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AbemaTVはレギュラー番組強化。3月の総視聴は5,072万時間

 サイバーエージェントは26日、2018年度第2四半期決算を発表した。売上高は17.4%増の1,095億円、営業利益は114億円。映像配信サービス「AbemaTV」の同期赤字は49億円。

2018年度第2四半期決算

 AbemaTVを中心としたメディア事業の売上高は75億円。AbemaTVとマッチングアプリの「タップル誕生」により、前年比17.7%の増収。同事業の営業利益は42億円の赤字だが、AbemaTV(49億円の赤字)を除くと、営業利益6.9億円。

メディア事業の業績

 AbemaTVのアプリダウンロードは2,900万、月間アクティブユーザー(MAU)が1,100万を突破し、「着実にベースアップしている」という

 AbemaTVでは、「週間アクティブユーザー(WAU)1,000万」を目標にしているが、「WAUは5~600万。地固めしながら地層が固まるように、伸ばしていく。一発大きなコンテンツで跳ね上がるという方法ではなく、しっかりといい番組を作り、サービスを改善して伸ばしていく方針」(藤田社長)とした。

WAUも拡大中

 今回は総視聴時間も公開。3月は5,072万時間となり、開局から順調に推移している。視聴者の年齢構成や性別は、リアリティショーの強化などで男女比もほぼ半分、10~30代が中心となっている。

AbemaTVの総視聴時間

 広告売上は開示しないが、「結構な勢いで伸びている」と説明。一方、番組制作費も増やしている。「(通期で)200億円の赤字を出す」予定のAbemaTVだが、半期が終わった時点の赤字額は89億円。

 サイバーエージェントの創業期などをベースにしたオリジナルドラマ「会社は学校じゃねぇんだよ」もヒット。「若者版の半沢直樹。見てない人は、ぜひAbemaビデオで見てください」(藤田社長)とコメント。また、恋愛番組は6本の新作を用意。「作りすぎと思うかもしれないが、若い人はたくさん見てくれる」という。

 また、「去年は特番で話題を作ったが、今期はレギュラー番組で視聴習慣を作る方針」として、新しい地図の3人の番組や「リアルカイジGP」、アニメチャンネル、朝の7時の情報番組「Abema morning」などをスタートしている。テレビ朝日との連携も強化し、5月20日から「バラエティステーション」を放送。

 また、AbemaTVの総視聴時間を伸ばすために、スマートフォンだけでなく、長時間視聴が期待されるテレビデバイス等も強化。月額960円(税込)のプレミアムプランは、視聴者拡大を優先するためそれほど力を入れていないが、「オンデマンド視聴できるコンテンツだけではなく、ダウンロード機能などプラスアルファの機能拡充を提供していく」という。

レギュラー番組を強化

 広告もスポットCMから開始しているが、長尺のCMや持ち込みの一社提供番組なども展開。力を入れてきている。「AbemaTVのマネタイズに関しては、まだ本格的に取り組んでいるわけではなく、視聴数を稼ぐことが大事だが、広告に限らず、ありとあらゆるシナジー効果が生まれるところに投資していく。ゲームやマッチチングサービス、アニメへの投資、M&Aなどを行なう」と、収益の多角化を図っていく方針を示した。

広告商品の拡販も開始。1社提供番組も

 藤田社長は、「ネットを通じて動画をみる世の中になるのは、ほぼ間違いない」とし、「このビジネスモデルをパイオニアとして確立していけるかどうかが勝負。コンテンツを強化し、最終的にはマスメディアを目指す」と語った。

収益の多角化

 また、映像配信プラットフォーム「FRESH!」については、「まだ成功とも失敗ともいえない状況。今後はリブランディングをし、サービス名称変更なども検討している」とした。

 仮想通貨取引所の参入断念については、「コインチェック事件などもあり、リスクが読みきれない。また参入スケジュールが遅れることにより、競争優位性が保てなくなる」と説明。ただし、独自の仮想通貨については、「市場動向を注視しながら、AbemaTVやゲーム等で利用できるものを検討中」としている。