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5月に発売されたクリエイティブ「ZEN STONE」は、iPod shuffleとほぼ同機能を有しながら、価格はほぼ半額の4,980円という戦略で、発売以来人気を集めているという。豊富なカラーバリエーションなどの真っ向からのshuffle対抗製品として完成度は高かったが、発売からわずか30日で、大幅に機能強化してメモリ容量も拡大した第2弾「ZEN STONE PLUS」が発売された。
デザインはほぼそのままに、有機ELディスプレイを備え、楽曲検索を可能としたほか、時計機能やストップウォッチなどディスプレイを活かした機能を搭載。さらに、FMチューナやボイスレコーダなども追加し、メモリ容量も2GB(ZEN STONEは1GB)まで拡大した。 直販価格は9,800円と、ZEN STONEの約2倍。とはいえ、メモリ1GBでディスプレイ無しのiPod shuffleと同価格で、メモリ容量は倍。さらに、ディスプレイやFMなどの機能を備えている。ZEN STONEが価格面でiPod shuffleの追い落としを狙った製品とすれば、ZEN STONE PLUSは機能面からshuffleを上回ることをターゲットにした製品といえるだろう。 ボディカラーも多色展開で、6色(うち2色は直販限定)を用意。1カ月前にZEN STONEを買った人はかなり悔しい思いをするような気がするが、クリエイティブのこのプレーヤーにかける思いが伝わってくる。
■ 小型軽量はそのままに、ディスプレイを搭載
外形寸法は55.6×35.3×12.8mm(幅×縦×厚み)、重量は21g。 ZEN STONEの53.7×35.3×12.8mm/18.5gとさほど変わらない大きさで、同様のプラスチック外装ながら、ディスプレイを備えているためか、チープなガジェット的な印象はだいぶ薄くなっている。高級感があるというほどではないが、「ZEN STONEの上位モデル」らしさは、デザイン面でも感じられる。プラスチックのボディはやや傷付きやすいので、別売のシリコンジャケットなどを活用したい。 有機ELディスプレイは4行表示。その右脇に円形コントローラを備え、上下がボリューム、左右が曲スキップ/バックが割り当てられている。ZEN STONEでは中央は再生/停止ボタンとなっていたが、ZEN STONE PLUSではメニュー呼び出しに割り当てられ、再生/停止ボタンは本体上部に移っている。 上部には再生ボタンのほか、ショートカットボタン、ヘッドフォン出力、マイクなどを装備。下部にはUSB端子を装備する。USB端子はPCからの楽曲データ転送のほか、充電に利用する。
■ シンプルな操作性。ID3タグ非対応は厳しい USBストレージクラスに対応しているため、ドラッグアンドドロップで楽曲を転送できる。Windows Media Playerからも楽曲転送が可能で、プレイリストの転送やオートフィルなどの機能も利用できる。また、CDリッピングやファイル転送対応のソフト「Creative Media Lite」も同社ホームページで無償提供する。対応OSはWindows XP/Vista。
対応音楽形式はMP3とWMAで、ビットレートは最大320kbpsまでサポート。WM DRM9に対応するが、Napster to Goなどで採用されているWM DRM10に対応していないのは残念だ。また、iTunes StoreがDRMフリーのAAC配信を開始したこともあり、MP3/WMAだけでなく、AACの対応も進めてほしいところだ。 USBストレージ接続で、161MBのMP3ファイル転送にかかった時間は約2分35秒。あまり速くはないので、頻繁に楽曲の転送を行なう場合は、ストレスを感じるかもしれない。
本体上部の再生/停止ボタンで、電源を投入。丸型ボタンの中央がメインメニューの呼び出しとなっており、ここでミュージック/オプション/FMラジオ/マイク録音/レコーディング/ストップウォッチ/設定/ボタンロックの各モードを呼び出しできる。 楽曲検索や音楽再生は当然ミュージックモードから操作する。[ミュージック]を選択すると、フォルダ選択画面が表示される。検索画面では楽曲を収めたフォルダ名がアルファベット順に表示され、フォルダを選択すると、ファイル名順に楽曲が表示される。ディスプレイは最大4行の表示が可能となっている。 ID3タグなどのタグ情報に対応していないため、アルバムやアーティストごと検索などは行なえない。これは非常に残念だ。また、ファイル名で曲順が管理されるため、ファイル名の冒頭に[01]などの数字を付与していないと、アルバム再生時に楽曲順に再生できない。アルバム順に音楽を楽しみたい場合などはかなり不便だ。数年前のMP3プレーヤーでは、一般的な仕様ではあったが、最近あまり見かけなかくなった仕様だ。
同社では楽曲管理/転送ソフト「Creative Media Lite」をダウンロード提供しており、Media LiteでCDからリッピングを行なえば、ファイル名の冒頭に曲順を付与するため、アルバム曲順再生も可能としている。新規にZEN STONE PLUS用に楽曲を用意するのであれば、Media Liteを活用するのもいいだろう。だが多くの人は、すでにMP3なりWMAでのライブラリを持っているはず。やはりディスプレイを搭載したからには、タグ情報をしっかり管理し、楽曲検索が行なえる仕様にしてほしい。 再生モードは、ファイル名順に再生する[ノーマル]のほか、シャッフル、単位シャッフル(フォルダシャッフル)の各モードを用意。再生を開始してしまえば、操作はいたってシンプルで、丸ボタンの左/右でバック/スキップ、左/右長押しで早戻し/送り、上/下でボリューム増/減と割り当てられている。再生画面にはファイル名や再生モード、再生時間などが表示される。 再生中に丸ボタンの中央を長押しすることで、サブメニューの呼び出しが可能。フォルダ検索モードや再生モードの選択、イコライザ/バスブースト設定などが行なえる。
■ 音質は良好。FMや時計など新機能も充実
イヤフォンは柄の部分が長いデザインで、ZEN Vなどに付属のものとよく似ている。ゆったりとした厚みのある低音が特徴的で、広めの音場が聞きやすい。高域の情報量はそれほどでもないが、全域のバランスをしっかりと保ったチューニング。ソニーMDR-EX90SLと比較すると情報量が落ちるが、適度に耳に優しく聞きやすい。装着感も良いので、使いやすいイヤフォンといえる 音の傾向はZEN STONEとほぼ同じで、ダイナミックレンジが広く、音場もしっかりとしているので、安心してさまざまな音楽を楽しめる。低価格帯のプレーヤーながら、音質的な不満は無い。イコライザは、クラシック/ジャズ/ポップス/ロックの4つのプリセットと、カスタム設定が選択可能。バスブーストも備えている。 FMチューナや時計機能なども新搭載。メニューボタンから各モードを呼び出せるほか、本体上部のショートカットボタンで、任意の機能を1ボタンで呼び出しできる。ミュージック/FM、マイク録音、日付/時刻、ストップウォッチなどがボタンに割り当てできる。
新たに搭載した、時計/ストップウオッチ機能もなかなかユニークだ。別売のリストバンド「ZN-STPWB-BK」(直販価格1,480円)を使って腕時計として活用できるアイデアもので、ショートカットキーに時計/ストップウォッチを割り当てておけば、音楽再生中でもワンボタンで時間を確認できる。 ただし、時間/分表示のデザインがあまり時計らしくないので、直感的に時間がわからないのはやや残念だ。また、ZEN STONE PLUSが小型とはいえ、やはり腕時計として考えると少々大きい。チープさを活かしたデザインということもあり、かなりTPOと服装を選ぶだろう。 FMチューナやADPCM形式/モノラルのボイスレコーダも装備。FMチューナはオートプリセット機能も備えている。FMチューナの音質もなかなか良い。ただし、FM録音機能は備えていない。充電はUSB経由で行ない、連続再生時間は最長9.5時間。
リストバンドだけでなく、シリコンジャケット「ZE-STPPS(直販価格980円)」やカラビナ付きジャケット「ZN-STPCP(同1,280円)」なども用意。さらに、あわせてZEN STONEシリーズ専用のスピーカー「Travel Sound ZEN STONE」も発売する。直販価格は3,980円。 Travel Sound ZEN STONEは、単4電池2本を使ったアクティブスピーカーで、出力は200mW×2ch。本体中央にZEN STONE PLUS/STONEを装着部を設け、上部のステレオミニにZEN STONEを差し込んで装着できる。 外形寸法は、173×29×56mm(幅×奥行き×高さ)、電池を除く重量は約160g。フルレンジユニット×2のシンプルで小型のユニット構成だが、音質はなかなか良く、気軽に楽しめるスピーカーだ。 また、電池無しでも一応利用可能で、ZEN STONEのボリュームを最大にすれば、デスクトップに設置して一人で楽しむ分には十分な音量を得られる。電池駆動のほうが音ははるかに良いが、いざというときには重宝しそうだ。
■ 競合はshuffle以外のプレーヤー? 豊富なオプションが魅力 iPod shuffle対抗という点では、ほぼ半額で同機能の「ZEN STONE」、同価格で倍のメモリ容量とディスプレイの「ZEN STONE PLUS」とうまく位置づけされている。機能を求めるか、価格を求めるのか。それぞれにきちんとした回答を用意していると思う。
不満点としては、やはりタグ表示への対応。ディスプレイを生かした検索性能を向上すれば、iPod shuffleとの差別化ポイントとして、よりいっそう選びやすくなる。また、WM DRM 10とAACへも非対応というのも残念だ。配信サービス側の環境整備が進んでいるだけに、対応を進めてほしい。 iPod shuffleとの競合だけで考えると、非常にわかりやすい製品なのだが、最近ではApple以外のメーカーも安価かつ、高機能な製品を発売している。例えば、サムスンの「YP-U3」は2GBでディスプレイつきで8,980円、mpioの「FL500」も2GBで8,980円と、価格と機能から見れば、ZEN STONE PLUSに際立ったアドバンテージがあるというわけではない。 しかし、豊富なオプションやカラーバリエーションなどが用意されているのはZEN STONEシリーズならでは。リストバンドや各色のシリコンジャケット、スピーカーまでをシリーズ用にオプション展開しているので、利用シーンにあわせた拡張が可能となっている。こうしたオプションの活用を考えるのもZEN STONEシリーズならではの楽しみだ。 □クリエイティブメディアのホームページ (2007年6月22日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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