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キヤノン、4K HDR 10bitでHEVC記録できる業務用カメラ「XF705」。HDR撮って出し
2018年9月13日 13:09
キヤノンは、業務用4K HDR対応ビデオカメラの新モデルとして、H.265/HEVC記録に対応した「XF705」を11月下旬に発売する。価格はオープンプライスで、直販価格は778,000円。9月14日~18日にオランダ・アムステルダムで開催される国際放送機器展「IBC 2018」に出展される。
同社業務用デジタルビデオカメラ誕生から20年目の集大成と位置付ける、XFシリーズの新たなフラッグシップ機。有効829万画素の1型CMOSセンサーを搭載、4K 60pやフルHD 120pの4:2:2 10bitに対応する。番組制作や取材、中規模ライブなどのコンテンツ制作をターゲットに、ハイスペックを求めるユーザーに向けて発売。2010年発売のXF305から大幅な機能改善を行ないつつ、XF305ユーザーが移行しやすいようにデザインの基本設計は継承している。
H.264/HEVCに対応し、4K 60p 4:2:2 10bit HDR映像をSDカードにHEVC記録できる世界初のモデルとしている。レンズは光学15倍ズームで、35mm換算の焦点距離は25.5~382.5mm。30倍のアドバンストズームに対応する。HLG/PQのHDR映像をSDカードに記録でき、簡単なカット編集だけでHDR映像を放送/放映できる「HDR撮って出しワークフロー」を実現する。
1型センサーとデュアルDIGIC DV6の組み合わせにより、高感度/低ノイズ性能が向上。充分照度時のSN比を、XF305比で10dB向上、最低被写体照度は1.5ルクス(BT.709、Full Autoモード、シャッタースピード1/30秒)を実現した。
最高3,840×2,160ドット、4:2:2、10bitの60pに対応し、MXFコンテナでH.265/HEVCを記録するフォーマット「XF-HEVC」をキヤノンのビデオカメラで初めて採用。H.264の約2倍の高圧縮記録により、4K映像の効率的なデータ運用を可能にするという。
H.265/HEVC記録時のビットレートは160/110Mbps。フルHDはHEVCのほかH.264/AVC記録も可能。フルHDのHEVC記録時は120pのスローモーション記録に対応する。SDカードスロットを2基備え、バックアップ記録やリレー記録などの方法を選択可能。SDカードはUHS-I規格対応で、推奨スピードクラスはU3。
光学15倍ズームの4K Lレンズを搭載。蛍石と同等の光学性能を持つスーパーUDレンズなどを含む特殊硝材を使用したレンズを採用。フォーカス/ズーム/アイリスが独立した3本のレンズリングを備える。絞りは9枚羽根の虹彩絞りで、円形に近い自然なボケを表現可能としている。
デュアルピクセル CMOS AFを搭載。画面内で縦横80%の範囲内で高速のコンティニュアスAFに加え、高精度な顔検出AFを実現。ワンマンでの撮影をアシストする。測距エリアはタッチパネルと十字キーで移動して自由なフレームワークでAF撮影ができる。顔認識を利用した場合は、顔優先AFや、顔限定AF(人の顔が検出された場合のみフォーカスを合わせる)
位相差AF技術を応用し、ピント位置の前ピン/後ピンが視覚的に分かるUI「Dual Pixel Focus Guide」も採用。被写体を液晶モニタ上でタッチして選択しながら、独立フォーカスリングで調整することで、スムーズなフォーカシングが行なえ、PUSH AFボタンを併用すると、AF/MFを組み合わせて自由にフォーカスコントロールができるという。
HDRは、放送に適したHLG(ハイブリッドログガンマ)と、Web配信や映画向きのPQでの記録に対応。XF-HEVC(4:2:2 10bit)記録時、カスタムピクチャーのプリセット/ガンマ設定でHLGまたはPQが選択可能。SDRに比べ、明暗の表現幅を広げ、実際の風景に近い映像を撮影可能としている。
HDR撮影に適したオートアイリス機能も搭載。スポットライト測光やスタンダード測光(画面中央)でアイリスを制御して高輝度部が明るくなり過ぎないように自動調整する。
手ブレ補正は光学式のスタンダードモードと、光学式+電子式で5軸補正のダイナミックモードが利用でき、パワードISのON(テレ側の補正効果アップ)/OFF(パンニングしやすさ重視)の組み合わせで計4種類の制御ができる。
XFシリーズで初のCanon Log 3にも対応。後処理工程を前提としたガンマで、Canon Logに比べ暗部や18%付近の特性を残しつつ、広いダイナミックレンジ(800%、13 stop相当)を確保。ドキュメンタリーなど変化の激しい現場や、モニタリング環境が整っていない場合などで有効としている。
高輝度部を滑らかに圧縮し、800%のダイナミックレンジを実現するWide DRガンマにも対応。ガンマカーブとの連続性を維持した階調と、白飛びを抑えた撮影ができるという。
4型/123万画素の高輝度液晶モニターを搭載し、XF305と同様に125度の回転機構なども備える。ファインダーは0.46型/177万画素の有機ELで、Viewingアシスト機能により、SDRのEVF上でもHLGやPQ記録の映像を疑似的に確認できる。
HDMIや12G SDIを備え、ディスプレイや外部レコーダーとケーブル1本で接続可能。出力時にOSDの表示/非表示を選択できる。
外部レコーダー記録時に、内部記録と異なる解像度や方式でSDIやHDMIから出力することも可能。SDカードに4K記録しながら、SDIまたはHDMI対応レコーダーへ2K記録したり、内部記録でHDR、外部出力でSDRといったことができる。
IPストリーミング用のLive Production機能にも対応し、H.265ストリーム内にHDR情報(Message/Mastering Display Volume)を付加する。IPストリーミング出力は最大3,840×2,160ドット、60p、16Mbpsで、オーディオはAAC 2ch 256kbps。
2.4GHz/5GHz対応の無線LANを搭載。外形寸法は約191×383×210mm(幅×奥行き×高さ)、本体の重量は約2,660gで、XF305より小型/軽量化。プロユーザーの意見を反映し、ハンドル撮影時にノガアームが干渉しないようにボルト位置を移動したほか、三脚座の改良、キーロック機能など、操作性や使い勝手を高めた。
同梱アクセサリーは、新たにバリア付きレンズフードやショルダーパッド、ACアダプタなども追加した。付属バッテリはBP-A30。