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ソニー、ハンディタイプで世界初、4K/60p/HDR対応CMOS×3板式の業務用カメラ
2018年4月9日 12:04
ソニーは、4K/60pやHDR収録に対応した新開発のCMOSイメージセンサー「Exmor R」を、ハンディタイプの4Kカムコーダーとしては世界初となる3板式で搭載した業務用のXDCAM 2機種を発売する。発売日と価格は、「PXW-Z280」が7月6日で770,000円、「PXW-Z190」が9月上旬で495,000円。米ラスベガスで現地時間の4月9日から開催される、国際放送機器展NAB(National Associations of Broadcasters)2018」に出展する。
どちらのモデルも、イメージセンサーを3板式で搭載することで、光の三原色(R、G、B)それぞれに1センサーを対応させる、色分離に優れた高精細な4K映像の収録が可能。Z280のセンサーは4K対応ながら感度F12を実現した新開発1/2型イメージセンサーを3板式で搭載。4K収録に対応しながら従来機種「PXW-X200」と同じF12の高感度を実現した。Z190は1/3型の4K CMOS 3板式。
両モデルとも4K/60p内部収録が可能で、動きの速い被写体もくっきりと滑らかに捉えられるという。また、4:2:2 10bit記録もサポートし、色彩と諧調豊かな描写を実現する。なお、4:2:2 10bit記録は「PXW-Z280」は4K/HDの両方で、「PXW-Z190」はHDのみの対応となる。Z280の4:2:2 10bit記録は、4K XAVC-Intraに対応。4K/60p収録時も4KとHDの同時記録が可能。
XAVC-LongからMPEG HD422、MPEG HD、 DVCAMに加え、最大9MbpsのXAVC Proxyなど、多彩な記録フォーマットに対応。Z280はSxSカード、Z190はSDカードの2つのメモリーカードスロットを搭載し、同時記録やリレー記録、バックアップ記録に対応する。ただし、Z190は60p記録時の4K+MPEG HD同時記録は非対応。4K(30p以下)+MPEG HDの同時記録には別途有償ライセンス「CBKZ-SLMP」が必要となり、2018年12月のバージョンアップで対応予定。
Z280は、35mm換算で、30.3mm~515mmの光学17倍ズームレンズを搭載。フォーカス/ズーム/アイリスの各操作リングには「フルマニュアルリング」を採用し、一般的なハンディタイプのカムコーダーのマニュアルリングのようなズーミングやフォーカシングの遅れがなく、操作に対するダイレクトなレスポンスと回転角度による直感的な操作が可能。
Z190は、4K高画質を実現しながら、従来機種のPXW-X180、PXW-X160よりも小型・軽量化。ズーム応答性が向上した光学25倍レンズを搭載する。
どちらのモデルも、x2デジタルエクステンダーを搭載。HDモード時に、4K解像度を利用した解像度劣化のない2倍のデジタルエクステンダーと光学ズームレンズを併用することで、Z280で34倍、Z190では50倍の高倍率ズームを実現する。
ポストプロダクションの時間短縮が可能なHDR映像制作を実現する、インスタントHDRワークフローに対応。撮影後にカラーグレーディングを必要とせず、効率的なHDR映像の制作が可能という。Z280はS-Log3にも対応、カラーグレーディングを前提としたドキュメンタリーなどのアプリケーションにも適応する。
顔優先AFに加え、新たに「顔限定AF」にも対応。顔を登録した人物を自動で検出、追尾してオートフォーカスすることが可能。電子式可変NDフィルターも搭載する。
内蔵Wi-FiモジュールやEthernetコネクタ、市販の4G/LTEモデムを利用したフレキシブルなネットワーク運用が可能。独自のQoS技術を用い、業務用カムコーダーとして初めて、2本のモバイルネットワークを束ねるDual Linkによる、高品質なストリーミングもサポート。
モバイルアプリ「Content Browser Mobile」を利用した、タブレットやスマートフォンからのリモートコントロール、遠隔再生、モニタリングも可能。PCのWebブラウザからの機器の遠隔操作、メディア残量などのステータス確認にも対応。REC状態でのFTP転送もサポートし、録画状態のまま運用を止めずに、撮影したファイルを転送できる。
NAB 2018その他の出展製品
4K Exmorスーパー35mmCMOSイメージセンサー(総画素数約1,160万画素、有効画素数約880万画素)を搭載し、XAVC 4Kでの本体記録に対応するXDCAM「FS5 II」も出展。4K大判センサーを搭載したカムコーダーとして、ドキュメンタリーやWeb動画、イベント収録などに使われる現行機種「PXW-FS5」をベースに、ピクチャートーンを再設計し、RAW映像の出力、ハイフレームレート撮影にも対応した新モデル。
他にも、スポーツ中継や音楽ライブなどのライブ映像制作向けに、高画質な映像を効率的に制作できるソリューションとして「SR Live for HDR」を紹介。S-Log3/BT.2020に加え、SR Live for HDRワークフローの進化として、撮影段階からHLGでのエンドツーエンド制作を可能とするHLG_Liveモードと、マスターセットアップユニット(MSU)によるマルチコントロールのワークフローをアピールする。
さらに、ファームウェアアップデートにより、4K有機ELマスターモニター「BVM-X300」と、業務用4K有機ELモニター「PVM-X550」に、フレキシブルエリアマーカー対応やタイムコード表示、入力設定一括切り替えなど、4K/HDR制作の運用性を高める機能の追加をアナウンス。X550は、高輝度モードにも対応する。
展示会への出展としては最大サイズ及び最高解像度となる、横約9.7m×縦約5.4m、440型のCrystal LEDディスプレイシステムも用意。8K×4K構成となり、8K 3板式カメラシステム「UHC-8300」で撮影した業界初となる8K/120pのコンテンツや、「VENICE」で撮影した新作デモリールなどを上映する。