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ライカ最新フルサイズミラーレス「SL3-P」登場。ライカが動画に力を入れる理由とは? 製品担当者にインタビュー
2026年7月17日 08:00
ライカカメラジャパンが6月26日に発売した「ライカSL3-P」は、2015年から続くライカSLシリーズの最新モデル。伝統的なM型ライカやレンズ一体型のQシリーズといったコンパクトなカメラが人気を博す中、ライカのカメラに対する動画需要を一身に背負う存在だ。
今回はドイツ本社のプロダクトマネージャーに、このライカSL3-Pの動画機能についてインタビュー。ライカと動画の関係性についても聞いてみた。
ハイレベルな動画機能が求められるようになってきた
——ライカSL3-Pにおける、動画関係の新要素を教えてください。
ギッセル氏(以下敬称略):8Kオープンゲート撮影、フォルスカラー、ダイナミックレンジの拡大、カメラ内LUT「Leica Pure」、「Leica Cine」の提供です。
フォルスカラーは露出レベルを色分けで可視化する機能で、以前よりプロユーザーからの要望が多くありました。ライカのカメラにも、写真だけでなくハイレベルな動画機能が求められるようになっています。
ギッセル:加えてカメラ内に、目的の動画プロファイルを絞り込みながら選択できる機能を設けました。解像度、フレームレート、記録形式、コーデックなど、求める条件を選択すると、それに該当するプロファイルだけが表示されます。
ギッセル:また以前からの特徴として、ライカのカラーサイエンスの継承、Lマウントにも存在するアナモフィックレンズのデスクイーズ対応、チームワーク向けのFrame.ioとの連携、IP54の防塵・防滴性能、ボディ内手ブレ補正があります。
——6,000万画素の高解像度なライカSL3、2,400万画素で手頃なライカSL3-Sもある中で、特にライカSL3-Pをオススメする人は?
ギッセル:ライカSL3は、6,000万画素の高精細さを生かした写真撮影が得意なカメラです。ライカSL3-Sも動画に強いカメラですが、より高精細な動画を撮りたい場合には4,400万画素のライカSL3-Pをお勧めします。幅広い使い方ができ、現時点で最もバランスの取れたカメラになっています。
——ライカSL3-Pの“P”にはどんな意味がありますか? M型ライカのPがつくモデルには「プロフェッショナルのPである」という認識がありました。
ギッセル:“P”の具体的な意味は明らかにしていませんが、既存モデルから一歩進んだ機種に対して“P”と名付けてきた経緯があります。
——静止画機能では、イメージセンサーの読み出しが高速化したことで最大40コマ/秒のAF追従連写を可能としたのがトピックです。読み出し高速化のメリットは動画にもありますか?
ギッセル:はい。ローリングシャッター効果が抑えられています。ライカSL3-Sも好ましいレベルにありますが、ライカSL3-Pはより良いレベルになっています。
——8Kオープンゲート撮影は、様々な配信プラットフォーム向けにトリミングの余地を残すための機能という位置付けですか?
ギッセル:はい。まだ8Kの視聴環境が普及していない現状においては、8K撮影のメリットはクロップだと言えるでしょう。
——動画撮影時の発熱には対策していますか? 冷却ファンを搭載するカメラもあります。
ギッセル:IP54の防塵・防滴性能など、厳しい環境でも撮れる堅牢性を重視しているので、そのためには密閉性が必要です。その分、熱はこもりやすくなります。
放熱は動画撮影において大事な要素ですが、このカメラでは、まず頑丈であることと厳しい環境で撮れることを優先しています。
ライカの動画機能とは?
——ライカのカメラにとって、動画機能はどんな存在ですか?
ギッセル:レンジファインダーのM型ライカで知られていることもあり、もちろん静止画撮影を重要視されますし、ユーザーの使用比率も高いです。60〜70%は静止画、残りが動画というイメージです。ただ、動画はますます重要になっていくと思いますし、ライカのラインナップの中ではライカSLがそういった意味では最も先進的なカメラです。
——ライカの動画機能は、どんなユーザーの声を参考にしていますか? また、どんなユーザーに向けて開発していますか?
ギッセル:元々ライカには動画ユーザーが多くないので、動画については既存のライカユーザーの声を聞くことに加えて、新しいユーザーに届くように考えることが大事だと考えています。
想定ユーザーは、静止画と動画の“ハイブリッド・クリエイター”です。現在ではイベントの写真撮影と一緒に動画記録を求められることも多いので、これらをスムーズに行き来する必要があるのです。ライカSLシリーズは静止画も動画もハイレベルに記録できますから、両方を撮影する人に向けています。
——動画を撮るカメラとして、ライカを選ぶメリットは何ですか? 中でもSLシリーズのアピールポイントは?
ギッセル:ライカのカラーサイエンスが独特だと歓迎されています。特に動画では、ライカでしか出せない色が求められています。
具体的には、色再現が自然で「やりすぎない」ところが特徴です。スキントーンの良さにも定評があり、人肌の明るいところにも暗いところにも正確な再現が得られます。
——画作りの基準は、静止画と同じですか?
ギッセル:はい。同じ色のリファレンスと考え方に則っています。いわゆる“ライカルック”を動画でも得られるのがメリットです。
Lマウントアライアンスの恩恵、レンズの展開について
——ライカSLシリーズは、パナソニックやシグマのフルサイズミラーレスと同じ「Lマウントアライアンス」に属しています。その中でライカが提供するカメラやレンズの個性や強みはどんなところにあるとお考えですか?
ギッセル:常に最高の画質を得られるカメラとレンズを提供しています。例えばアポ・ズミクロンの名を持つレンズは、最高の光学性能です。
一方、シネマレンズを製造するライツ・シネ社の製品にもLマウントのレンズが用意されています。クラシックなシネルックやフィルミールック(フィルムのような質感)を得たい場合はこちらが合います。
ギッセル:また、写真用のライカMレンズをマウントアダプター経由で取り付ける方も多いです。こういった様々な選択肢によって、妥協のない高画質を提供できていると考えています。
——本格的なシネマ用は、ライツ・シネに任せているのですか?
ギッセル:ライツ・シネと情報交換をしながら、ライカのカメラとライツ・シネのシネマレンズが一つの有機的なシステムとなるように作られています。ウェッツラーを訪れたことがあればご存じの通り、道を挟んだ向かいにある会社ですからね。
——Lマウントアライアンスといえば、ライカはパナソニックLUMIXと共同の「Lスクエアテクノロジー」で画像処理エンジンを共同開発しています。LUMIX S1R IIなどとのわかりやすい違いはどこにありますか?
ギッセル:画像処理エンジンが似ていても、画作りの考え方やイメージングパイプライン(撮影から記録までの画像処理プロセス)が全く異なるので、得られる結果が違います。ハードウェアの面では、筐体の造りも別物です。
——ライカはセンサー前のカバーガラスの薄さを大事にしていますが、Lマウントアライアンスではその厚さも規格化されているのでしょうか? だとすれば、例えばLUMIX SシリーズでもライカSLと同じようにライカMレンズの性能を引き出せるのではないかと考えてしまいます。
ギッセル:Lマウントで定義されているのは、マウントの形状と、センサーとレンズの距離(いわゆるフランジバック)だけです。カバーガラスの厚さは含まれません。ですので、「Lマウントアライアンスのカメラだから、同じレンズを付ければ同じように写る」ということはありません。
——ライカSLレンズの設計には、動画向けの工夫も盛り込んでいますか?
ギッセル:新しい「ライカ ズミルックスSL f1.4/50 ASPH.」には、新開発のVCM(ボイスコイルモーター)を採用しています。この高速で静かなAFは動画撮影にも向いています。フォーカスブリージングは少し見えますが、小さく抑えることを考慮した光学設計になっています。
ギッセル:また、ズミクロン35mmも動画におすすめです。「ライカ アポ・ズミクロンSL f2/35 ASPH.」のほうであればクリアな写りが得られますし、アポではない「ライカ ズミクロンSL f2/35 ASPH.」は個性的な写りが楽しめます。
まとめ:立ち位置が明確になったライカSLシリーズ
ライカSLシリーズは「ライカで最もユーザーの声を取り入れているカメラ」だという。8Kオープンゲート記録や動画プロファイルの絞り込み表示など、ライカSL3-Pで追加された機能からも、その立ち位置が見て取れた。
定評あるライカのカラーサイエンスに加え、静止画と動画をスムーズに行き来する柔軟なカメラ作りで、現代のクリエイターのニーズにも応える。伝統を守るM型ライカとは異なる役割を担うカメラシステムとして、ライカSLシリーズは進化を続けている。




















