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AK第3世代の入門機「AK300」は約13万円。DACはAK4490×1基
2016年6月3日 11:00
アユートは、iriver Astell&Kernのハイレゾ対応ポータブルプレーヤーの新モデル「AK300」を6月11日に発売する。価格はオープンプライス。直販価格は129,980円(税込)。カラーはミッドナイトブラックで、型番は「AK300-64GB-BLK」。内蔵ストレージメモリは64GB。
第3世代のAKポータブルプレーヤーシリーズのエントリーモデルと位置づけられており、最上位モデル「AK380」(直販税込499,980円)、AK320(同249,980円)と比べ、価格を同129,980円に抑えている。
上位モデルとの主な違いはDACの個数と、DSDやPCMの再生まわり、ストレージメモリ、本体の素材。AK380は旭化成のDAC「AK4490」を2基搭載、DSD 11.2MHz、384kHz/32bitまでのネイティブ再生ができ、256GBのストレージメモリを搭載する。
AK320はAK4490のデュアルDACで同じだが、DSDは5.6MHzまで対応で、ネイティブではなくPCMへの変換再生。PCMは192kHz/24bitまではネイティブ再生で、それ以上の384kHz/32bitまで再生は可能だが、192kHz/24bitへの変換再生となる。ストレージメモリは128GB。
エントリーのAK300は、AK320と同様に、DSDはPCMへの変換再生、PCMは192kHz/24bitまでのネイティブ再生で、DACはAK4490を1基のみ搭載となる。ストレージメモリは64GB。ただし、上位モデルと同様にmicroSDカードスロットは1基備えており、128GBまでのカードが利用できる。
筐体の素材は、AK380はジュラルミン(航空機グレードのアルミ A7075)だが、AK320とAK300はアルミニウム。
モデル名 | AK300 | AK320 | AK380 |
直販価格 (税込) | 129,980円 | 249,980円 | 499,980円 |
内蔵メモリ | 64GB | 128GB | 256GB |
DAC | AK4490×1 | AK4490×2 | AK4490×2 |
PCM | 192kHz/24bit ネイティブ (最大384kHz/32bit) | 192kHz/24bit ネイティブ (最大384kHz/32bit) | 384kHz/32bit ネイティブ |
DSD | DSD 2.8/5.6MHz ↓ 176kHz/24bit 変換再生 | DSD 2.8/5.6MHz ↓ 176kHz/24bit 変換再生 | DSD 11.2MHz ネイティブ |
USB DAC | 96kHz/24bit | 96kHz/24bit | 384kHz/32bit DSD 11.2MHz |
筐体素材 | アルミ | アルミ | ジュラルミン |
筐体のデザインはAK380/320とよく似ているが、若干薄くなっており、細部は異なる。しかし、AK380/320向けのオプション周辺機器であるジャケット型アンプの「AK380 AMP」や、CDドライブの「AK CD-RIPPER」、クレードル、接続する事でポータブルレコーダとして使える「AK Recorder」も利用できる。
主な仕様はAK320と同じ
その他の主な仕様は、AK320と同じ。
再生対応ファイル形式はWAV、FLAC、WMA、MP3、OGG、APE、AAC、Apple Lossless、AIFF、DFF、DSF。USB DAC機能も備えているが、PCMの96kHZ/24bitまでの対応となる。
高精度で、200フェムト秒という超低ジッタを実現するVCXO Clock(電圧制御水晶発振器)を搭載。音質調整用には、20バンド/0.1dBのパラメトリックイコライザを搭載する。
IEEE 802.11b/g/n(2.4GHz)の無線LAN機能を搭載し、DLNAにも対応。スマートフォン/タブレット向けに提供している「AK Connect」アプリから、AK300を制御でき、NASやPCに保存した音楽ファイルをネットワーク経由でAK300から再生したり、スマホ・タブレット内の音楽をストリーミング再生させる事も可能。この機能をiriverでは「AK Connect」と呼んでいる。
Bluetooth 4.0にも対応。イヤフォン出力はステレオミニのアンバランスで、光デジタル出力も兼用。2.5mm 4極のバランス出力端子も備えている。出力レベルはアンバランス:2.1Vrms、バランス:2.3Vrms(負荷無し)、出力インピーダンスはアンバランス:2Ω、バランス:1Ω。SN比は116dB(アンバランス)、117dB(バランス)。
内蔵バッテリは3,400mAhのリチウムポリマー。ディスプレイは4型で、解像度480×800ドットの液晶。静電容量式のタッチスクリーンを採用。外形寸法は112.4×75.15×15.45mm(縦×横×厚さ)、重量は約205g。
音を聴いてみる
短時間ではあるが、AK380とAK300を比較試聴した。イヤフォンはJH AudioのTriFiを使っている。
大きなポイントは、搭載している旭化成のDAC「AK4490」が、デュアル構成か、シングル構成かという点だ。イメージとしては、デュアルの方が情報量が多く、厚みのあるサウンドで、シングルは痩せた音にならないかと心配する。
だが、実際に聴き比べてみると、シングルのAK300でも音圧が弱かったり、音が痩せて薄っぺらに感じられるような事はない。レンジは上下に非常に広く、色付けの無いクリアなサウンドはAK380、AK320からの流れを感じさせるものだ。
厳密に聴き比べると、AK380の方が音場の奥行きが深く、女性ヴォーカルの声が広がって消えていくような細かな描写が鮮明で、立体感を感じる。AK300ではそのあたりがやや平面的だ。低域の馬力や沈み込みの深さも、AK300は十分なクオリティだが、AK380と比べると一歩劣る。
また、これはAK320と同じだが、DSDソースの再生では、DSD特有のふわっと柔らかな質感が出るAK380に対し、AK300ではカチッとしたPCMっぽい描写になる。
とはいえ、AK300単品で聴いた際の満足度は非常に高く、決して“第3世代のAKの安いモデル”というチープさは一切ない。ワイドレンジかつニュートラルで、ポータブルとは思えない堂々とした空間表現を行なう“AK第3世代らしさ”はAK300でも十分感じられる。なかなか手が出にくいAK380/320の世界を体験しやすくなるモデルとして歓迎したい。