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株式会社BCNは6日、家電量販店など21社2,271店舗(2007年4月時点)のPOSデータを集計した「BCNランキング」における2007年1~5月の市場動向と、夏のボーナス商戦の需要見通しの分析結果を発表した。 ■ 薄型テレビはフルHD化に注目。松下のフルHD42型プラズマ好調 薄型テレビ全体では、5月の販売台数が前年同月比117.3%、金額ベースでは同98.5%で前年割れとなった。液晶テレビは、台数で同115.0%、金額は同96.3%でマイナス。同社では「2006年5月のワールドカップ特需の影響によるもので、液晶テレビの需要が低下したわけではない」と分析している。 プラズマテレビの5月の販売台数は、前年同月比139.9%、金額では同110.1%となった。また、金額ベースの薄型テレビ全体の構成比では、プラズマテレビの割合が4月の15.8%から20.6%に増加。2割を超えた。 また、これまで低下を続けていた薄型テレビの単価平均額は、3月を境に上昇傾向へと転化。3月に22万円だったプラズマテレビと、12.5万円だった液晶テレビの単価平均額が、5月の段階でプラズマが24.3万円、液晶が13.2万円と回復傾向が続いている。 液晶テレビの場合、40型未満モデルの平均額は下落しているが、40型以上のモデルでは、3月の価格と比べて平均価格が増加。プラズマテレビでは全てのサイズで平均価格が上昇している。 平均価格の回復について、同社では「薄型テレビにおけるフルHDパネル搭載モデルの割合が増加していることと、リンク機能搭載モデルの増加によるもの」としている。
液晶テレビ全体のフルHDパネル搭載モデルの割合は、5月の段階で、台数ベースが19.1%で、4月の18.5%から微増。金額ベースでは34.1%で、前月の34%からはほぼ横ばい。これに対してプラズマテレビは、台数ベースが19.9%で、前月の9.8%から約10%増。金額ベースにおいては29.0%で、前月の16.6%から大きく増加している。 プラズマのフルHDモデルの増加については、松下電器のフルHDパネル搭載42型プラズマ「TH-42PZ700」シリーズをその要因としており、5月に販売された42型薄型テレビのうち21.5%をTH-42PZ700シリーズが占めている。 また、シャープの「AQUOSファミリンク」や松下電器の「VIERA Link」など、レコーダなどと連携して利用できるリンク機能搭載製品についても言及。リンク機能を搭載した薄型テレビの台数構成比では、搭載製品が5月で55.5%となり、非搭載製品を初めて上回った。金額ベースでは5月の搭載製品が63%となっている。 5月のサイズ別の販売台数構成比は、液晶では32~40型未満が最も高く49.0%。金額ベースでも同じく32~40型未満が52.7%で、32型以上のモデルが全体に占める割合は74.5%となった。プラズマでは、台数ベースで32~40型未満が最も高く45.0%、金額ベースでは40~50型未満で39.6%。40型以上のモデルが全体に占める金額ベースの割合は65.6%となっており、大型化が順調に進んでいるとした。
5月のメーカー別台数シェアは、液晶ではシャープが48%でトップ。次いでソニーの19.4%、松下の12.9%、以下東芝、ビクターと続く。プラズマではトップが松下電器の74.8%で、シェアをさらに伸ばした。次いで日立の22.3%、パイオニアの2.9%となっている。 フルHDパネル搭載モデルが伸びている理由としては「液晶の37型モデルを例に取ると、フルHDモデルとHDモデルでは、20~25%前後の価格差がある。だが、店頭では、フルHDであることよりも、むしろ、表示速度やリンク機能など、ほかの機能を前面に出して販売していることが多く、こうした機能が理由でフルHDモデルが売れているのではないか」と分析している。 そのほか、HDD内蔵テレビについて、液晶テレビの台数全体に占めるHDD内蔵モデルの割合が5月で4.2%と少ないのに対して、プラズマでは5月で17.2%と、比率が高い点について「単価が安い液晶テレビでは、HDD搭載モデルと非搭載モデルとの差が大きく、割高感が大きい。大型製品が主流のプラズマは、全体的に高価なため、HDD搭載モデルの割高感が出にくいのではないか」と推測している。
□関連記事 ■ DVDレコーダは、売上の半数以上がリンク機能搭載モデル 5月のDVDレコーダ全体では、台数ベースで前年同月比74.7%、金額では同84.5%となった。地デジ対応モデルは台数ベースで同125.5%、金額は同114.1%となっており、地デジ対応モデルが増加。構成比は台数ベースで92%、金額ベースで96.6%がデジタル放送対応となっている。
リンク機能搭載モデルも増加しており、5月の地デジ対応/リンク機能搭載モデルの構成比では、搭載モデルが4月の49.7%から、58.7%に増加。5割を突破した。金額ベースでは前月56%で初めて5割を突破し、5月は62.9%で、さらに割合を増やしている。 単価平均についても2007年1月の5万9,000円を境に上昇傾向に転じており、5月の単価平均は7万2,000円にまで回復している。 5月のメーカー別台数シェアでは松下電器が34.9%でトップ、2位がシャープで26.5%。以下東芝が18.0%、ソニーが12.1%、日立が3.0%と続く。
デジタルビデオカメラ全体では、台数ベースで前年同月比95.2%、金額では同91.7%と微減。ハイビジョン対応モデルは、台数ベースで同162.7%、金額は同133.0%。デジタルビデオカメラ全体に占めるハイビジョン対応モデルの割合は台数で37.4%、金額ベースでは49.1%となっている。 記録メディア別の台数別構成比では、DVDモデルが29.8%、HDDモデルが28.4%、DVカセットモデルが21.4%、HDD/DVD両対応モデルが10.8%、SDメモリーカード対応モデルが9.6%となっている。 フルHD対応製品の割合は、3月から5月までの3ヵ月で10%まで上昇しており、今後の伸びが期待できるとしている。
■ パソコン関連は「自作パーツでVista特需」 そのほか、デジタルカメラ全体では、安定した成長を維持しており、5月の台数は前年同月比114.8%、金額は106.7%となっている。コンパクトモデルは、台数で同110.4%、金額は同96.7%と微減。一眼レフモデルは、台数で同210.2%、金額で163.5%と好調。 メーカー別台数シェアは、コンパクトモデルではキヤノンが19.6%でトップ。次いで松下電器の15.5%、ソニーの14.2%、カシオの12.8%、オリンパスの12.3%となった。一眼レフモデルでは、ニコンが49.4%でトップ、キヤノンが33.8%で2強は動かず。次いでオリンパスがシェアを7%に延ばして3位。以下ペンタックスの5.4%、ソニーの4.1%と続く。 同社では、オリンパスのシェア上昇について「コンパクトモデルでもマーケティングのうまいメーカーだったので、それを活かして“分かりやすさ”という切り口で、一眼レフモデルでも、初心者を対象に売り込んでいる」と分析している。 ノートパソコンは、5月の台数ベースでは前年比102.9%で増加しているが、金額ベースでは同96.5%とマイナス。この傾向は3月以降継続しており、膠着状態が続いているとしている。デスクトップPCは台数ベースで同79.9%、金額は同85.7%となっている。 また、5月のパソコン全体のVistaバンドル率は、台数ベースで87.5%。そのうち半数を超す54.5%が「Home Premium」となっている。 Windows Vistaについては、PCのほか、発売前後の1~2月には、自作パーツの売上も増加したという。同社の扱う115品目のうち、上位30位内に、メモリカードや内蔵HDD、メモリ、CPU、グラフィックスカードなどがランクインするなど、売上が伸びており、同社では「Vista特需はPCパーツにもあった」としている。
□BCNのホームページ ( 2007年6月6日 ) [AV Watch編集部/ike@impress.co.jp]
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