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BS 4KのCATVパススルーSTBをパナソニックが11月発売。KDDIは来春Android TV搭載機

 ケーブルテレビ(CATV)関連の最新技術やサービスが展示される「ケーブル技術ショー 2018」が7月19日~20日に東京国際フォーラムで開催。この中で、12月に開始される「新4K8K衛星放送」のCATV再送信に対応したSTBを、パナソニックや住友電工、テクニカラーが出展している。ケーブル技術ショーの参加は無料で登録制。

ケーブル技術ショー 2018

 12月1日からBS/110度CSによる新4K8K衛星放送が開始され、CATVでも再送信の形で提供可能となる予定。これに合わせて、STBを手掛ける各メーカーが4K対応STBを開発している。

 既報の通り、CATV事業者のJ:COMは、放送の信号をCATV信号に変換するトランスモジュレーション方式で12月1日より再送信サービスを提供すると発表している。今回のケーブル技術ショーでは、同方式に加え、信号を変換しないパススルー方式にも対応したSTBを、パナソニックと住友電工が展示している。

パナソニックはパススルー/トラモジの送受信両方をサポート

 パナソニックは、BS 4Kのパススルーとトランスモジュレーションの両方に対応したSTBを展示。HDDを搭載しないBasicモデルを11月に、HDD内蔵のDVRモデルを2019年1月にCATV事業者へ発売する。いずれも3チューナ内蔵で、4K×1番組と2K×1番組などの同時録画が可能。DVRモデルは内蔵HDDに録画できるほか、両モデルとも別売USB HDDへの録画も可能。

パナソニックのBS 4Kパススルー/トランスモジュレーション両対応STB

 新STBへの置き換えの際に、旧STBから録画コンテンツをLAN経由で引き継ぐことも可能で、一括ダビングのほか、個別で番組を選んでダビングすることも可能。IEEE 802.11ac対応の無線LAN子機を標準装備している。DLNAやリモート視聴など、現行機種のネットワーク機能が使えるほか、現在検討中というIP配信コンテンツにも対応する。

同STBでトランスモジュレーション方式の受信も
リモコン

 CATV局側にとっては、4K再送信が始まると従来より多くの帯域を使用することになるが、送信側の設備に同社のヘッドエンドを導入すると、BS 4KとBS 2Kのパススルー信号を、既存のCATV帯域とは別のBS-IF帯域へ割り当てることで、空いた部分を各CATV局による自主4K専門チャンネルなどに活用できることも特徴としている。

ヘッドエンド装置
パススルーへの切り替えで帯域を効率運用
省スペースで4Kサービスを開始したい事業者などにもソリューションを紹介

KDDIが住友電工製の小型Android STBを採用

 住友電気工業のブースでは、来春にKDDIが発売予定というAndroid TV搭載STB「ST4302」を展示。BS 4Kを含むトリプルチューナ搭載で、4K×1とHD×1などの同時録画に対応。ストレージを内蔵しない小型筐体で、録画は別売USB HDDまたはNASで行なえる。

コンパクトな本体の住友電工製Android TV搭載STB「ST4302」
リモコン

テクニカラーはトラモジ対応STBを11月に

 テクニカラー・パイオニア・ジャパンは、トランスモジュレーション対応のSTBを、11月末に発売。2TB HDD内蔵の「BD-V5700R」と、HDD非搭載の「BD-V570」を用意する。2番組同時録画に対応。SeeQVaultもサポートし、番組引っ越しなどが可能。ハイブリッドキャストやリモート視聴などに対応する。

テクニカラーのBS 4K対応STB
リモコン
4K IPサービス対応のAndroid TV搭載STBも参考展示。日本での導入は未定

送信側の設備も4K対応進む

 CATV局などがアンテナで受信したBS 4K放送をトランスモジュレーション方式で再送信するための装置も4K対応が始まっている。ミハル通信は、BS 4Kなどに対応したヘッドエンド装置「MGSR-ABSTM-A」(1スロット)と、「MGSR-ABS4TM-A」(2スロット)を展示。既に多くの受注があり、生産を進めているという。

ミハル通信のトラモジ対応ヘッドエンド装置「MGSRシリーズ」

 いずれもBS-IF受信部を2系統備え、自局アンテナとIP伝送を活用し、積雪など悪天候時に備えた冗長化に対応できるのが特徴。2スロットタイプは、複数QAM運用時に、任意の周波数(256QAM×3波、64QAM×4波)で出力できる。

シグナルプロセッサーの「MDSRシリーズ」もBS 4K対応