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株式会社東芝は12日、HD DVD/HDDレコーダ「RD-A600/A300」を発表した。RD-A600は600GB HDDを、RD-A300は300GB HDDを搭載。6月末より発売し、価格はともにオープンプライス。店頭予想価格はA600が20万円以下、A300が15万円前後。開発コードネームは「ODIN(オーディン)」。
HD DVDビデオソフトの再生と、1層/2層HD DVD-R記録が可能な「HD DVD搭載HDDレコーダ」。HD DVD-Rへのデジタル放送録画/ムーブのほか、DVD-RAM/R/RWに対応。なお、HD DVD-RWには対応しておらず、カートリッジ式のDVD-RAMもサポートしない。 地上/BS/110度CSデジタルチューナを各2系統と、地上アナログチューナを1系統装備。デジタル2番組同時録画の「ハイビジョンW録」に対応する。メインチップセット/ソフトウェアもHD DVDに対応した「VARDIAエンジン」を搭載し、デジタルW録時の再生/編集操作を可能としたほか、GUI操作の高速化を実現した。 また、i.LINK(TS)を装備し、i.LINK搭載VARIDIAの録画映像をRD-A600/300にムーブし、HD DVD-Rに出力できる。また、DTCP-IPに対応したサーバー機能「ネットdeサーバーHD」を備え、対応クライアントからVARDIA内の映像をストリーミング視聴できる。
■ 「BDに“勝った”とはいいませんが、圧勝の状況」
HD DVDの販売が比較的好調なアメリカの実績を例に引き、プレーヤーでは普及の中心を担うアメリカと、レコーダが中心となる日本市場の違いついて言及。「アメリカ人に聞くと、DVDは99.9%映画を見る機械、一方日本で聞くと7割ぐらいがテレビを録画する機械という。本当に大きな違いだが、ビジネスとして違いを乗り越えてやらないといけない」と日本市場向けのレコーダへの意気込みを語る。
また、録画環境におけるHDDの重要性についても、「HDDが無ければ、私も(容量の大きい)BDをやっていた。しかし、HDDが既に圧倒的に普及している。HDDは副次的なものではなく、メインの録画媒体。しかし、HDDの容量には限界がある。使う人の所有欲を満たすメディア、取って残しておく手段はHD DVD-R。メディア各社と連携してHD DVDを進めていきます」と、HDDを中心としたレコーダのコンセプトを訴えた。 なお、RD-A600/300ではHD DVD-RWをサポートしていないが、「個人的には、RWはコンシューマエレクトロニクスではあまり需要はないと感じている。しかし、パソコンでは確実に求められる。ドライブの数で言えばパソコンが多いので、メディアメーカーさんも低価格化にぜひご協力いただきたい」とした。
東芝のHD DVD製品ラインナップとしては、HD DVDプレーヤーや新VARDIAに加え、「(東芝の)PC社が発表したとおり、来年にはノートPC全機種にHD DVDを搭載する。ドライブも需要が増大している」とした。 さらに、北米市場で4月から実施しているキャンペーンの好調さをアピールし、プレーヤーの累計販売台数が15万台を超えたと報告。299ドルという戦略的な価格でHD DVDプレーヤーを販売し、4~7月にはHD DVDビデオ作品も多く投入するなどの積極的な展開により、ゲーム/ゲーム周辺機器を除いた次世代ディスクプレーヤーの販売シェアは、4月に66%を記録したという。藤井社長は、「HD DVDは60%、BDが40%。台数的には低次元な争いですが、5月にはHD DVDが7割に迫っている。この状況で、なぜBDが勝ったといえるのか。正直なところ真意がどこにあるのか、ワンダーしている」とコメント。さらに、「ヨーロッパは圧勝している。スタジオやオーサリング会社、量販店のエコシステムが出来ており、HD DVDのファンが想像以上に増えている。(BDのように)“勝った”とはいいませんが、圧勝の状況です」と北米、欧州の好調な販売実績を強調した。
また、PC用ドライブの東芝の出荷が100万台を超えたことや、LGやSamsungのBD/HD DVD両対応プレーヤーの発売、中国メーカーによる年内のHD DVDプレーヤーの投入など、各社のプレーヤー開発の現状を説明。PCも、米国でAV PCの普及が進んでおりASUSや富士通、Siemens、HPなどがHD DVDを採用。「残念ながらソニー、Dell以外ですが、世界の主要メーカー全てがサポートしている」と訴えた。
■ 次世代レコーダでシェア7割を狙う。プレーヤーは下方修正
価格設定については、「基本はオープンプライスで、お店にお任せしている。ポイント還元なども含めると、なんともいえないが、そんなに安くないんですよ実は」としながらも、「お求めになる際の値段」としてRD-A300が15万円前後、20万円以下と説明した。 また、RD-A600/300の販促キャンペーンとして、購入者にもれなく、HD DVD-R 1枚とHDMIケーブル 1本、HD DVDソフト1本をセットにした「HD DVDスターターキット」をプレゼントする。 なお、生産台数は月産1万台。2007年度でHD DVD製品で30~40万台の販売を見込んでおり、「日本の次世代のレコーダシェアでは7割を取っていきたい」という。 デジタル放送のコピーワンスルールの見直しについては、「消費者としては、アナログでできたことができないというのは、“なんで?”という思いはある。もちろんコンテンツホルダの意向もわかるし、技術が解決するところもあると思う。今の製品がアップデートで新しいルールに対応できるかというのは、できるできない、というよりまだわからない」とコメントした。 プレーヤーの販売計画については、「(CESで発表した数字から)正直言うと、下方修正せざるをえない。2007年度300万台、2007年は240~50万台で、北米で約180万台と予測していた。アメリカはテレビを売っていればいいという状況が続いていて、BDももうちょっと頑張ると思ったが、安いやつが出てこない。テレビ、テレビ、テレビでは盛り上がらないので、BDにも本当に頑張ってほしい。北米の180万台は難しいが、なんとか100万台を売りたいと、生産、販売、調達計画を進めているところ」とした。
■ 映画ファンに求められているHD DVD
グラフェオ副社長は、プレーヤー製品の普及率についてもコメント。「重要なのは民生用のプレーヤー。つまり、映画を見るために、お金を払ってくれる人のための製品であるかどうかということだ。実際にタイトルを購入してくれる人は、ゲーム機ではなく、プレーヤーを求めている」と、専用プレーヤーの販売が、ビデオソフトの売上に繋がると説明した。 さらに、HD DVDのメリットとして、以下の5点をあげて解説した。
BDを「1」とすると、HD DVDのアタッチレートは「4」という。「4:1というアタッチレートの優位性は動かない。BDの勝利宣言を聞いたが、もしBDプレーヤーが4倍売れていれば、映画タイトルは4倍出ていてもいいのではないでしょうか?」とコメント。パートナーと協力して、HD DVDを推進していく方針をアピールした。
□東芝のホームページ ( 2007年6月12日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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