにより、利用者のクリエイティブ性が向上するとし、「今までは、イベントごとに“記録”していただけだったものが、ハイビジョンで録画できるようになると、“作品”を作ってみようという気になる。ビデオカメラがハイビジョン化することにより、『ハイビジョンで撮れる喜び、編集できる喜び、再生できる喜び、アーカイブできる喜び、未来再生の喜び』と、5つの喜びを得られる」とした。
最後に「ハイビジョンテレビを中心にメディアやパッケージ、IP、クリエイティブと、喜びが広がっていく。このうちクリエイティブの部分を今回のジャングルの「TotalMediaExtreme」のような製品が担うことになるのかもしれない。いい時代に生まれることができたと思う」と講演を締め括った。 □ジャングルのホームページ ( 2007年5月16日 ) [AV Watch編集部/ike@impress.co.jp]
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