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7月4日の午前4時から、いよいよスタートしたデジタル放送の新録画ルール「ダビング10」。編集部ではダビング10に対応した幾つかのデジタルレコーダをアップデート。実際にダビング10の放送を録画し、その動作をチェックした。
■ コピー可能回数が数字で表示されるように 既報の通り、機種によって前後するものの、東芝や松下電器の一部対応レコーダでは7月4日以前にファームウェアがダビング10対応へとアップデートされた。ソニーの対応モデルも7月4日当日にアップデートされたが、編集部の「BDZ-X90」で確認したところ、7月4日の午前6時過ぎにアップデートが行なわれ、午前4時を若干オーバーしての対応開始となった。 検証したのはソニーのBlu-rayレコーダ「BDZ-X90」と、松下電器のBDレコーダ「DMR-BW900」、「DMR-BW200」、東芝のハイブリッドレコーダ「RD-S502」の4モデル。 いずれのモデルもGUIに大きな変化は無いが、ダビング10の番組を録画すると、録画番組一覧画面に、独自のアイコンや「10」といった数字が表示されるようになっている。
ダビングメニューから、DVD/BDなどのメディアにコピーを実行。コピーワンスの場合は「保護されたタイトルなのでムーブになります」というアラートが表示されていたが、ダビング10の場合は何も表示されず、そのままコピーされるモデル(ソニーBDZ-X90/松下のモデル)や、「オリジナルタイトルからコピー回数が減ります」という具体的なアラートが表示されるモデル(東芝RD-S502)もある。 ダビング操作自体はコピーワンスの場合と同じ。しかし、ダビング終了後もコンテンツ一覧にオリジナルデータは残っており、コンテンツ横に表示される数字が減る。テストしたソニー「X90」と松下電器「BW900」では、「10」の数字が1回のダビング後「9」へと減る。一方、東芝の「S502」では、最初の表示が「コピー9回可」となっており、ダビング後に「コピー8回可」へと減る。 ソニーと松下が最後のムーブも回数に加えているのに対し、東芝はコピー可能回数のみを表示しており、各社の考え方の違いがあらわれている。 いずれのレコーダでも、9回ダビングを行ない、10回目にダビングしようとすると、コピーワンスの番組と同じように「ムーブとなり、オリジナルタイトルが削除される」というアラートが表示される。
PC用地デジチューナでも同様。バッファローは4日に、β版ではあるがダビング10対応アップデータを公開。対象モデルはPCI接続型の「DT-H50/PCI」とUSB 2.0接続型「DT-H30/U2」。ダビング10の番組を録画すると、番組情報表示画面で「コピー制限」欄にダビング10と表示され、「ディスク作成可能回数」が「あと10回」となる。 メディアへの書き出しを行なうと「ディスク作成回数」が減少。一覧表示画面でも、残りのディスク作成可能回数は表示されている。いずれも文字は白いが、9回ダビングを行なうと「あと1回」という文字が赤字で表示される。当然ながら最後の1回はムーブとなり、HDDからオリジナルデータは削除される。
□β版アップデータダウンロードページ(DT-H30/U2)
■ 光メディア以外へのコピーも9回可能に 光メディア以外へのコピーも試してみよう。ソニーの「BDZ-X90」では、PSPなどへ録画番組をダビングする「おでかけ転送」に対応している。従来、この操作を行なうと、HDDに残されたオリジナルタイトルは「おでかけ中」と表示され、PSPなどから「おかえり転送」をしない限り、再生はできなかった。 ダビング10番組で「おでかけ転送」を行なうと、光メディアの場合と同じようなダビングと見なされ、ダビング可能回数が減っていく。もちろん、「おでかけ転送」後も、レコーダにはオリジナルタイトルが残っており、そのまま再生できる。
同じタイトルを9回「おでかけ転送」し、最後の10回目になると「このタイトルはコピー制御されたシーンを含むため、転送するとおでかけ中になります」というアラート画面が表示される。そのままおでかけ転送すると、コピーワンス番組と同じように、レコーダ上のオリジナルには「おでかけ中」と表示され、再生できない。もちろん「おかえり転送」を行なえば、再び再生可能になる。
■ 放送局によってはコピーワンスのままも ダビング10が運用されるのはNHKと無料の民営放送で、地上デジタルだけでなく、BSデジタル放送も対象となる。しかし、「WOWOW」や「スター・チャンネル ハイビジョン」などのBSデジタル有料放送はコピーワンスのまま。スカパー! などのCSも基本的に従来通りだが、チャンネルによってはダビング10を実施するものもあるという。 7月4日午前4時以降のWOWOWなどを録画してみたが、やはりコピーワンスのままだった。なお、検証した4モデルではいずれもEPGの番組表で、従来通り番組にコピー制御がかけられているか否かは表示されているが、それが「ダビング10」なのか「コピーワンス」なのかを判断することはできない。 なお、7月4日の午前4時をまたいで放送される番組も録画し、その挙動もチェックしてみた。すると、3時10分から4時5分まで放送されている「ベストヒットUSA」はコピーワンス番組として録画された。しかし、TBSで3時30分からスタートし、4時30分に終了する「買物大図鑑」を、スタートから3時55分までと、4時5分から終了までに、手動予約で2つに分けて「DMR-BW200」で録画したところ、前半部分はコピーワンス、後半はダビング10として録画された。 またいでいる番組であっても、スタート時にコピーワンスならば、4時過ぎでもコピーワンスの番組として録画。同じ番組であっても、時間が4時を過ぎて録画をスタートすれば、ダビング10として録画されたようだ。
■ 制限が大幅緩和 1回のムーブから、9回のダビング + 1回のムーブと、大幅に制限が緩和されたダビング10。ムーブの失敗でオリジナルが消えてしまうといった不安から解消されただけでなく、ポータブル機器への転送でも利便性が向上した。
これにより、今後ポータブル機器や携帯電話への転送機能を持ったレコーダが多く登場するかもしれない。また、HDDから光メディアへの書き出しが活発になればメディアの消費も多くなり、メディアの単価下落に繋がる可能性もある。そういった意味で今回の緩和は、デジタル放送を中心としたライフスタイルに変化が生まれるキッカケになりそうだ。
□Dpaのホームページ
(2008年7月4日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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