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松下電器産業株式会社は25日、2007年度第1四半期連結決算を発表した。 売上高は前年同期比5%増の2兆2,395億円、営業利益は13%増の739億円、税引前利益は11%増の840億円、当期純利益は10%増の393億円となった。営業利益、最終利益は6年連続の増益。売上高はデジタル家電、海外白物家電事業の好調ぶりに支えられて、第1四半期としては過去最高を記録した。 松下電器・上野山実取締役は、「GP3計画の初年度として、順調なスタートが切れた」と、第1四半期の業績を総括した。
■ PDP減収も、「今後の進捗に心配はない」 セグメント別に見ると、AVCネットワークは売上高が前年比5%増の9,961億円、営業利益が10%増の389億円。薄型テレビ、デジタルカメラ、カーエレクトロニクスが好調。営業利益率は0.2ポイント上昇し、3.9%となった。 主要ドメイン会社では、パナソニックAVCネットワーク社の売上高が前年同期比7%増の4,601億円、営業利益は15%増の143億円。パナソニックコミュニケーションズは、売上高が11%増の1,292億円となったものの、光ディスクの価格下落、北米向けコードレス電話の不振で営業利益が59%減の20億円。携帯電話事業を担当するパナソニックモバイルコミュニケーションズは、携帯電話端末の構造改革成果が出る一方で、基地局の収益悪化が響き、売上高は3%増の1,084億円、営業損失はマイナス16億円の赤字となった。
薄型テレビは、日本が前年同期比4%減の571億円、米州が5%減の443億円と落ち込んだが、欧州では13%増の614億円、アジア/中国では6%増の232億円となった。全世界では、1,860億円と前年同期に比べて2%増となった。台数は、日本、欧州、アジア/中国で2桁増となっているが、米州では1桁増に留まっているという。 また、プラズマテレビは、金額では1%減の1,289億円、台数では約10%増となる80万台。液晶テレビは、金額では9%増の571億円、台数では約4割増加の74万台となった。 「昨年度第1四半期には、ワールドカップ効果があり、その反動が日本および欧州で見られる。また、42インチのフルHDモデルの導入が、日本では4月半ばであったのに対して、北米では6月末、欧州では7月となり、この遅れが出ている。プラズマテレビの80万台という出荷実績は、年間500万台の計画に対して、やや遅れている。これは、北米で落ち込んだ分が影響したものだが、計画に比べては10%以下の範囲。北米では、フルHD比率が市場全体の4割を超えており、今後、42型以上のフルHDのラインアップが揃うことで強みを発揮できる。7月に入ってからは、ベストバイやサーキットシティなど5社のナショナルアカウントにおいて展示を強化しており、松下電器の薄型テレビは、7月第1週には102%増、第2週は124%増と2倍となった。今後の進捗にはまったく心配はない」(上野山実取締役)とした。 また、薄型テレビの価格下落は、国内市場全体が23%の単価下落であったのに対して、松下電器は21%の下落。全世界では、業界全体および松下電器ともに29%の下落とした。「価格低下は激しいが、コストダウンへの取り組み、高インチ化、フルHD化などによって、収益は前年並みとなっている」としている。 さらに、ビエラを中心としたリンク機能が高い評価を得ていることを示し、「リンク機能を前面に打ち出した一夜城作戦以降、DIGAでは35~40%、ラックシアターでは60%、ハイビジョンムービーでは25%のシェアを獲得するなど、AV総合メーカーとしての取り組みが成果に結びついている。海外でも同様の展開を進めていく」とした。 デジタルカメラの販売金額は、欧州、アジア/中国、日本、米州と全地域で2桁の高い伸びを見せており、全世界の販売金額は、前年同期比37%増の600億円となった。
■ ビクターの分離により、通年業績見通しを下方修正 一方、アプライアンスの売上高は12%増の3,494億円、営業利益が10%減の180億円。銅などの原材料価格の高騰が収益悪化に影響した。同社では、国内向けナショナル製品を対象に、eco ideasキャンペーンを開始しており、今後もナショナル製品全般にこの展開を進めていくほか、海外にも同様のキャンペーンを展開していく姿勢を示した。 デバイスの売上高は4%増の3,482億円、営業利益が34%増の184億円。電工・パナホームは売上高が6%増の4,319億円、営業利益が53%増の99億円、日本ビクターは売上高が11%減の1,380億円、営業損益はマイナス67億円の赤字。その他事業の売上高が前年並みの3,595億円、営業利益も前年並みの138億円となった。
地域別にみると、日本の売上高は2%増、アジア地域は6%増、米州地域の売上高は3%減となったが、欧州では13%増、中国では23%増という高い伸びを達成した。 同社では、「グローバルプラズマキャラバン」として、世界主要都市で商品、ブランドの訴求活動を開始。今年度は、全世界80都市200か所以上において、同キャラバンを展開し、世界規模でのブランド浸透を図るという。 とくに新興市場においては、富裕層を対象としたマーケティングを展開。ブランドショップを通じた訴求や、特定製品や地域ごとにターゲットを明確化したマーケティング施策に取り組むという。「新興市場においては、グループ一丸となり、粘り強く、着実に事業拡大を推進していきたい」とした。
また、昨日発表されたケンウッドによる日本ビクターへの出資によって、今年8月以降、日本ビクターが連結対象子会社から外れることで、2007年度の連結業績見通しを下方修正した。売上高は4,700億円減の8兆7,800億円、営業利益は230億円減の4,770億円、税引前利益は80億円減の4,520億円、当期純利益は40億円減の2,460億円とした。 「中間期についても下方修正するが、これらはすべて日本ビクターの連結対象子会社からの分離によるもの。下方修正はしたが、当初掲げた営業利益5,000億円、当期純利益2,500億円の目標達成に向けて取り組んでいきたい」と意欲を見せた。
□松下電器産業のホームページ ( 2007年7月25日 ) [Reported by 大河原克行]
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