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CATV番組をスマホへリアルタイム配信。IP活用の映像サービス多様化が進む

 「ケーブル技術ショー 2018」が7月19日~20日に東京国際フォーラムで開催。IPを用いた新たな映像サービスや、CATVで今後導入が見込まれる新技術/サービスなどが紹介されている。ケーブル技術ショーの参加は無料で登録制。なお、12月から開始されるBS 4KのCATVパススルー/トランスモジュレーション再送信に対応したSTBも展示されており、STBについては別記事で掲載している

IPリニア配信の「milplusTV」

スマホでIPリニア放送も観られる「milplusTV」

 日本デジタル配信(JDS)は、CATV加入者向けVODサービス「milplus(みるプラス)」に加えた新たな展開として、3月から提供開始したIPリニア(リアルタイム)配信型の「milplusTV」を紹介している。

VOD「milplus」に加え、IPリニアの「milplusTV」を開始

 加入するCATVの番組を、PCのWebブラウザやスマートフォン/タブレットアプリ(iOS 10.0以降/Android 6.0以降)で視聴可能。国内であれば外出先でも観られる。

 現在、CATVのiTSCOM(イッツコム)が、TBSや英BBCのニュース番組などを配信しており、TBSチャンネル2でリアルタイム配信している横浜DeNAベイスターズのライブ中継が人気だという。さらに、8月からはアニメの「Baby tv」や「ディズニージュニア」も配信することが決定。2019年春以降は、30チャンネルを配信予定としている。

milplusTVの視聴画面
画質切り替え
音声選択も

 JDSが、110局以上のCATV事業者を通じて提供中の番組ナビゲーション/検索サービス「CableGate」は、7月末にリニューアル。同サービスは、番組表から選んで録画予約したり、キーワードを登録して該当番組を自動検索できるのが特徴で、リニューアル後は新たにブックマーク機能「見たい!」を登録可能。予約するか迷っている番組などを一旦まとめられる。そのほか、局などからの案内をチェックする「おしらせ」ページも用意。さらに、表示している番組表のレイアウトを崩さず簡単に印刷できるようになる。

リニューアル後のCableGate画面
「見たい!」の一覧

 将来的には、このCableGateアプリを高度化し、CATV事業者の提供する映像サービスなどを横断的にカバーすることを目指している。前述したmilplusTVは、現時点では既存のmilplusと別アプリで視聴する形だが、将来的には両サービスをシームレスに利用可能にするという。提供時期は、今年度中~来年度春ごろを想定している。

CableGate高度化のロードマップ

既存CATV網の活用で4K配信

 放送波を用いてデータ(パケット)を一斉配信する「IPDC」を活用し4K映像を配信する仕組みも紹介されている。CATV局がIPDC対応サーバーを導入し、視聴者が対応STBを用意することで、光回線を使わなくても、既存のCATV網(HFC)で4Kなどの高画質映像を放送できる。

IPDC活用の4K伝送

 CATV局は、従来より低コストで4K配信を導入できるほか、データ通信の活用により地域密着の情報を提供するなど、CATVならではの付加価値を提供できるという。対応するサーバーやSTBは開発が進んでいるが、STBはIPDC対応の共通規格がまだ無いことから、今後日本ケーブルラボなどによって規格策定されることでサービスが実現可能になるという。

 そのほか、Bluetoothを用いて災害情報などをスマホにプッシュ配信するシステム「Beacon Cast」もデモ。小型の専用ボックスを家庭内などに置くことで、災害情報などが発信された場合に放送波で受信して、スマホにBluetoothでプッシュ配信する。放送で受信するため、通信のような輻輳や帯域低下などが発生しないほか、停電してもバッテリで動作する。

Beacon Castでのプッシュ通知例

 家庭のインターホンの中などへの内蔵や、ショッピングモールやデジタルサイネージなど人が多く集まる場所への設置を想定。送信カバーエリアは100m程度。

Beacon Castのボックス

コミチャン自動VOD化や、スマートスピーカー連携など

 パナソニックは、コミュニティチャンネル(コミチャン)の番組を、放送後でも観られるようにするための、IP配信自動化システムを近日提供予定。人手をかけずにIP配信を手軽に導入できるという。

コミチャンの見逃し配信ページの例

 販売中の放送番組リアルタイムアーカイバでVODファイル化し、発売予定の配信プラットフォームにファイルと蓄積/配信する。視聴端末はハイブリッドキャスト対応STBや、スマホなどのWebブラウザ/アプリ。

 ジャパンケーブルキャストは、放送通信連携のハイブリッドキャストとスマートスピーカー対応サービスを紹介。Amazon Alexaに「アレクサ、今日のゴミ出しは?」と尋ねると「今日は燃えるゴミの日です」と回答。ジャパンケーブルキャストの「JC-data」サービスと連携することで、地域に密着したニュースなどの情報を音声で提供できる。

ジャパンケーブルキャストのハイブリッドキャストサービスがAlexaと連携

 JDSは、上越ケーブルビジョンやメディキャストらと協力し、ハイブリッドキャストを使った4K配信などの実証実験を行なっている。

 パソコンやスマホなどを使わない人にも、Web上の地域情報をテレビで観られるようにするもので、上越ケーブルビジョンのWebサイトと同じ情報を、ハイブリッドキャスト対応のテレビ画面に表示。そのページから、局が持っている4K映像などを視聴可能にする。地域の行事など、局が持つコンテンツの活用も見込めるという。

JDSが上越ケーブルビジョンなどと連携、4K映像配信をデモ

 ソニーは、スマホ用インカムアプリ「Callsign」を参考展示。3G/4G/無線LANで通話でき、1端末で6chまで同時接続可能。独自の音声アルゴリズムを使ってクリアな音質と通信量の軽減を実現したという。PCで各端末の制御と利用状況の把握ができるWeb管理画面も用意する。今秋にAndroidアプリを提供予定で、iOSアプリも追って提供する。利用料金は未定だが月額2,000円程度を想定し、来場者からの意見も聞きながら決定するという。

ソニーのスマホ用インカムアプリ「Callsign」