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インテル株式会社は、コンテンツの著作権保護に関する同社の取り組みについて説明会を開催。地上デジタル放送の「コピー9回」への運用ルール変更についての同社の見解を表明したほか、地上デジタル放送への「ソフトウェアCAS」の導入などを推進する方針を明らかにした。 同社では、PC用向けのCPUやチップセットだけでなく、民生用のデジタルAV機器についてもプラットフォーム化を進めており、新しいデジタル機器や市場の創出、ホームIPネットワークの推進のため、コンテンツ著作権保護に積極的に関わっていく方針という。 ■ 地デジの視聴制御に「ソフトウェアCAS」を提案
米Intel コーポレート・テクノロジー統括本部 コンテンツ政策 アーキテクチャ担当ディレクターのジェフリー・ローレンス氏は、「いつでも、どこでも、どんなデバイスからでも好きなコンテンツを楽しめる」という、同社のデジタルコンテンツ保護技術の基本コンセプトを紹介。同社が提案している「ソフトウェアCAS(Conditional Access Systems)」などについて説明した。 「ソフトウェアCAS」は、現在日本のデジタル放送受信機器で採用されている「B-CASカード」の主要機能を、各受信機にソフトウェア実装するというもの。カードスロットなどが不要となるため、「コストの削減」や「実装の容易さ」、小型のポータブル機器などでの地上デジタル対応などの「多様な受信機開発の可能性」などの利点がある。 送出側や受信機の基本技術仕様については、すでにARIB(社団法人電波産業会)の標準規格「STD-B25」として策定されており、機器の設計や実装は可能という。ただし、地上デジタル放送の運用規程「TR-B14」については規定がなく、運用先なども決まっておらず、調整している段階という。 なお、現在のソフトウェアCASに関する規定では、地上デジタル放送のみの管理に限定されており、BS/110度CSデジタル放送については既存のB-CAS方式の利用が必要となる。 ローレンス氏は「技術的にはシンプルで、実現を阻害する要因はない。課題は財政的な問題だ」という。「現在稼働しているシステム(B-CAS)に加えて、もう一つの方式を追加するためのコストやルールの整備が必要で、放送事業者などの関連業界は様子見の状態。しかし、視聴端末が確実に増えることで、ビジネスチャンスは拡大する。ビジネス面での利点を訴求して、ARIBのプロセスを経たうえで実現を目指したい。理解が得られれば明日にでも、と考えているが、2008年頃の実現を目指している」とした。また、あわせて安価な受信機器を製造するためのルールの見直しなどにも取り組んでいくという。 ■ コピーワンス見直しは一定の評価
地上デジタル放送のコピーワンス制限の見直しについては、「われわれの目標は、デジタルコンテンツを相互利用可能な技術で扱い、家庭内における魅力的なコンテンツ体験を提供すること」とし、「回数制限を設けるべきではない」という消費者の調査を紹介。「アナログでてきたことがデジタルでできなくなることに、消費者は抵抗がある」との見解を示した。 しかし、「議論を経て、10回のコピー(9回+1回のムーブ)という結論に歩み寄ることができたことはハッピーだ」と評価。「10回コピーは新しいライフスタイルを提案できる」とし、新ルールのもと、家電とPCの新しい機能提案や、アプリケーション開発などでユーザーの利便性向上に取り組んでいくという。
また、DTCP-IPを利用した「リモートアクセス」についても言及。外出先などから家庭内などのサーバーにアクセスして、デジタル放送を楽しむ枠組みとして紹介し、実現のための課題として、DTCPのスペックに外部ネットワークからの認証を加えること、ARIBの規定にリモートアクセスの要件を盛り込むことなどの点を解説した。 デジタル放送のIP再送信については、法律の早期改正を求めるとともに、「放送局にも新しい市場を理解してもらうよう働きかけたい。今は変革の時期で、放送局はビジネスが阻害される脅威を感じているかもしれない。しかし、同時にビジネスチャンスも生まれる。新しい収入の道を示す必要がある。世界中でコンテンツを視聴可能とすることで、何百万の新しい視聴者が生まれる」と呼びかけた。
□インテルのホームページ ( 2007年8月31日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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