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新4K8K衛星放送開始まで半年、「NHK BS4K」など名称発表。深田恭子が応援

 12月1日よりスタートする「新4K8K衛星放送」(BS/110度CS 4K8K放送)。その半年前となる6月1日に、A-PAB(放送サービス高度化推進協会)がセレモニーを開催。各チャンネルの正式名称やロゴが発表されたほか、野田聖子総務大臣や、推進キャラクターの深田恭子さんらが登場し、12月の開始に向けたメッセージを述べたほか、放送の魅力などを改めて紹介した。

推進キャラクターの深田恭子さん

 新4K8K衛星放送は、BS/110度CS衛星を使った実用放送。NHKや民放キー局のほか、QVCなどのショッピングチャンネルや有料のスカパー!、WOWOWなども参入予定。

 新たに、各局の正式なチャンネル名称とロゴが発表。認定放送事業者である各テレビ局が登壇し、抱負などを語った。また、周知広報のためのリーフレットの改訂版や、対応する受信機(チューナ)が紹介された。

新4K8K衛星放送が12月1日から開始

 NHKは、4Kチャンネルに加え、初の8K本放送となる「NHK SHV 8K」もスタート。それ以外のチャンネルは4K画質となる。12月1日時点でスタートするのは、16の4Kチャンネルと1つの8K(8K SHV)チャンネル。BS右旋で5チャンネル、BS左旋で4チャンネル、110度CSで8チャンネルが展開される。

NHK BS4Kのロゴ
NHK BS 8K

 野田聖子総務大臣は、放送局や関係者らに対し、地上波や衛星波、店頭などでの周知徹底を呼び掛けたほか、総務省としても電波漏洩対策などを含め、一丸となって普及に取り組むことを示した。

野田聖子総務大臣

 野田氏は「放送の魅力や視聴方法などをご存じでない方が多数いるのも事実。昨年11月にまとめたアクションプランに基づき周知広報を進めているが、改めて何点かお願いがある。現在の市販4Kテレビだけでは新4K8K衛星放送は視聴できず、対応チューナや、場合によってはアンテナ交換も必要になる。視聴者に混乱が生じないよう、番組や製品カタログ、店頭などあらゆる手段で周知徹底してほしい。どのような番組が視聴できるのかは大きな関心事項。早期の情報提供を」と呼びかけた。

 さらに、「視聴いただくためには4K8Kならではの魅力的なコンテンツが重要」とし、「4K8Kでなければ観られない、視聴者の期待に応えるコンテンツの提供」と、「視聴者の目線に立った集中的な取り組み」を関係者に求めた。

野田総務大臣と深田恭子さん

NHKはイタリアから8K、南極から4K生中継

 NHKの上田良一会長は「世界初の8K放送となるNHK BS8Kにおいて、イタリアからの生中継を予定。現地にいるような至福の体験を、世界に先駆けてお届けしたい。NHK BS4Kでは、4K放送で初めて、南極からの生中継を行なう。目の前に広がる圧倒的なスケールの南極の光景をリアルに届ける」とした。

NHKの上田良一会長

 その他にも、8Kでウィーン・フィルによる第9の演奏など、“超一流のコンテンツ”を予定。BS4Kでは、大河ドラマをはじめ、幅広いジャンルの番組を編成。フィルムで残る番組の4K化も進めており、半世紀前に放送された「新日本紀行」も4Kで放送予定。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックについても、「4K8K放送で、視聴者の皆様にスペシャルな感動と体験をお届けし、本格普及を目指す。NHK総合テレビなどで、魅力や視聴方法について周知広報を行なう」とした。

 民放連の井上弘会長は「各社では開局に向けてマスター設備の構築や、番組編成の準備など佳境に差し掛かっている。超高精細の映像で鮮明に映せるので、カメラ、照明にも配慮が必要。4Kの魅力をを存分に活かした番組制作に取り組んでほしい。我が国の4K放送のマーケットも着実に伸び、将来的には諸外国の先行事例を上回る普及が期待できる」とした。

民放連の井上弘会長

 JEITA(電子情報技術産業協会)AVC部会代表を務める、東芝映像ソリューション取締役副社長の安木成次郎氏は「機器メーカーとしては、テレビやチューナ、関連デバイスに最優先で取り組み、速やかに提供できるよう努める。高精細化、量子化ビット拡張、高フレームレート、ハイダイナミックレンジ(HDR)、広色域化など最先端の技術を余すことなく駆使し、高品質なコンテンツをお届けできるように全力を尽くす。JEITAとしては10月のイベントCEATEC JAPAN、11月のInter BEEで、間近に迫る放送の魅力を発信し、具体的な番組の情報を伝える。IoTとの融合など新たなサービスとの相乗効果で、より豊かな暮らしを実感できるのでは」とした。

JEITA AVC部会代表 安木成次郎氏

【BS右旋のチャンネル名称】
・NHK BS4K
・BS日テレ 4K(2019年12月1日開始予定)
・BS朝日 4K
・BSジャパン 4K
・BS-TBS 4K
・BSフジ 4K

【BS左旋のチャンネル名称】
・ショップチャンネル 4K
・4K QVC
・映画エンタテインメントチャンネル ※有料
・NHK BS8K
・WOWOW(2020年チャンネル名発表、同12月1日放送開始予定) ※有料

【110度CS(実用放送)】
・J SPORTS 1(4K) ※有料
・J SPORTS 2(4K) ※有料
・J SPORTS 3(4K) ※有料
・J SPORTS 4(4K) ※有料
・日本映画+時代劇 4K ※有料
・スターチャンネル ※有料
・スカチャン1 4K ※有料
・スカチャン2 4K ※有料

BS朝日4K
BS-TBS 4K
BSジャパン4K
BSフジ4K
BS日テレ
映画エンタテインメントチャンネル
ショップチャンネル4K
4K QVC
WOWOW
スカパー・エンターテインメントの各チャンネル。JSPORTS 4K、スターチャンネル、日本映画+時代劇4K、スカチャン! 4Kなど
放送の種類と、各チャンネルのロゴ

 テレビメーカー各社も12月の放送開始に先駆けて、対応テレビやチューナの投入を予告。すでにBS 4Kチューナ内蔵テレビを発表した東芝に続き、他社もチューナ内蔵テレビを発売予定。セレモニーにも各社が4Kテレビやチューナなどを展示した。

各社からの対応テレビの発売予定
対応チューナの発売予定
各社が4K/8Kテレビやチューナを展示

電波漏洩対策で助成金制度。録画や、CATV再送信は?

 新しい放送で使用される左旋円偏波では、受信設備によっては電波が漏洩し、既存の無線LANなどと干渉することが懸念される。これには電波が漏洩する受信設備を改修する必要がある。総務省では、この改修に要する経費の一部を視聴者へ助成するなどの支援を行なう予定。左旋受信のアンテナ工事の際などに適用でき、詳細はA-PABのサイトや、専用のコールセンターで案内する。

 この助成金を受け取る場合には、電器店や電気工事店などの事業者がA-PABへ登録済みであることが必要。現在1,500超の登録事業者があり、500を超える事業者が申請を出しているところだという。

電波の漏洩対策
電波漏洩対策のコールセンターを設置

 録画については、既報の通り、現在の地上波/衛星放送と同様の方式での運用が見込まれ、ダビング10を許可するか、コピーワンス/録画禁止にするかといった選択は、放送事業者によって異なる。

 また、ケーブルテレビ(CATV)での視聴については、BS/CS放送された番組の「再送信」となるため、それを許可することについて衛星放送側とCATV側で話し合いが行なわれており、5月までの交渉により、12月1日時点でCATVでも再送信できるようになることが決定した。なお、録画についても同様に、各放送局側の意向に沿って、許可される範囲が決まることになる。

CATVチューナも参考展示された。左が12月1日からの放送に対応予定のチューナの試作機

 なお、新4K8K放送開始を前に4月~5月にかけて行なっていた、放送設備工事に伴う一部BSチャンネルの放送休止について、視聴者から問い合わせがあったことも報告。A-PABのコールセンターに対し、現時点で4~5,000件の問い合わせがあり、その多くは、該当の時間帯に視聴できなかったことだったという。そのほか、予約した録画ができていなかったといった声が寄せられた。

深田恭子さんが期待する4K番組とは

 実際に番組制作を行なう認定放送事業者11社による決意表明も行なわれ、深田恭子さんが各局にインタビューする形で、具体的な放送予定コンテンツを紹介した。

深田恭子さん

 スポーツや花火中継、映画、ドラマ、通販など各局が様々な番組を用意する中で、深田さんが最も興味を示したのは「吉田類の酒場放浪記」(BS-TBS)で、「大好きなんです、すごい楽しみです」とのこと。BS-TBS星野誠社長が「ビールの泡と、炭火の焼き鳥など、思わず手が出そうになる」と4Kならではの食の魅力を紹介すると、深田さんは「吉田類さんが高画質で観られる……」と待ちきれない様子だった。

 110度CS左旋4Kで、J SPORTSや日本映画+時代劇、スターチャンネルを含む8chを予定しているスカパーでは、放送の一部にペイ・パー・ビュー(PPV)を計画していることも明かされた。スカパー・エンターテイメントの古谷金哉社長は、「映画や音楽、スポーツなどで新たに展開するよう準備している」と述べた。

刷新された周知広報チラシ。各チャンネルのロゴや、受信方法などを案内
新4K8K衛星放送の紹介動画(A-PAB)