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■ テレビ関連の展示 最も注目を集めているのが、RGBのLEDバックライトを採用した、37V型液晶テレビの参考展示。最薄部15mmという薄さが特徴。搭載するLEDの数など、詳細は非公開だが、高色純度のLED光源を採用することで、HDTV比152%の広色域を実現したという。 パネル解像度は1,920×1,080ドットのフルHD。IPS方式の液晶で、178度という広視野角の特徴は維持。倍速駆動にも対応しており、応答速度は6ms。製品化時期や価格などは未定となっている。
なお、同試作機は10kgを越える重量があるとのことだが、ブース内にはこのLEDバックライト液晶をさらに軽量化した試作機も展示。重量はジャスト10kgとなり、設置の自由度がアップするとのこと。 ほかにも、50型で最薄部15.5mmを実現した、次世代プラズマディスプレイも参考展示。こちらも詳細は非公表となっている。
高画質化へのアプローチとして、超解像映像信号処理技術も参考展示。詳しいアルゴリズムは公開されていないが、1フレーム内で完結する処理で実現しているため、複数のフレームから高解像度映像を作り出す技術と比べ、フレームメモリを消費せず、処理が軽いのが特徴だという。 SD解像度のソースを1080pなどにアップコンバートする基本処理だけでなく、例えば放送局側がSDソースをHD解像度にアップコンバートして放送した映像に対して処理をかけ、HD映像をさらに高精細化することもできるという。なお、高精細化技術では、レンズのボケ味など、高精細にしないほうがいい部分も処理されてしまうこともあるが、そういった問題を回避する仕組みも導入予定だという。 さらに、パラメータを調整することで、例えばHDで撮影された映像に、SD解像度の映像がPinP(子画面表示)表示されるようなテレビ番組の1シーンでも、背後にあるHD映像にはHD映像向けの超解像処理を施し、小さなSDの小画面にはSD用の超解像処理を施すという、同じ画面内で異なる超解像処理を行なうことも可能だという。 今後はこの処理を行なうLSIの開発などが予定されており、2010年の製品化を目標としている。
液晶テレビと組み合わせて、チューナからの映像/音声を無線伝送する技術も展示している。無線伝送技術としては松下電器や東芝がWirelessHDの技術展示を行なっているが、日立はARIBのSTD-T91 Ver.1.0に準拠。伝送形式はUWB(Ultra Wide Band)方式で、使用周波数帯域は4.2~4.8GHz帯。Wooo UTシリーズ用に既発売のワイヤレスユニット「TP-WL700H」と方式は同じで、伝送距離は30cm以上、9m以下。展示デモでは映像をJPEG2000で圧縮して送信している。 ワイヤレスユニットの新デザインモデルといった位置付けだが、今後は非圧縮での映像/音声伝送への発展や、ディスプレイユニットに受信機を内蔵するなど、よりレイアウトを自由にしつつ、クオリティをアップさせる取り組みも予定しているという。
テレビ展示コーナーで大きなスペースが割かれているのは、テレビのインテリアとしてのアプローチを追求したという「自由組曲」。現行のUTシリーズと、ユニークなデザインのスタンドを組み合わせた展示で、豊富な素材/カラー/形状パターンを採用しているのが特徴。
スタンドはアルミ素材をベースとしており、曲げたアルミポールの中央にテレビを設置したり、屏風の中央にテレビを配置したような「間仕切りスタンド」など、独創的なフォルムが多数展示。UTのフレームの中には金箔をあしらったものも。あらかじめ用意されたスタンドの形状やカラー、組み合わせるテレビのフレームデザインをユーザーが選べるサービスをイメージしており、「可能ならば2009年にもサービス展開したい」という。サービスの実現に向けて、デザインラインナップを取捨選択するための調査を実施している段階で、既に「屏風をイメージしたスタンドをお茶室に入れたい」という来場者もいたという。
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■ iVDR関連の展示 iVDRのコーナーでは、日立マクセル製の320GB iVDRメディアを参考展示している。さらに、メディアの使い勝手を向上するために、電子ペーパーでの空き容量を表示したモデルも登場。iVDRコンソーシアムではインターフェイス規格を拡張し、従来のSATAサポート部(Port A)にUSBサポート部(Port B)を加えたiVDR-i/O規格を策定しているが、電子ペーパー搭載iVDRはこのiVDR-i/O規格に準拠。USBサポート部を介した信号処理を行うことで、記録メディアとしてのリード/ライト機能に加え、電子ペーパーの動作制御を一体的に行なっているのが特徴。 残量のみを表示する「セグメントタイプ」と、収録内容のラベルなども表示できる「ドットマトリックスタイプ」の2種類を参考展示。電子ペーパーの消費電力は極めて低く、表示中は電力を消費しないため、iVDRメディアを使用していない場合でも表示を継続できるのが特徴。 なお、試作機にはHDDを内蔵しているように表記されているが、HDDタイプのiVDRに電子ペーパーを追加すると厚みが増してしまい、カートリッジの規格に収まらなくなってしまうため、今回の試作機の内部にはSSDが搭載されているという。今後の開発でHDDタイプのメディアに電子ペーパーを搭載可能になるか、SSDのiVDRに搭載されるようになるかはわからないという。 ほかにも、PC向け地上デジタルチューナを手掛けるメーカーに、iVDRの著作権保護技術であるSAFIA実装ソリューションのSDKを提供。展示機器ではアイ・オー・データ機器の地デジチューナが使われており、PCで録画した番組をiVDRにムーブ。そのiVDRメディアを他のPCやテレビなどで再生できるという。PCでの録画したコンテンツには、録画したPCやチューナが接続されていないと再生できないなどの縛りがあるが、iVDRではその問題が解決できるとする。
既報の通り、TSUTAYA BBは「アクトビラ」で展開している「TSUTAYA TV」において、動画VODコンテンツのダウンロード配信を12月に開始すると発表。その対象モデルには日立の液晶テレビも含まれているが、この技術のベースとなるダウンロード配信対応技術も展示された。 Wooo内蔵のiVDRに配信されたコンテンツを保存できるというもので、実際の動作はアクトビラ側が最終決定することになるが、SAFIAの利点を活かし、iVDRに保存したコンテンツを他のWoooやiVDRRプレーヤーなどに挿入しても再生することは技術的に可能だという。ダウンロードサービス開始と同時期のアップデートによる対応を予定。アップデートが無料になるか有料になるかなど、詳細は今後発表される。
■ そのほかの展示 そのほかにも、DLNAサーバー機能を備えたビデオカメラが参考展示されていた。カメラにDLNAサーバーソフトをプリインストールし、無線LAN機能を持たせるために、SDIOタイプの無線LANカードを搭載した改造モデルで、DLNAのクライアントからNASのようにカメラ内の動画を再生できる。 HDMIケーブルなどを使わずにワイヤレスで撮影したコンテンツがストリーミング表示できるのが利点で、無線LANの回線速度があればフルHD/高ビットレートな動画も伝送できるという。完全な試作機で、製品化の具体的な計画などは現在のところないという。
□CEATEC JAPAN 2008のホームページ
(2008年9月30日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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