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コンテンツ海外流通促進機構(CODA)は13日、中国、香港、台湾において2005年1月から2007年4月までの2年4カ月間で、著作権法に違反する374万枚の海賊版を押収したと発表した。市場価格を1枚1,300枚と見積もった場合、押収物の総額は48億6,000万円と計算される。 押収されているのはDVDやCD、VCDが中心で、摘発数の推移は、2005年4月~2006年3月が逮捕者数515名/押収数227万枚、2006年4月~2007年3月は同637名/95万枚。逮捕者数はCODA発足時から延べ1,242名に達している。
これまでの海賊版対策と実績について、CJマーク(コンテンツ海外流通マーク)委員長の後藤健郎氏は「2007年5月に香港で摘発された海賊版製作業者が最高で禁固73カ月(6年1カ月)の判決を言い渡された。これはCJマーク発足以来最も重い判決で、香港における著作権侵害事件としても過去2番目の刑」と成果を報告。 また、中国本土において、2007年3月までに、サーバー内に日本のコンテンツなど違法ファイルを収め、利用者に閲覧させていたサイバーカフェ計15店に対する摘発を、現地取締機関と共同で実施した。 そのほか、中国、香港、台湾の主要都市13カ所において、現地取締機関の担当者に対して、日本のコンテンツの特徴や、海賊版の見分け方などを説明するセミナーをこれまで24回開催。現地担当者2,000名以上が認識を高めたとしている。
摘発件数だけでなく、海賊版全体の流通量も増えていると後藤氏は認識しており、「日本のコンテンツが浸透している証拠だが、正規で流通せず、海賊版で広まっている」と指摘した。 ■ ノウハウ提供でアジアでの正規ビジネス確立を
また、中国での問題として後藤氏は「大手出版社が日本のコンテンツを無断で著作権登録し、一般の店舗で堂々と売るというのが大きなビジネスになっている」という例を示し、「私的録音補償金管理協会(sarah)からの助成金を得るなど、業界からの支援を受けており、これらを元に的確に対応したい」と述べた。 一方で「コンテンツホルダー側も、どうやって正規ビジネスを展開するかという観点に欠けたところがある。これだけの市場があるのだから、正規のビジネススキームでコンテンツを出せれば解決できるのでは」とした。 さらに、動画投稿/共有サイトでの著作権侵害についても言及。「国内でも重要な問題。韓国では進んでいる部分もあるので、それらを参考に調査を行なう。ISPとも協力し、『摘発されないだろう』と決め込んでいる悪質な事業者には直接対処する」との姿勢を見せた。
新たな対策としては、2006年に協会内で発足した法整備委員会において、「対話型ロビー活動」を展開すると説明。 委員長を務めるソニー・ミュージックエンタテインメントの高嶋裕彦氏は「海賊版が販売されている国の法制度を見て、不備がある点については運用の改善を申し出る活動を行なう。特に中国では一方的に申し入れても効果はなかなか出ないが、権利行使だけを強めることは逆効果。関係当局と対話を重ね、日本の経験やノウハウを提供することでビジネス環境を獲得する」とした。 CODAは、2006年6月に制定した中長期ビジョンに基づき、組織基盤の強化を計画。これまでの活動は政府などの支援によるものが大きいが、法人格の取得を念頭に置いた基盤強化を検討している。また、政府の「知的財産推進計画」への参画を通じて官民一体での展開を図る。そのほか、5月からはホームページを開設し、コンテンツ事業者に向けた情報発信も進めている。
□CODAのホームページ ( 2007年6月13日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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