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情報通信審議会が第5次中間答申を総務大臣へ提出
-「ダビング10」後も、“対価の還元”は継続検討


6月27日開催


 総務省の情報通信審議会 第19回の総会が6月27日に開催。第5次中間答申がまとめられ、2011年7月のアナログ停波に向けたデジタル放送移行への取り組み、デジタル放送の新録画ルール「ダビング10」開始日の決定、B-CASカードを使った現在のコンテンツ保護の見直しなどが盛り込まれた。これを受け、増田総務大臣へと答申が提出された。

 なお、いずれの課題に関しても、事前にまとめられた中間答申案と大きな内容の違いは無く、承認自体はスムーズに行なわれた。


■ ダビング10開始も、“対価の還元”は継続して検討

 「ダビング10」に関しては、開始合意形成までに時間が掛かり、様々な問題点が噴出。議会ではスタート日程が7月4日に決まるまでの経緯が説明されるとともに、「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会」の答申案がまとまったのが当日(27日)の朝になるなど、活発な意見交換が行なわれたことが報告。村上部会長が「(デジコン委員会の)村井主査には最後の最後の瞬間まで、大変なご苦労をおかけしました。委員の皆様も40数回の議論を重ねられ、粘り強くそれぞれの立場から議論をされた。部会長として深く感謝したい」と語るなど、参加委員からも労をねぎらう言葉が相次いだ。

 また、合意形成の過程で言及された補償金制度の問題については、「文化審議会で検討中の事柄で、その在り方自体が当審議会の検討対象ではない」と前置きした上で、「クリエイターに対する適正な対価の還元は、既に第四次中間答申で確認された共通認識。当審議会ではそれ以外の側面から対価の還元の具体策を今後継続して検討していくことが必要」とされた。

 竹中委員からは「消費者の不在で決まったルールが見直されることで、今回のような困難な状況になった。今後は国民の意見をどれだけ取り入れられるかが重要。この件に関しては“消費者は技術的に詳しくないからメーカーなどにまかせなさい”という風潮があるが、デジタル放送への移行と同様に、このルールに関しても詳しく消費者に広めなければならない。地上デジタル移行の信頼性にも関わることなので、手厚いサポートをお願いしたい」との意見が出た。

 ダビング10ルールを実際の機器で技術的に、確実に担保(エンフォースメント)されるための手法についても、制度を含めたルールの在り方を今後も審議していくことが決定。現在はB-CASシステムが使われているが、「取り扱いに一定の知識と注意が求められ、ストレスを感じる視聴者が多数にのぼる可能性は高い。“全国あまねく観られる基幹放送”という観点からB-CASシステムをどう思うかという意見を取り入れ、“暗号化”を用いない“制度”によるエンフォースメントも検討する必要がある」とする。

 改善の方向としては、「現行の技術・契約エンフォースメントを更に利便性の高い方式に改善」、「新たな制度エンフォースメントの導入」、「その他両者併用等の方向」という3つの可能性を提示。「いずれを採るにせよ、2011年のデジタル全面移行時までには、エンフォースメントの在り方が決まり、全面移行時点ではその運用が開始されていることが望ましい」とし、今回の答申から概ね1年を目処に、いずれの方向性を採るかについて一定の結論を得ることを目指し、今後検討を進めることが確認された。

 「コンテンツ取引市場の形成」に関しては、番組製作者が製作・著作をもつコンテンツに関するデータベースを、番組製作者がコスト負担することを基本に、国がそれをサポートする形で構築していくことが確認。国際展開を目的とし、海外のバイヤーに日本の番組などを売り込むための番組国際見本市を形成することなども盛り込まれた。

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【6月23日】生活保護世帯への地デジチューナ配布などを取りまとめ
-デジコンの取りまとめは後日。情報通信政策部会開催
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080623/soumu.htm
【「ダビング10」対応状況リンク集 】
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080207/dub10.htm


■ デジタル放送への移行は“仕上げの段階”

 地上デジタル放送移行を円滑に行なうための「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」では、2011年7月のアナログ停波までの3年間を「最終段階の中でも仕上げの段階」と規定。従来までの答申では受信/送信側の課題などが冒頭から記載されていたが、今後は国民への周知徹底が何より重要となることから、第一項目が「国民の理解醸成」に当てられた。

 周知徹底に向けた施策としては、アナログ放送の画面に「アナログマーク」を表示したり、説明番組やスポットを多くの視聴者が視聴している時間帯に放送するよう放送事業者に求めることなどが盛り込まれた。チューナに関しては「いっそうの多様化、低廉化が望まれる」とした上で、2009年夏までに5,000円以下の簡易チューナの開発/流通を実現させること、生活保護世帯に必要最低限度の機器を無償給付すること。CATVのデジタル化も推進、IP再送信も推進し、2010年12月末までに「できるだけ広いエリアで提供されるとともに、実施時期を示したロードマップが公表されるよう国が働きかけを行なうべき」とまとめた。

 難視聴地域対策については、暫定的な処置として、NHKと民放キー局5局の放送を、BSデジタル放送を使って衛星再送信することを定め、BSチューナやパラボラアンテナの設置など、受信に必要な最低限の支援を無償で実施。大量廃棄が予想されるアナログテレビへの対策としては、外付けチューナを加えることで継続使用できることを周知広報していくことなどが盛り込まれた。

 さらに、地域に密着した対応組織として、地デジ推進全国組織を立ち上げるとともに、地方拠点「テレビ受信者支援センター(仮称)」を都道府県レベルで設置することを提案。規模は2008年秋に全国10カ所程度、2009年初頭を目処に「少なくとも全都道府県に1カ所は設置すべき」とされた。

 議会後半には、答申を受け取るために増田総務大臣も参加。「地方では高齢者を含めて、テレビに情報源を頼っている世帯が多いため、円滑なデジタル放送への移行には周知広報が必要。政府としてこの答申を最大限受け入れて政策を行なっていきたい」と語る。また、ダビング10については、「一番需要が見込まれる北京オリンピックに向け、歩み寄っていただいたと思っている」と述べた。

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【4月25日】アナログ放送に「2011年7月放送終了」のメッセージ表示
-停波半年前にはアナログ放送が常時レターボックスに
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080425/soumu.htm

□総務省のホームページ
http://www.soumu.go.jp/
□審議会の概要
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/kaisai/080627_1.html

(2008年6月27日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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