◇ 最新ニュース ◇
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【Watch記事検索】
シャープ、上期決算は携帯電話などの不振で減収減益に
-ソニーとの液晶パネル生産合弁は「良い方向を模索中」


シャープ 片山社長(左)と大西経理本部長(右)

10月30日発表


 シャープ株式会社は30日、2008年度上期(4~9月)連結決算を発表した。売上高は、前年比4.8%減の1億5,624億円、営業利益は35.8%減の507億円、経常利益は48.0%減の375億円、当期純利益は35.3%減の280億円の減収減益となった。

片山社長は上期業績について、「携帯電話の販売方式変更などの影響を受けて、前年同期比に比べて1,000億円の減収となったことが大きく影響した。」と語った

 片山幹雄社長は、「太陽電池、液晶などはおおむね順調に推移したものの、国内携帯電話市場が販売方式の変更などの影響を受けて、前年同期比に比べて1,000億円の減収となったことが大きく影響した。また、上期における市場価格下落の影響は、商品関連で1,553億円、部品関連で1,374億円の合計2,927億円。15.2%も下落している。さらに、為替変動の影響でマイナス635億円。利益面では携帯電話、および関連する電子部品の不振が影響した」と、総括した。

 エレクトロニクス機器部門の売上高は、12.1%減の9,972億円、営業利益は41.9%減の192億円。そのうち、AV・通信機器の売上高が13.6%減の6,763億円、営業利益は85.6%減の23億円。液晶テレビの売上高は、1.2%減の3,784億円。台数では前年同期比28%増の478万台。国内は24%増、北米が21%増、欧州が4%増、中国が約2.8倍という伸び率となった。

 「欧州はやや伸び悩んでいるが、北米、中国では大きな成長となっている。だが、世界的な景気低迷、消費マインドの低下によって、米国のクリスマス商戦、日本の年末商戦への影響は避けられないだろう。BD内蔵テレビなどの高付加価値商品によって、新たな需要を喚起したい。先進国向け、新興国向けに最適な製品を投入する上で、共通化したグローバル設計を導入し、開発リードタイムの短縮、標準化や共通化などによるコスト削減に取り組んでいく。通期の販売台数は前年比33%増の1,100万台を目指すが、単価下落の影響もあり、売上高は4.4%増の8,500億円を見込んでいる」とした。

 とくに、韓国勢にとってプラスに働くウォン安の動きを懸念しており、「液晶テレビの世界的シェアを伸ばす上で、北米、欧州は重要な市場であるが、ウォン安を背景にした価格下落が進展しており、今回の業績にもその影響が出ている。年末商戦では、これが加速する可能性もあり、懸念材料といえる。ここでも高付加価値製品の投入などによって差別化を図っていく必要があるだろう。また、円高を悪い材料とばかりに捉えずに、これを材料原価の見直しなどのきっかけとすることで、コスト削減につなげたい」との姿勢をみせた。

 液晶テレビの通期計画1,100万台の内訳は、国内410万台、海外690万台で、上期実績は国内186万台強、海外290万台強。「上期の液晶テレビ事業は黒字」としている。パネルの外販比率については上期実績25%、年間計画30%程度。

 BDおよびDVDは、37.1%増の317億円、通期計画は38.3%増の800億円とした。携帯電話および通信融合端末の売上高は、31.2%減の2,316億円、台数は33%減の542万台。「携帯電話は、国内における販売方式の変更、消費マインドの低迷が影響している。独自デバイスや競合メーカーに先んじた付加価値製品の創出、中国向け事業の加速に取り組みたいが、2008年度通期では24.5%減の4,920億円、販売台数は23%減の1,170万台を計画している」と語った。なお、年間出荷計画の内訳は、国内970万台、海外200万台で、上期実績の内訳は国内464.5万台、海外78万台としている。

 健康・環境機器事業の売上高は、6.2%減の1,219億円、営業利益は211.7%増の20億円。冷蔵庫が堅調な伸びを見せたが、エアコンが減少した。情報機器事業は、売上高が10.9%減の1,995億円、営業利益が8.3%減の148億円。デジタルフルカラー複合機が好調に推移したが、通信融合端末などの販売が減少した。

 一方、電子部品等部門の売上高は12.5%増の9,119億円、営業利益は24.5%減の325億円となった。そのうち、液晶は、売上高が15.6%増の6,357億円、営業利益が29.0%減の264億円。太陽電池は、売上高が36.4%増の931億円、営業利益が前年同期の50億円の赤字から22億円の黒字に転換した。その他電子デバイスの売上高は5.0%減の1,830億円、営業利益は64.1%減の39億円。

 「テレビ向けの大型液晶ではセットメーカーの在庫調整の影響があったほか、PC向け液晶パネルの急激な価格下落の影響があった。だが、内需の大型テレビ向け液晶が順調で、7月に生産能力を引き上げた亀山第2工場の安定操業により、内需と戦略パートナー向けにコスト競争力のあるパネルを供給することが可能になる」とした。

 だが、その一方で、「携帯電話向け中小型パネルは、価格下落と需要低迷が大きく影響した。オンリーワン技術による高付加価値化で収益性を高めたい」などと語った。

 太陽電池では、シリコンの自製化、外部からのシリコン調達の安定化などが寄与。さらに、10月からは薄膜太陽電池の生産設備の増強などによって、今後、増産効果が発揮されるとして、通期見通しも35.7%増の2,050億円を目指す。

 電子デバイスでは、携帯電話市場の減速の影響を受けて、CCDやCMOSイメージャーなどの電子部品の販売減少が響いた。

 なお、同社では、2008年度の業績予想については、10月6日に公表した予想修正値からは変更せず、売上高は、前年比0.1%増の3兆4,200億円、営業利益は29.2%減の1,300億円、経常利益は40.6%減の1,000億円、当期純利益は41.1%減の600億円とした。

 「今回は修正はしないが、修正発表からのわずか3週間でも状況は大きく変化している。現段階で正確な予想をするのは難しい。シャープとしては、いまは緊急事態と考えており、お金を使わずに知恵を使うことを社内に徹底していく。設備投資、研究開発費、在庫圧縮、経費の見直しなどを通じて、公表値の達成に取り組みたい」とした。

 9月末時点での在庫は、亀山第2工場の生産能力の向上もあり、3月時点に比べて0.4か月分増加しているが、「年末に向けて販売拡大を図るものの、VMI調達の拡大などにより、さらなる在庫圧縮を進めたい」とした。

 また、2008年度の設備投資は、当初計画の3,300億円から3,000億円へ、そのうち、液晶関連の設備投資は2,200億円から2,030億円へと修正したが、「不要不急のところを見直し、先送りできるものは先送りにし、投資に関わる単価を見直すといったことも行なっている」(大西徹夫取締役経理本部長)とした。「設備投資の減額は、亀山や堺の生産規模や投資金額に大きな影響を及ぼすものではない」(片山社長)としている。

「経済環境の変化が影響して計画が遅れてはいるが、現在両者にとってプラスになる形を模索中で、大枠は変わらない」と片山社長

 堺コンビナート工場の建設に関しては、ソニーとの提携によって、9月末までの合弁会社設立計画が遅れていることに対して、片山社長がコメント。「経済環境が大きく変化しており、それが影響している。だが、世界のテレビ競争に勝つための提携であり、両者にとってプラスになる形でのやり方を模索している段階にある。大枠は変わらない」とした。

 また、ソニーが出資比率の引き下げを検討しているとの一部報道については、「それはあり得ない。そうした話は聞いていない」と否定した。

 さらに、堺に液晶パネル新工場を新設することで、過剰供給を懸念する質問が飛んだが、それに対して、片山社長は、「2004年に稼働した亀山第1工場の第6世代パネル生産によって、32型、37型の市場を牽引し、2006年の亀山第2工場の第8世代により、46型、52型において、競争力がある製品を市場に投入できた。だが、その間、韓国、台湾の液晶パネルメーカーが、第7世代、第7.5世代の液晶パネル生産によって、40型、42型の領域で、競争力がある製品を投入してきた。シャープにとっては、そこに落とし穴があった」と分析。

 新工場の狙いについては、「堺工場の第10世代パネルは、40型、42型に競争力を発揮できる生産体制を敷くことができ、シャープが一番弱いところを埋めることができる。これですべての製品ラインが揃う。その点では、堺工場が稼働する意味が大きい。中国では40インチが平均サイズとなっており、米国でも同様になるだろう。相当先まで40型、42型が主戦場になるはずだ。昨年、シャープが米国市場で腰が引けていたのは、40型、42型を持っていなかったことが大きい。それにも関わらず戦っていたら、裸の状態になるのと同じだった。北米で、付加価値を持った特徴的な製品を前面に打ち出したのもそのためだ。今年に入ってからは、46型、52型というシャープが得意とするサイズでコスト競争力を明確に見せ始めている」とした。

 さらに、一部メーカーが第11世代のパネル生産設備の建設を予定しているという点については、「40型のパネルであれば、効率性を追求している堺工場の第10世代と同じ切り出し枚数になるだろう。いまのところ、脅威に感じてはいない」とコメントした。

 一方、パイオニアの業績悪化や社長交代については、「液晶パネルの供給については、それほど大きな販売計画ではないため影響はしない。だが、突然の社長交代には驚いており、今後の協力体制について話しあいたい」などとした。


□シャープのホームページ
http://www.sharp.co.jp/
□決算情報(PDF)
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/library/financial/pdf/2009/3/0903_2q_tanshin.pdf
□関連記事
【10月6日】シャープ、携帯電話や液晶の減収で業績予想を下方修正
-通期も修正。「携帯電話関連は厳しい経営が続く」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20081006/sharp.htm
【7月31日】シャープ、第1四半期は液晶TV売上増も、減収減益に
-液晶TVは通期出荷台数の上方修正も視野
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080731/sharp.htm
【8月13日】【デジ家】薄型TV販売計画を上方修正するシャープの事業方針とは
-収益拡大を薄型TVとBDに求め、携帯電話の落ち込みをカバー
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080813/ce30.htm

( 2008年10月30日 )

[Reported by 大河原克行]


00
00  AV Watchホームページ  00
00

Copyright (c)2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.