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NECエレクトロニクス株式会社は、Blu-ray Discプレーヤー用の主要機能を1チップで実現できるシステムLSI「EMMA(エマ)3PF」を開発し、9月よりサンプル出荷を開始する。サンプル価格は15,000円/個。2008年度第4四半期から月産100万個での量産を計画している。
同社では、11日にビデオ/オーディオデコーダやグラフィックス表示部、映像出力部、CPUなどBDプレーヤーのバックエンド部の主要機能を1チップ化した「EMMA3P」を発表している。EMMA3PFは、これらEMMA3P相当のバックエンド処理に加え、フロントエンド側のBDドライブ用の駆動用LSI「SCOMBO/UMP2」を統合。BDプレーヤーの主要機能を1チップで実現できるという。 フロントエンドからバックエンドまでのBDプレーヤーに求められるすべての処理を1チップ化した製品は「EMMA3PF」が世界初という。また、1チップ化により、従来品の組み合わせに比べると、実装面積を約50%削減でき、部品コストや実装面積の削減が可能となっている。 EMMA3PFは、最新のBD-ROM Profile 2.0に対応。MPEG-2、MPEG-4 AVC/H.264、VC-1映像の2画面再生や、Dolby TrueHDやDTS-HDなどの高品質な音声の再生、追加コンテンツのダウンロードのためのネットワーク接続へ対応できる。BD-ROMのネットワーク拡張機能であるBD-Liveで、2画面同時再生が可能。また、今後DivXにも対応予定という。 システム処理能力の合計は1,100MIPSで、マルチコアCPUやグラフィックス処理用アクセラレータなどを内蔵。システムの高速起動や操作性の向上を図っている。HDMIインターフェイスやEthernetコントローラ、USB 2.0ホストコントローラ、シリアルATAインターフェイスなども統合している。
また、ベクター・グラフィックス機能を内蔵し、従来のビットマップ処理に比べ、地図データの線や、文字表示などの品質を向上。I/P変換機能も内蔵し、出力映像の高画質化を図っている。 7月に出荷開始したEMMA3Pなど、従来のEMMAシリーズとのソフトウェア互換を有しており、既存製品の開発資産も継承できる。そのため、機器メーカーの導入例としては、「まずはEMMA3Pを利用して開発を進めて頂き、そのコストダウン策としてEMMA3PFがあるというイメージ(SOCシステム事業部 板垣克彦事業部長)」という。
■ EMMA3PFは「究極に近い」。レコーダ向けは要望に応じて開発
同社第二SOC事業本部の新津茂夫副事業本部長は、デジタル家電向けのLSI「EMMA」の事業について説明。デジタルテレビやSTB、DVDレコーダなどにおける、EMMAの導入事例を紹介し、2007年度には2,900万個の出荷を達成。累計出荷は7,500万個を超えたという。 2007年度の実績のうち、STB向け出荷が53%、デジタルテレビ向けが30%、DVDレコーダ向けが17%と、特に海外向けのSTB用出荷が増えている。今後はBlu-ray関連製品の市場拡大を見込んでいるという。 2007年度はプレーヤー/レコーダの合計で170万台(プレーヤー100万台、レコーダ70万台)だったが、同社予測では2008年は合計800万台(同650万台、同150万台)に、さらに2011年度にはプレーヤーが3,500万台、レコーダが500万台の市場になると予測。そのため、同社ではプレーヤー向けのLSI展開を積極化し、EMMA3PやEMMA3PFを順次出荷していく。
新津副本部長は、プレーヤー向けEMMAの展開について、「これ以上のインテグレーションは無く、セットから見ると、かなり究極に近い形。今後はコストダウンをいかに進めるかという方向性になる。EMMA3PFは、今の赤色のDVDプレーヤーのチップに近い統合を実現している。赤色の10年の歴史に対し、BDではより早く統合を実現できた。他社に先駆けて実現できたことで、市場からも評価されていると思う」と語った。 なお、レコーダ用の予定については、「レコーダは各社の要望が多く、また差別化がしやすい部分があるので、要望に応じて開発していく(SOCシステム事業部 板垣事業部長)」とした。 Blu-ray市場でのシェア目標は、2008年度が約40%。2010年度にはシェア50%を目指す。金額ベースでは、2008年度がEMMAとSCOMBOの合計で約200億円、2010年度には400億円までの拡大を見込んでいる。
□NECエレクトロニクスのホームページ ( 2008年7月15日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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