指紋や顔認証で映画館にチケットレス入場。富士通が実証実験

富士通は、映画など劇場型娯楽のチケット電子化に向けた取り組みとして、第31回東京国際映画祭で生体情報によるオンライン認証の入場システムをムービーウォーカーと共同で構築、チケットレス入場の実証実験を行なった。

実証実験のイメージ

富士通では、映画や舞台などの劇場型の娯楽施設において、生体認証技術を活用したチケットレス、キャッシュレス環境によってチケット購入や順番待ちによる行列、飲食・グッズ購入時のわずらわしさを解消する「スマートシアター構想」に向けた取り組みを進めている。

今回の実証実験は、東京国際映画祭(会期：10月25日〜11月3日)の中で、東京国際フォーラム(東京・千代田区)で上映された一作品において実施された。ムービーウォーカーと共同で、指紋や虹彩、顔などの生体情報によるオンライン認証「FIDO(Fast Identity Online)」を活用した映画館でのチケットレス入場システムを構築。

参加者にはスマートフォンアプリケーションが配布され、各自で事前に生体認証方式をアプリに登録。実験当日は、登録された認証方式による本人認証を行なった後に電子チケットを配信し、入場ゲートで係員に提示するだけでチケットレス入場できるようにした。

この実験により、生体認証で特定された本人に対して、対象となる映画・場所・時間に限定した電子チケットの発行・運用を確認。チケット所持者と来場者の一致を確認できるため、転売・偽造防止に役立つほか、チケットレスに伴う事業者の運営効率化に向けた課題事項も整理できたとする。

また、利用者は紙のチケットを持たずにスマホアプリを操作して簡単に入場できるだけでなく、劇場内での飲食物の購入などの決済連動まで含めた、手ぶらでのスムーズな劇場体験に対するニーズを確認できたとしている。

富士通は、この実証結果を踏まえてセキュアなチケットレス、キャッシュレス環境の整備を進め、動的に価格を変えるダイナミックプライシングや、ユニークなデジタルプレミアムの付与など、デジタルマーケティングへの活用と新たな体験価値の創造を目指すという。