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シャープ株式会社は12日、業界最小のサイズと低消費電力を実現したというワンセグ用チューナモジュール「VA3A5JZ912」を発表した。7月2日よりサンプル出荷を開始し、サンプル価格は10,000円。 量産は9月30日より開始、月産100万台を予定する。主な用途としては、携帯電話や、PDAなどの小型端末を想定する。 VA3A5JZ912は、1月発表の従来モデル「VA35JZ9910」に比べ約45%減(体積比)となるパッケージサイズの7.3×7.3×1.25mm(幅×奥行き×高さ)を実現したチューナモジュール。同社製品としては第3世代の製品となる。
消費電力は85mW(低消費電流モード時)で、サイズ、消費電力ともに業界最小としている。また、高速移動時の受信性能を従来比2倍に強化した。 省電力化には、受信レベルが高い場合に電流を抑え、低い場合に上げるように随時制御する技術を採用。この制御には14種類の特許技術(出願中含む)が使用されており、電流制御OFF時に比べ平均15mW低い約85mWとした。また、小型化は、新開発のOFDM復調ICと、独自の高密度実装技術により実現したとしている。 さらに、今回の新OFDM復調ICでは、新幹線や高速道路など高速移動時において、受信限界速度を従来の約150km/hから約300km/hに向上。低速移動時の感度も改善されている。
■ '08年度は生産能力2倍へ。「省電力化は使命」
ワンセグ対応機器の需要について電子部品事業本部の山内美芳本部長は「対応携帯電話が夏にも累計出荷1,000万台を超える見通し。2008年は北京オリンピックに加え、ワンセグのサイマル放送解除が行なわれた場合の新しい放送形態により、伸びが期待できる」と予測。 携帯電話以外にも、同社が一部の電子辞書にワンセグを搭載していることに触れ「年配の方に電子辞書が売れている。さらに、カーナビやポータブルDVDなどで、2008年度には対応機器合計で3,000万台弱の出荷が実現できるのでは」と述べた。さらに、ワンセグ搭載機器の今後について「パソコンへの標準搭載や、(欧米の)DVB-Hとワンセグ(ISDB-T)両規格対応製品も実現するかもしれない。アイディア次第でいくらでも商売になる」とした。 低消費電力化については、「ワンセグ携帯電話は電池が減って、通話が出来ないといろいろなところから言われてきたが、2006年度の製品では消費電力115mWを実現し、フィールドテストにより、これなら大丈夫という結論に至った。今回、さらに消費電力を抑えたことは大きな売りで、消費電力を業界最低に持っていくことは我々の使命」とした。 量産時の生産数は「2006年の生産開始時には月産10万個だったが、年末~2007年の3、4月に多くの需要を抱え、同100万個の生産体制を実現した。2008年3月には、携帯電話への搭載率が上がると予測し、月産200万個の体制を整える」と述べた。 今後の開発スケジュールとしては「先日発表したDVB-H/T-DMB対応チューナにも、今回の低消費電力技術を応用する」としたほか、「次世代1/3セグ両対応モジュールについても開発中」と説明した。
□シャープのホームページ ( 2007年6月12日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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