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日本テキサス・インスツルメンツ株式会社は5日、デジタルAV機器向けプラットフォーム「DaVinci(ダヴィンチ)」の新モデルとして、720pのMPEG-4エンコード/デコードに対応するエントリー向けプロセッサ「TMS320DM355」を発表した。ポータブルAV機器や、デジタルカメラ、ネットワークカメラのほか、セキュリティシステムなどへの搭載も想定する。 搭載するARMコアの動作周波数により2モデルを用意。ARM926EJ-S 216MHz搭載モデルはサンプル出荷中で、270MHz搭載モデルは2007年第4四半期よりサンプル出荷を開始。量産開始は2008年第1四半期を予定している。 価格は5万個受注時で、216MHz版が9.75ドル、270MHz版が11.49ドル。なお、MPEG-4とJPEGコーデックの同社へのライセンス/ロイヤリティは不要。 また、同チップを搭載する評価ボードに開発ツールやOS、ドライバ類などが付属する評価モジュール「TMDXEVM355」を2007年第4四半期より供給を開始。参考価格は73,290円。
DaVinciプラットフォームは、プロセッサ、ソフトウェア、開発ツールなどで構成されるDSPベースのプラットフォーム。全てのDaVinciプラットフォームで共通のAPIを利用するため、開発ツールやミドルウェアなどのリソースが活用できる。 TMS320DM355では、DSPコアを省略し、代わりに720p/MPEG-4 SP動画やJPEG画像のエンコード/デコード機能などを備える「MPEG4& JPEGコプロセッサ(MJCP)」を搭載。 オートフォーカス/ホワイトバランス、フィルタ処理、内挿処理などの映像調整機能や、OSD、リサイザなどの映像出力用の機能、10bit DACやテレビ出力機能などを備えた「ビデオ・プロセッシング・サブシステム(VPSS)」を搭載する。 従来モデルでは、640MHz相当のDSPが必要になるような処理の多くを、機能を特化した専用のプロセッサに代替させることで、低価格ながら同等の性能を維持しているという。なお、VPSSにはカスタマイズ可能な映像処理エンジン「iMX」も備える。
消費電力も低減されており、単3電池2本で720pのMPEG-4 SP映像を録画する場合、従来のDM644xシリーズでは25分だった録画時間が、DM355の利用により、80分の録画が可能になるという。720p/MPEG-4 SPエンコード時のDM355の消費電力は約400mW。 シリアルインターフェイスは、ASP、I2C、SPI×3、UART×3を装備。メモリインターフェイスはNAND/ECC、DDR/DDR2 SDRAMのほか、SDIO対応のMMC/SDカード×2を備える。USB 2.0はデバイスのほか、ホストとしても利用できる。 チップサイズは13×13mm(縦×横)、329ピンのBGAパッケージにて提供される。
対応する映像フォーマットがMPEG-4 SPのみである点については「MPEG-1/2は、チップレベルで対応しているが、ライブラリを用意していないため、実際には利用できない。主なターゲットがポータブル機器のため、圧縮効率の悪いMPEG-1/2は不要と判断し、省略した」としている。 H.264フォーマットへの対応については「日本国内では非常に盛り上がっているH.264だが、世界市場で見るとそれほどでもないと判断し、今回は採用を見送った。現在開発中のフルHD対応モデルや、次世代のエントリー向けチップでは、市場の動向に合わせて対応を検討していく」とした。 □日本TIのホームページ ( 2007年9月5日 ) [AV Watch編集部/ike@impress.co.jp]
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