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株式会社BCNは18日、家電量販店26社、約2,350店舗(2008年6月1日時点)のPOSデータを集計した「BCNランキング」の2008年1月~6月15日のデータを基に、薄型テレビとDVDレコーダの市場分析結果を発表。2008年8月からの北京オリンピックに向けた需要が既に立ち上がりつつあるとの見方を示した。
デジタル家電やパソコン関連など118品目の実売データから、平均販売単価と販売価格の前年同期比をまとめた「BCN指数」では、例年ボーナス前に需要の谷間となる4~6月において、4月を境に上昇。 特に金額の伸びを支えたアイテムとしてDVD/HDDレコーダ(138.3%)、液晶テレビ(124.6%)が挙げられ、BCNのチーフアナリスト田中繁廣氏は「ボーナス商戦を前倒しする伸び」とし、デジタル家電のうち薄型テレビとレコーダ(DVD/BD)の両製品に絞る形で動向が説明された。 ■ 46型が大きな伸び。価格下落にも歯止めか
薄型テレビの売上は5月以降、台数/金額ともに前年同期比で増加。これは2007年の年末商戦を上回るという。特に金額の伸びが顕著で、液晶テレビでは5月が118.1%、6月前半(1~15日)が124.6%と上昇した。プラズマも6月前半で金額が114.6%と、2008年で初めて増加に転じ、2桁の伸びを示した。需要のピークは7月中旬と見ており、台数では140%、金額では130%まで伸びると予測している。 サイズ別では40型クラスの販売台数が液晶/プラズマとも前年同月比で2倍近い伸びとなっており、液晶では特に46型の伸び率が上昇し、これまで牽引してきた42型の伸び率に近づいている。46型は40型以上のうち約1/3を占め、「全体の牽引を担おうとしている」(田中氏)としている。 プラズマでは50型クラスが伸び悩む一方、40型クラスの金額構成比が2008年1月の53.2%から6月前半に59.1%まで増加。また、前年度には存在しなかった46型を松下が4月に発売し、40~50型のうち9.9%を占めており、「46型は液晶との競合のポイント」と見ている。
価格面では、液晶/プラズマともに50型以上は落ちる傾向にあるものの、30~50型未満はほぼ横ばい。田中氏は「松下がオリンピックに向けてコントラスト比3万:1の製品を出したことなどの効果で単価が上がり、これまでの低価格競争から変化を見せている」と分析した。 メーカー別台数シェアでは、PDP/液晶含めた全体でシャープが首位を維持、ソニーと松下が拮抗する形で続いている。液晶だけを見てもシャープ、ソニー、松下の順だが、40~50型未満ではシャープとソニーが首位を争う形でシェアを2分している。プラズマは6月前半時点で松下が62.4%、日立が35.9%、パイオニアが1.7%。
売れ筋製品を見ると、液晶の上位は20~30型クラスで、特にシャープの「Dシリーズ」が上位を占めた。32型では11万円前後、37型では15万円前後、40~42型では20万円弱の製品が売れ筋だという。プラズマでは、コントラスト比3万:1を特徴とする松下の新モデルが好調。「普及モデルより最新モデルの需要が立ち上がっている」とした。
■ BDがレコーダ市場を牽引、金額ベースで6割へ
レコーダは、新製品が出揃った5月に台数で前月比10.4ポイント増の106.9%、金額で同11ポイント増の118.6%と上昇。6月前半でも台数/金額とも20ポイント近い伸びを示している。 特にこれまで伸びていた金額ベースに加え、台数ベースでも増加。田中氏は「BDは本格的な普及期。BDが需要拡大を牽引しており、これまで市場全体としては拡大していなかったが、節目を迎えたのでは」と見ている。 単価ではBDレコーダの価格が若干下落しているが、これはシングルチューナ/250GB HDDといったエントリーモデルにメーカーが注力していることが原因と見られている。DVDとBDの構成比は、6月前半時点で台数が64.9:35.1(DVD:BD)。金額では4月に初めてBDが5割を超え、6月前半では46.1:53.9(DVD:BD)。オリンピック直前の7月には金額ベースでBDが6割を超えると予測している。 メーカー別ではソニーと松下が首位を争う形でシャープが3位。HDD容量で見ると、全体では3~5月にかけて、320GBモデルの割合が減り、250GBや500GBのモデルが増加。ソニーとシャープは500GBモデルの割合が増加し、松下は250GBモデルの割合が増えているところに各社の戦略の違いが表れている。売れ筋製品としては全体的に250GBモデルが上位だが、首位のシャープ「BD-HDW15」(500GB HDD)は他社製品に比べた割安感が好調の原因と見ている。
7月もレコーダ全体で台数120%、金額125%の伸びを予測。「2006年の冬季五輪やサッカーW杯特需では、会期中も販売が急伸した。日本選手の活躍次第では8月中旬までピークが続く可能性もある」としている。 一方、BDメディアについては、「DVD/BDの売上金額はわずかに伸びているが、BDの構成比はまだ5%に達していない。メディアについてはまだ次世代効果は出ていない」とした。 ■ 「ダビング10」延期の影響は無し
地上デジタル放送の「ダビング10」開始が延期されていることに対する買い控えについては「数字に出るかと思っていたが、全く影響は出ていない。これはダビング10自体が認知されてなかったためでは」としている。 一方で、補償金などをめぐってメーカーと著作権利者団体が対立を続けていることについては、「早期に決着した方が家電業界・コンテンツ市場にとってビジネスにつながる。“直前でダビング10延期”などということは通常では考えられない」と述べた。 そのほか、パソコンにおけるデジタルチューナ搭載モデルの動向については「あまり大きく伸びていない。一定の需要は見込めるが、“基本機能に絞って低価格”という商品戦略が中心となっており、チューナ付き製品の構成比は変わっていない」とした。
□BCNのホームページ ( 2008年6月18日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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