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AbemaTV視聴の5%がテレビに。'18年度はコンテンツ投資最優先

 サイバーエージェントは25日、2018年度第1四半期決算を発表した。売上高は13.1%増の979億円、営業利益は82億円だが、映像配信サービス「AbemaTV」の同期赤字は40億円。AbemaTVなど先行投資事業を除くと営業利益は122億円となる。

2018年度第1四半期決算

 藤田晋社長は、「取り立てて大きなトピックはないが、順調なスタート。AbemaTVは先行投資期だが順調に成長している。広告も好調が続いている。ゲーム事業は長く横ばい傾向で新規タイトルのヒット待ち」と説明。18年度の通期売上高予想は、4,200億円、営業利益300億円で、AbemaTVの赤字も'17年度と同じく200億円の見込み。「200億円使う、というより200億円の赤字を出すまで投資するという考え」とした。

引き続きAbemaTVに投資
セグメント別の営業利益予測

 AbemaTVを中心としたメディア事業の売上高は73億円。AbemaTVとマッチングアプリが牽引し、前年比24.5%増。同事業の営業利益は32億円の赤字だが、AbemaTV(40億円の赤字)を除くと、営業利益7.5億円。

メディア事業

 AbemaTVのアプリダウンロードは2,600万、月間アクティブユーザー(MAU)が1,000万を突破し、11月には1,117万となった。AbemaTVでは、「週間アクティブユーザー(WAU)1,000万」を「メディアビジネスが成立する規模」と目標にしているが、「その半分ぐらい。山を作りながらレギュラー番組や調達を続ければ、何とか到達できるところに来た」(藤田社長)としている。

 AbemaTVの広告販売については、「まだ数字を公表するつもりはないが、AbemaTVの広告売上も順調に伸びている。(社内で)『パンプアップ』と呼んでいるが、コストも増やすが、売上も増やす。その数字と、マッチングアプリが伸びているので、(メディア事業は)増収基調」とする。

 コンテンツについては、「なんといっても(稲垣・草彅・香取の)『72時間ホンネテレビ』が社会的にも話題を呼び、AbemaTVの知名度も広げてくれた。1月31日には香取慎吾さんのバースデー記念番組をやって、そこでも大きめの発表がなされると思う。年末年始はテレビ局と同じく、AbemaTVも『朝青竜を押し出したら1,000万円』などを配信した。先日のももクロ5人での最後のライブも中継した」と振り返った。

年末特番が好評
リアリティショーを連打

 利用者の年齢は10~30代が中心。恋愛リアリティショーが好調で、女性比率が45%まで拡大。「大体狙った通りの層がAbemaTVを見てくれている」とした。

利用者属性

 視聴デバイスは、「テレビ」が拡大。1年前と比較すると、スマートフォン比率が7割を切り、タブレットやPC、テレビなどが増加傾向。PCは14%、タブレットが13%、テレビデバイスが5%となった。藤田社長は、「特にテレビデバイス、FireTV、Apple TV、Chromecastなどの使い勝手が良いので、本当はここを伸ばしたい。また、テレビデバイスの視聴時間は、スマートフォンの7倍。中長期的にはテレビデバイス対応を強化する」と語った。

テレビ視聴はスマホの7倍の視聴時間。テレビ対応を強化

 1月以降は、オリジナルドラマ「声だけ天使」を配信開始しており、「満足いく結果」という。また、「今場所から大相撲を生中継しており、朝8時半の序二段から午後6時まで生配信している。NHKとは違う、若者が見やすい解説や演出を心掛けている。相撲の間にCMが入るのも新鮮」とした。

大相撲生放送

 恋愛リアリティショーについては、「大体当たる。結構な確率で当たるので、10~20代が草食になったとか言われるが、頭の中を恋愛が占めている。1月クールは、恋愛リアリティショーを4番組同時にやる」という。ゲーム専門の「ウルトラゲームス」もスタートしたが、「出だしが良い。ゲームを見る人がすでにネット上に存在しているので、そうした人をとらえるチャンネルができた。新規タイトルの紹介などでグループシナジーを高める」とした。通販会社の「売れるAbemaTV」も2月からスタートする。

 2018年のAbemaTV投資の内訳は、コンテンツ費用が72%(オリジナル41%、外部32%)。広告宣伝が6%。'17年のコンテンツ費用は61%だった。昨年との違いとして「番組の中身で話題を呼べるようになったので、広告・宣伝費を減らし、コンテンツ費用に割り振っている。オリジナル番組が一番ユーザーを増やす効果があるので、比重をかけている」と説明した。

コンテンツ費用に比重
2018年度もAbemaTV先行投資

 新規事業では、マッチングアプリの「タップル誕生」が好調。AbemaTVでもCM出稿しているほか、番組との連携や恋愛模様を描いたドラマ、ドキュメンタリーも考えているという。AWAも「損益分岐点には達していないが、いずれ黒字化達成するところまでは見えてきた」という。esports大会の「RAGE」やゲーム動画配信の「OPENREC.tv」などゲーム分野も強化。グループのゲーム事業との連携なども増やしていく。