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株式会社バッファローは21日、PC向けの単体地上デジタルチューナ2製品を正式発表した。PCI接続型の「DT-H50/PCI」とUSB 2.0接続型「DT-H30/U2」を用意しており、価格はPCI型が23,205円、USB型は22,050円。発売時期は5月中旬を予定しており、B-CASカードの発行認定が下り次第、販売するとしている。 同製品は18日に、ヨドバシカメラやソフマップの通販サイトなどで予約が開始されており、製品の概要は既報の通り。21日の発表会では製品の詳細が明らかになったほか、AVCREC対応モデルや、DTCP-IPへの対応予定など、今後のロードマップも説明された。
■ トランスレートチップで負荷を軽減 PCI接続モデル、USBモデル共に、地上デジタルチューナを各1基搭載。デジタル放送の視聴に加え、録画もサポートしている。対応OSはWindows XP/Vista。動作環境は、Windows VistaでグラフィックチップがIntel 965以上/GeForce6200以上/Radeon X1300以上(PCI-Express接続/GeForce7600GT以上/Radeon X1800以上推奨)。XPではIntel 945以上/GeForce6200以上/Radeon X1300以上(PCI-Express接続/GeForce7600GT以上/Radeon X1800以上推奨)となる。 Blu-ray DiscビデオをPCで再生する時と同様に、ビデオカードから映像をデジタルのまま出力し、ディスプレイに表示するためには、使用するグラフィックチップに対応したCOPPドライバと、HDCP対応のディスプレイが必要となる。 最大の特徴は、ViXSのXCode2111チップを採用しており、放送波をリアルタイムで解像度変換/トランスレートできること。視聴/録画時にDP/HP/SP/LPの4モードを選択でき、DPでは放送のMPEG-2 TSをそのまま表示/録画、HPは720×1,080ドット、SP/LPでは720×480ドットのSD解像度に変換される。ビットレートも8Mbps(HP)、6Mbps(SP)、4Mbps(LP)まで下げることができ、低スペックなPCでも地上デジタル放送の視聴/録画が行なえる。
要求CPUは、DP/HPモードの場合、Pentium D 925 3.0GHz同等以上(Core2Duo E4300 1.8GHz同等以上推奨)、SP/LP画質時はCeleron D 330 2.6GHz同等以上/Celeron M 450 2.0GHz同等以上(Core2Duo E4300 1.8GHz同等以上推奨)となる。メモリは1GBで、1.5GB以上が推奨されている。 なお、デジタル放送をHD解像度で表示するためには、HDCP対応のディスプレイが必要になるが、SD解像度に落とした場合は、アナログRGB端子からのアナログ出力が可能になる。そのため、DP/HPモード以外を選択することで、HDCP対応のディスプレイが無いPC環境でも、SD解像度になってしまうがノイズやゴーストの無い、クリアなデジタル放送が楽しめるのが特徴。 また、録画と個別モードは連携しており、録画ごとにDP/HP/SP/LPから個別に割り当てることはできない。つまり、DPモードで視聴している場合は、DPモードでのみ録画。SPモードで録画している場合は視聴解像度もSPモードのみに制限される。テレビのプロファイルとして4モードから1つを指定し、視聴/録画ともにそのモードを使うことになる。音声の出力はUSBオーディオ機器や、光デジタル出力、Bluetoothでの出力に対応していないという。
なお、バッファローではこれらの必要機能項目を、ユーザーのPCでテストできるソフト「バッファロー ストリームテスト for 地デジ」を提供している。インストールして実行すると、デジタル放送をイメージした映像などが流れ、CPU負荷や、COPPドライバを利用しているかどうかなどがチェックできる。
□「バッファロー ストリームテスト for 地デジ」ダウンロードアドレス
視聴や録画には、付属ソフトの「PCastTV for 地デジ」を使用。録画はPC内蔵HDDに加え、USB接続の外付けHDDにも可能。ネットワーク接続のNASへの録画も対応予定。録画した番組データは、録画に使用したPC、およびチューナカードを接続した状態でないと再生はできない。録画データを別のフォルダなどに移動させても再生はできなくなる。NASの場合はデータを見ることもできず、他のPCから再生するこもできない。
しかし、DTCP-IP配信機能をアップデートにて提供予定。PCのHDDに録画した番組を、DTCP-IPに対応したDLNA端末で再生できるようになるという。ただし、USBタイプの「H30」は非対応。その後には、DTCP-IPに対応し、デジタル放送の録画先だけでなく、DLNA配信サーバーとしても使用できる新型NASも発売を予定しているという。これを利用することで、他のPCやクライアントから録画したデジタル放送をネットワーク再生できる。ただし、既存の同社NASでDTCP-IP配信機能をアップデートで追加することはできない。
【お詫びと訂正 / 2008年4月22日追記】 録画したデジタル放送の編集は、製品販売開始時には対応していない。後日アップデートで「カット編集など、ハイビジョンレコーダで実現しているような機能を提供していく予定」だという。
コピーワンス番組のムーブにも対応しており、PCI接続の「H50」は、HD解像度のままBlu-ray Discにムーブ可能。SD解像度に落としてDVDにムーブすることもできる。USB接続の「H30」はBDへの書き込みは非対応(SD解像度含む)、DVDへの書き出しのみサポート。なお、録画後のHD映像を他の録画モードにトランスコードすることも可能で、その際もViXSのチップを使って低負荷で処理できる。ただし、処理時間はほぼ実時間必要になるという。
付属ソフトでは、視聴中の放送を一時停止し、追いかけ再生するなどの最大90分のタイムシフト機能に対応。EPGの表示やEPGデータの検索、テレビ王国と連携したおまかせ録画機能や、携帯電話を使った外出先からの録画予約も可能。データ放送の表示や双方向サービスにも対応できる。EPG情報を定期的に更新することで番組の放送時間変更への追従も可能だが、録画予約を行なうと、その予約情報の自動追従は行なえない。予約録画開始時間にPCをレジューム/起動させる機能は備えている。
USB接続型「DT-H30/U2」は、BDビデオへのムーブ、DTCP-IPアップデートに対応しないなどの点が、PCI接続版と異なる。それ以外の機能や、付属ソフトの仕様は同じ。なお、両モデルともカードの複数枚同時利用、USBの複数同時接続/使用はサポートしていない。USBタイプの外形寸法は80×22×115mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約140g。USBバスパワーで動作するほか、ACアダプタも使用可能。縦置き用スタンドも付属する。
■ AVCREC対応モデルも 今後のラインナップとして、DTCP-IPを使った録画番組のネットワーク配信に対応した「H50」シリーズ2機種を夏頃に発売を予定している。「DT-50/U2」は、今回発表された「DT-H50/PCI」のUSB接続版と言えるモデルで、BDメディアへのHD解像度のままのムーブやDTCP-IPのネットワーク配信もサポート。編集機能にも対応予定。発売は7月を予定し、価格は26,000円程度を予定。 さらに、同様の仕様でPCI-Express接続用の「DT-H50PCIE」も8月にリリース予定。価格は23,000円程度になるという。さらに、年末までには上位モデルとして、Wチューナ搭載モデルも投入予定。放送をMPEG-4 AVC/H.264にトランスコードし、HD解像度のままDVDメディアにムーブする「AVCREC」にも対応予定。さらに、地上デジタル/BS/110度CSデジタルの、3波対応モデルの投入も検討しているという。 前述を含む、これら全機種でダビング10に対応予定。アップデートでサポートするモデルは6月にもアップデートを予定。編集機能も全機種でサポート予定だという。
■ 3波チューナ搭載のLinkTheaterも
事業本部 市場開発事業部の和田学事業部長は、2002年11月のマルチメディア製品本格参入から、2006年9月のワンセグチューナ「ちょいテレ」のヒットなどを振り返りながら、同社の地上デジタル放送への取り組みを説明。「2011年のテレビ総需要は1億2,000万台だが、その時点での対応薄型テレビ、地デジ対応PC、STBなどを合わせても、地デジが受信できないアナログテレビは3,650万台残っていると予測している。これはデジタルチューナを手掛ける各社にとっては魅力的な市場であり、ここに向けて様々な製品を投入していく」と宣言した。
さらに、事業本部 市場開発事業部の中村智仁デジタルホームマーケティンググループリーダーは、製品の特徴として、トランスレート機能を搭載したことによる“PCへの負荷の軽さ”をアピール。「過去3年間のPCは約15,000機種存在するが、HPモード(720×1,080ドット/8Mbps)を備えることで、その内2,900機種で今回の製品が楽しめるようになり、それ以下のモードを利用すれば対応PCを5,000機種にまで拡大できる」と、利用可能環境の多さを説明した。
さらに、薄型テレビやレコーダなどとは異なる、PCならではの利点として、EPGの見やすさ、操作しやすさ、操作レスポンスの良さ、作業しながらの観賞ができることなどを挙げると同時に、DLNA/DTCP-IPを使い、家庭内のどこにでも、録画したデジタル放送を配信できるソリューションも提案。それを同社製品で構築できるとアピールし、DLNA/DTCP-IP対応の既発売LinkTheater「LT-H90」などを紹介。 さらに、「デジタル放送への取り組みを強化すると、“テレビも作るのか?”と思われるかもしれないが、バッファローは情報家電分野においても周辺機器を手掛ける姿勢に変わりはない」(中村氏)とし、このDLNA/DTCP-IP対応のLinkTheaterに、地上デジタル/BS/110度CSの3波チューナを内蔵した「LT-H90DTV」を8月に投入予定であることを発表。価格は32,000円程度を予定しており、各社ビデオカメラで撮影したムービーの再生や、写真のスライドショー再生にも対応。リモコンも付属するという。
「これを接続することで、D端子付のアナログハイビジョンテレビなど、まだまだ使える少し前のテレビで最新の機能が利用できるようになる」とアピールした。
□バッファローのホームページ
(2008年4月18日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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