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日本ビクター株式会社は、HDDムービー「Everio」の新モデルとして、HDD内蔵型で世界最小/最軽量を謳う「GZ-HD320」と「GZ-HD300」の2モデルを2月上旬に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は、120GB HDD採用の「GZ-HD320」が12万円前後、60GBの「GZ-HD300」が11万円前後の見込み。
カラーリングは120GBモデルがクリアブラック(B)のみ。60GBモデルがルージュレッド(R)、ロイヤルブルー(A)、プレシャスシルバー(S)の3色展開となる。
同社が2008年1月に、女性をターゲットとしたスタイリッシュなSD解像度モデル「GZ-MG330」を発売したところ、国内のビデオカメラでは2008年5月~11月まで販売台数2位を4カ月記録。同期間、世界のビデオカメラ市場においても米国、英国、カナダ、オーストラリアなどでトップ3以内を維持するヒット商品となった。 ヒットの理由を同社は化粧ポーチに入るスリムボディ、豊富なカラーバリエーション、スマートな操作性などが受け入れられたと分析。そのコンセプトを維持したまま、ハイビジョン対応モデルの開発を決定。既発売の「GZ-HD30/40」の下位モデルに位置する、ベーシックなHDビデオカメラとして「GZ-HD300」シリーズを開発した。
サイズは53×113×68mm(幅×奥行き×高さ)、本体のみの重量は325gで、HDD内蔵ハイビジョンビデオカメラとしては世界最小/最軽量を実現。同社では「ハイビジョンがポーチインサイズになった」と表現している。デザインにも注力しており、天面にグロス塗装を施し、モニターの外側にはヘアラインメタル調の仕上げを採用するなど、異なる仕上げで高級感をアップさせている。
撮像素子は1/4.1型のCMOSセンサーで、総画素数は305万画素。上位モデルのような斜め画素ずらし方式ではなく、有効画素数は動画撮影時で116万画素、静止画が116万画素。 撮影フォーマットはAVCHDのみで、MPEG-2録画機能は備えていない。画像処理回路として、新開発の「HDギガブリッドPremium」を搭載。新たに平均ビットレート24Mbpsで録画する「UXP」モードを新設。ビットレート的には上位モデルの最高画質である「XP」(平均17Mbps)を上回っている。そのほかの録画モードは従来モデルと同じ「XP」(17Mbps)、「SP」(12Mbps)、「EP」(約5Mbps)。120GBモデルの場合は順に11/15/21/50時間の録画ができる。
「HDギガブリッドPremium」で24Mbpsの録画を実現したほか、新規回路制御技術などを導入することで、従来比約30%の省電力化も実現。AVCHD/DVDディスクの作成も高速化し、DVDライター使用時で約1.5~2倍、外部HDDへのコピーが約2~2.5倍高速化したという。DVDライターは「CU-VD3」と、AVCHD再生機能付きの「CU-VD50」に対応。また、新たにアイ・オー・データの外付けBDドライブ「BRD-UXP8」と接続できるようになり、BDMV形式でメニュー付きのBDメディアとして書き出せるようになった。
記録メディアは内蔵HDDに加え、microSDカードスロットも装備。microSD/SDHCカードに動画を記録することもできる。音声はドルビーデジタルステレオで収録。本体で撮影動画を再生する際、1080/60pに変換してなめらかな表示を行なう機能も搭載している。再生時にはダイジェスト再生機能も利用可能になり、60分の動画を約5分で再生できる。
レンズはコニカミノルタ製で、F値は1.9~3.2。焦点距離は35mm換算で41.4~828mm。光学20倍ズームで、デジタル200倍ズームも使用可能。2種類の非球面レンズや、低分散ガラスレンズを効果的に配置。各機能ブロックのレイアウトを最適化することなどで、「GZ-HD30」と比べ約40%のスリム化を実現。電子式手ブレ補正を備え、逆光補正機能も用意。最低照度は9ルクス(ナイトアイ使用時は約1ルクス)。静止画は最大解像度1,920×1,080ドットで撮影できる。 液晶モニタは2.7型、12.3万画素のクリアブライト液晶。画面左側に長細いセンサーバーを備えており、メニュー移動などに利用できるほか、新たにズーム機能にも利用できるようになった。バー上部の中の上部をタッチするとテレ側に、上部の中でも下部をタッチするとワイド側にズームイン/アウトする。 コンポーネントビデオ出力、AV出力、HDMIミニ出力、USB 2.0端子などを装備。付属バッテリ「BN-VF808」を使用した際の連続撮影時間は約1時間20分。実撮影時間は約40分。バッテリなどを含めた撮影時の重量は370g。
ストラップとグリップを兼用した2ウェイのベルトを装備。細身のベルトで、長さ調節が可能。短く留めてビデオカメラとの隙間を少なくすると通常のグリップベルトとして利用できるほか、長く調整するとベルトを手首にまわして、縦型にホールドして持ち運ぶストラップとして使用できる。
■ YouTubeやiPodと手軽に連携 付属ソフトがリニューアルされ、「Everio MediaBrowser HD Edition」が付属。対応OSはWindows XP/Vista。撮影した動画を変換しながら、YouTubeにアップロードしたり、iPod/iPhone 3Gや、Apple TV用の動画に変換する機能を備えており、変換後にiTunesに動画を登録することも可能。 これらの機能をより使いやすくするために、ビデオカメラ本体に「アップロード」と「エクスポート」ボタンを用意。例えば「アップロード」ボタンを押してから撮影すると、撮影した動画に「YouTubeにアップロードするつもりで撮影した動画」というフラグ情報が付与される。
撮影した動画を「Everio MediaBrowser」で読み込んだ場合、YouTubeへのアップロード機能を選ぶと、既にフラグ情報が付いた動画がリストアップされ、動画が簡単に選択できる。なお、「アップロード」ボタンを押さずに撮影した動画でも、手動で選択してアップロード操作を行なえばアップロードは可能。iPod/iPhone 3G動画についても同様。
■ 「お洒落グッズの1つとしてのビデオカメラに」 発表会にはデザインセンター 商品デザイングループ デザイナー 別宮利佳子氏と、カムコーダー事業部 技術部 電機グループ 福島麻梨子氏が登壇。司会の女性も含め、登壇者が女性のみというビデオカメラとしては珍しい発表会となり、女性をメインターゲットとした「GZ-HD320/300」のコンセプトをさらに印象付けるものとなった。 別宮氏はカメラのデザインについて、建築やインテリアデザインなどで使われているCMF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)デザインを取り入れたことを紹介。色や素材、表面仕上げにこだわり、「視覚に直接訴えるデザインを目指した」という。 さらに、ストラップとグリップを兼用できる2ウェイベルトの実用シーンとして、「子育て中の女性はビデオカメラを使うことも多いけれど、ストラップタイプにすることで手首にかけられ、両手が自由になる」など、女性に喜ばれる細かい工夫ポイントを紹介。福島氏は自宅での猫の撮影や、趣味のバンド活動で撮影した動画をYouTubeを使ってメンバーに見せるなど、様々な利用シーンの提案を行なった。
販売活動でもコンセプトを重視。テレビCMも女性を起用し、「持っても、キレイ。撮っても、キレイ。」をキャッチフレーズに展開。製品のスタイリッシュさだけでなく、女性には敷居が高いと思われがちな“ビデオ撮影”という行為そのものをより身近に感じてもらえるような訴求を目指す。さらに、化粧品メーカーのAYURAとコラボレーション。現在様々な訴求方法を検討しているという。 これに伴い、2009年2月3日~5月2日にかけて、購入者を対象とした「モア スタイリッシュ キャンペーン」を実施。カメラも収納できるオリジナルジュエリーBOXや、本体に貼ってドレスアップできるデコシール、録画用BDメディアのパックなどを抽選でプレゼントする。“ビデオカメラにデコシール”というのもあまりない発想だが、同社では携帯電話などと同じように「持っているとカッコイイものから、お洒落グッズの1つとしてとらえてもらえるようアピールしていきたい」としている。 カムコーダー事業部長の堀伸生氏は、こうしたコンセプトについて「GZ-MG330はビデオカメラのコモディティ化に対応するラインナップとして投入したが、ヒットモデルとなり、我々の事業戦略の正しさを証明するものとなった。同じコンセプトでHD化することで、ハイビジョンビデオカメラの世界シェア20%を目指していきたい」と目標を語った。
□日本ビクターのホームページ
(2009年1月15日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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