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Astell&Kernのアルミ小型スピーカー「ACRO S1000」。L1000と繋ぎ卓上オーディオ

 アユートは、Astell&Kernブランドの新製品として、発売中のデスクトップ型アンプ「ACRO L1000」との組み合わせを想定した、コンパクトなパッシブスピーカー「ACRO S1000」を3月24日に発売する。価格はオープンプライスで、直販価格はペアで129,980円(税込)。

左右がパッシブスピーカー「ACRO S1000」。中央は発売中のデスクトップ型アンプ「ACRO L1000」

 小型スピーカーだが、筐体にアルミ合金を使い、デンマークScanSpeak製ユニットを採用するなど、音質にこだわり、ハイクオリティなニアフィールドリスニングが楽しめるスピーカーとして展開する。外形寸法は109.8×137.8×138mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約1.95kg。

ACRO S1000

 2ウェイ2スピーカーのリアバスレフで、ユニットはScanSpeak製。ツイータは19mm径のソフトダイアフラムと、フェイスプラグを組み合わせたリングラジエーター型。高周波数帯域の干渉により、発生する歪や位相の乱れを防ぎ、ナチュラルで安定した高域再生が可能という。

 ウーファは50mm径で、ネオジウムマグネットを採用。歪のない、解像度の高い中低域再生を実現したとする。

 筐体はアルミ合金製で、剛性の高さを活かし、共振を低減。デザインはACROシリーズ共通の、アクロポリスをモチーフとしており、質感にもこだわっている。カラーはガンメタル。背面のスピーカーターミナルはバナナプラグ対応。

 出力音圧レベルは87dB。再生周波数帯域は93Hz~40kHz。クロスオーバー周波数は3.2kHz。インピーダンスは6.5Ω。

筐体はアルミ合金製
リアバスレフ
スピーカーターミナルはバナナプラグ対応
脚部

音を聴いてみる

 デスクトップ型アンプ「ACRO L1000」(直販税込119,980円)と組み合わせて試聴した。「ACRO S1000」の直販価格はペアで129,980円(税込)であるため、全部で約25万円のシステムとなる。「ACRO L1000」は単なるアンプではなく、DACを搭載し、ヘッドフォンアンプも備えているので、PCと組み合わせて、スピーカー/ヘッドフォンを高品質に楽しめるシステムとなる。

デスクトップ型アンプ「ACRO L1000」

 音を出す前にスピーカーに触っていると、驚くほど硬い。叩くと「コツコツ」という音すらしないような強度で、大理石でも叩いているような気分だ。剛性をひたすら追求して「意地でも共振しないぞ」という強い意志のようなものすら感じる。男性なら片手でつかめるサイズだが、“本気のスピーカー”という雰囲気に包まれている。フルアルミであるため、手にした質感も高い。

 また1.95kgもあるため、見た目のイメージで気軽に持ち上げようとすると「ウッ」と声が出るほど重い。「ふざけて持ち上げて、足の指に落としたら洒落にならないぞコレは」と怖くなる重さだ。

 音を出すと、この高剛性筐体から想像していた通りのサウンドが出てくる。音像が非常にシャープで、情報量の多いDACからのサウンドを、そのまま出している印象だ。小型スピーカーでは、中低域の不足を補うために、あえて箱の共振を活用する製品もあるが、そうした方向性とは真逆。高解像度なユニットからのサウンドを、そのままソリッドに描写。切れ味鋭い刃物で、ズバッと切り裂くような鮮烈な音だ。

 そのため、「Yes/Fragile」を再生すると、うねるベースラインがゾクゾクするほど繊細に描かれて気持ちが良い。一方で、沈み込むような深い低域は出ない。ズドンズドンと地鳴りのようなサウンドを期待すると、真逆のサウンドだ。

 だが、ハイ上がりで中低域がまったくないスカスカな音かというとそうではない。アコースティックベースの量感もある程度感じられ、バランスの良い再生はできている。音量も、広めの会議室を充満するくらいの音は出せるので、一般家庭のリビングや書斎で使うには必要十分な音は楽しめる。

 モニタースピーカー的に、ニアフィールドで、情報量の多さやシャープな定位を楽しむには最適なスピーカーだ。ノートPCのディスプレイのはるか上に、女性ボーカルの口が、非常にリアルに浮かぶ。

 スピーカーを内ぶりにしたり、外ぶりにしたり、斜め上を向けるなど、少しのセッティング変更で、音場や音像がコロコロ変わる。シャープなサウンドだからこそ、セッティングで音が変化する“オーディオの醍醐味”が感じやすいスピーカーとも言えるだろう。