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バンダイビジュアル株式会社は17日、7月27日より国内向けに次世代DVDを投入するのに先立ち、報道関係者向けに「機動警察パトレイバー 劇場版」のBlu-ray Discビデオ(BDビデオ)版の試写会を実施した。 この試写会は、同社次世代DVDに採用されている音声フォーマット、ドルビーTrueHDのデモも兼ねたもの。そのため、試写はドルビーラボラトリーズの日本支社、試写室にて行なわれた。 既報の通り、バンダイビジュアルでは7月27日より国内盤のBD/HD DVDビデオをリリース。AKIRAのBDビデオ版は延期されたため、「王立宇宙軍 オネアミスの翼」、「機動警察パトレイバー 劇場版」の2作品がBD/HD DVDビデオの2フォーマットで投入。いずれのタイトルもBD/HD DVDビデオと、リマスター版のDVDビデオディスクを、それぞれトールケースに収納したツインパッケージ仕様になっているのが特徴だ。
ドルビーラボラトリーズ マーケティング部販売促進担当の長内紀己雄シニア・マネージャーは、ドルビーTrueHDの特徴について、元音源に100%復元可能なロスレスの符号化技術であることや、現在BD/HD DVDビデオ規格でサポートしている24bit/96kHzで最大8chまで記録に対応できることなどを紹介。 長内氏は「非圧縮のPCMでは無音時でも6.91Mbpsを使用してしまう。ドルビーTrueHDならば、同じ音質を半分程度ビットレートで実現できる。これは音質だけでなく、割けるビットレートが増加するという意味では高画質にも寄与できるポイント」と説明。
同じロスレスフォーマットのDTS-HD Master Audioでは、最大ビットレートは24Mbpsと規定されているが、ドルビーTrueHDでは最大18Mbpsに抑えられている。長内氏は「従来のDVDなどではビットレートが多いほど音が良いというイメージだったが、ロスレスの場合は、逆に同じ音でビットレートを抑えられたほうが効率的」と利点をアピールした。
■ DVDとは次元の異なる情報量の音
試写が行なわれたのはBDビデオ版「機動警察パトレイバー 劇場版」。音声はドルビーTrueHDトラック。同トラックは劇場公開版のドルビーサラウンドとは異なり、DVDパッケージ化の際('98年)に新たに作られた5.1ch音声となっている。また、HD DVDビデオ版の試写は後日に個別に行なわれる予定のため、今回はBDビデオ版のみの再生となった。
再生環境はパイオニアのBDプレーヤー「BDP-LX70」。映像(HDMI)はヤマハのAVアンプ「DSP-AX2700」に入力。ドルビーTrueHDのデコードは「BDP-LX70」側で行ない、「AVC-A1SR」に送信、パワーアンプはブライストンの「9B-SST」×2台を使用。スピーカーはリピンスキーのモニタースピーカー。プロジェクタはビクターの「DLA-HD1」。
'89年の作品のため、ハイビジョン収録による高画質化がどこまで実感できるかが気になるところだが、冒頭からDVDとは次元の違う画質に驚かされる。プログラマーの帆場が身投げするシーンで描かれるカラスの毛並みや、夕焼けの東京湾の背景など、暗部の情報量に歴然とした違いがあり「あんな線が描かれていたのか」という発見の連続。BSデジタルでのハイビジョン放送と比べても暗部のノイズの無さや主線のクッキリ感が向上していることがわかる。 夜の森を舞台にした自衛隊の戦闘シーンに切り替わると、DVDとの違いはさらに拡大。作品が古いためセルの傷などがかすかに確認できてしまう部分もあるが、隊員が身に付けている擬装用のギリースーツの細かいディティールも確認できるなど、ファンにとっては嬉しくなるクオリティだ。 従来ソフトとの違いという意味では、音質も大幅に向上。銃器の発射音が一段と鮮度良く感じられると同時に、レイバーが動く際の細かい金属音なども埋もれずに収録されており、情報量の違いが実感できる。ラストシーン近くで印象的な「風鳴り」も凄みを感じさせる低音で収録されており、DVDからの買い替えがいのあるソフトと言えそうだ。
■ ドルビーTrueHD採用記念特典が付属 なお、今回の2タイトルに、8月24日の「機動警察パトレイバー2 the Movie」BD/HD DVDビデオ版を加えた3作品については、バンダイビジュアルとドルビーラボラトリーズが共同でプロモーション展開を実施。3作品、両フォーマット6タイトルに、初回生産限定で「ドルビーTrueHD採用記念特典」が付属する。 特典は3点セットで、「FM高精細印刷によるトレーディングカード」と、「ドルビーTrueHDロゴステッカー」、「ドルビーTrueHD インナースリーブ」。トレーディングカードは通常のカラー印刷よりも高密度な印刷を施しており、各作品の代表的なイラストがデザインされている。
ロゴステッカーは、ドルビー技術採用映画館で掲示されるロゴプレートを模したデザインで、「我が家のホームシアターはドルビーTrueHD対応だよと、部屋に飾って欲しい」(長内シニア・マネージャー)という。インナースリーブは、ドルビーTrueHDのメリットや再生するための機器接続方法などが紹介された小冊子となっている。
□バンダイビジュアルのホームページ
(2007年7月17日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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