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株式会社BCNは15日、家電量販店のPOSデータ集計に基づいた、薄型テレビとレコーダ、デジタルカメラ、PCのデジタル家電4カテゴリにおける年末商戦の市場分析結果を発表した。
取締役常務執行役員の田中繁廣氏は、景気後退でデジタル家電業界が受けている影響について、同社が把握しているデータから「2008年の秋口から生産が大きくマイナスとなり、在庫がまだまだ積みあがっている状況が続いている。年末商戦を境にして、これまで2桁で大きく伸びてきたデジタル家電も、大きく局面が変わってくるのでは」と予測。 同社アナリストの道越一郎氏は、デジタル家電やパソコン関連など116品目の実売データから、平均販売単価と販売価格の前年同月比をまとめた「BCN指数」の推移から、「通常、金額の伸び率は12月に伸びていたが、2008年は93.2%と下回った。2007年も10月はマイナスだったが、2008年はマイナスとなる月が多かった。通常は単価も12月に上がるが、2008年の上昇は少なかった(11月が9.3%、12月が9.6%)」と、現状がマイナス基調にあることを示した。
■ テレビは40型台の鈍化で12月に単価も下落
薄型テレビ全体の傾向として道越氏は「サブプライムローン問題、リーマン・ブラザーズ破綻などによる景気後退の影響は、デジタル家電業界では11月までは比較的少ないと見ていたが、12月で金額がマイナス(97.3%)になった」と、認識を変えたことを説明。 「薄型市場を牽引していた液晶は前年レベルの維持がやっと。プラズマは全体に占める割合が少なく、大きな存在感は無いものの、台数/金額共に落ち込みが激しい。9月には、集計を始めてから初となる台数ベースでの落ち込みを記録した」という。プラズマの今後については「スポーツや、映画向けなど用途を特化した販売戦略が求められるのでは」とした。
単価で見ると、例年は3月を底とし、11月~12月は一定のラインを保っていたが、2008年は12月に大きく下落したことが特徴。その要因としては単価の下落を挙げ、「これまで市場を牽引してきた40型台の伸びが鈍化している。30型台は横ばいだが、大型が伸びていないことが金額別での落ち込みを招いている。また、価格を上げられる50型台も伸び悩んでいる」と厳しい現状を報告した。 サイズ別の構成比では、売れ筋は2007年と同様に30型台で、台数ベースでは30型~40型未満が40%台後半で推移。40型台は2割に達していない状況が続いている。 また、売れ筋トップ20の製品を2008年12月と2007年12月で比べると、特に2008年は7月より前に発売された安価な型落ちモデルが多くを占める傾向にあり、2007年は旧機種が11モデルだったが、2008年は15モデルまで増えている。
メーカー別では、薄型テレビ全体、液晶テレビともにシャープが独走を維持しており、年間通してほぼ40%以上を保っている。2位はソニーとパナソニックが争い、東芝が続いている。 価格下落が進む一方で、今後の価格維持に向けた動きの一つとしては、テレビへの録画機能(BDまたは内蔵HDD)搭載モデルが構成比で1割を超えたことを挙げた。12月のテレビ平均単価は、全体が11万3,000円だが、録画機能が付いていると16万9,000円と、5割近く高い。 道越氏は「付加価値を維持しながら高い価格で販売できる製品としては、各社とも力を入れていくのでは。全ての製品に録画機能が付くということでは無いが、コストダウンがぎりぎりのところに来ているので、利益を求める選択の一つとして増えていくことは今後も予想される」とした。 ■ BDレコーダ割合は金額ベースで77%。DVDとの価格差も縮まる
BD、DVD、HDD録画のレコーダは、金額面ではBDレコーダの牽引で成長が続いているものの、伸び率は8月をピークとして下落傾向にあり、BDレコーダの単価も11月から9万円台に突入している。 BDが全体に占める構成比は、年末商戦で大きく増加。12月時点では台数でBDが64.4%、金額で77.4%を記録している。これは10~12月にかけて8万円台の低価格モデルが増えたことが大きく影響しており、9月は1.5%だった8万円未満モデルが、12月には41.0%と高く伸びている。 低価格モデルはHDD容量も少ないが、250GB HDD搭載BDレコーダの平均単価を、同じHDD容量のDVDレコーダと比べると、BDが7万3,400円、DVDが5万600円と、価格差が2~3万円前後まで接近。2007年12月は約5万円の開きがあったことを見ると、BDレコーダの割安感が増している。320GBモデルの単価は、BDが8万8,800円、DVDが5万2,700円。 上位3メーカーにおけるBDレコーダの価格帯別構成比は、ソニーとパナソニックが10月時点から8万円未満のモデルを導入、続いてシャープが11月から順次低価格モデルを充実させている。
■ 2009年は前年割れを予想
デジカメは、一眼レフと“ネオ一眼”を合わせた「一眼」カテゴリの台数割合が12月に全体の1割を突破、単価は下落しているが台数は好調を維持している。一方、コンパクトデジカメは台数/金額とも2桁減が続き、「一眼の低価格化でハイエンドコンパクトの存在感が薄れている」と分析している。 パソコンでは、台数を牽引していたネットブックを含む「ミニノート」(BCNでは10.2型以下を分類)の勢いが弱まり、単価の下落が本格化。ミニノートは構成割合が25%前後まで増えた後は横ばい状態だが、画面サイズや記憶容量などの向上で、A4サイズなど高機能モデルとの競合が本格的に進むと見ている。
2009年の全体の見通しでは、金額面では前年並みを維持した2008年とは異なり、かなりの下げ幅で前年を割ると分析。道越氏は「予測は難しいが、全体で5%前後の落ち込みになるのでは」とした。テレビについては在庫が残っているという統計から、単価の下落が続くと見ており、レコーダも、「BDの価格がもうひと息ふた息下がるだろう」とした。
□BCNのホームページ ( 2009年1月15日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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